【テクノロジー図鑑vol.10】C3fit『コンプレッションタイツ』編─血行促進効果で疲労を軽減させる一般医療機器

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長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで─ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第10回目のテーマは、C3fit(シースリーフィット)のコンプレッションタイツです!

今回のテクノロジー図鑑では、株式会社ゴールドウインにお邪魔して、C3fitのコンプレッションタイツについてお話を伺ってきました。日本発のコンプレッションウエアブランドとして2009年に誕生したC3fit。ランニングのみならず、さまざまなスポーツや日常生活で活用できるコンプレッションタイツを「一般医療機器」として販売しています。

血行を促進し、むくみを軽減してくれる段階着圧設計

──まずは、段階着圧設計について教えてください。

段階着圧は、抹消から中枢にかけて、つまり脚でいうと足首から太ももに向けて徐々に圧を弱める機能のことです。心臓が体中に血液を送るポンプの役割を果たしているというのはみなさん知っていると思いますが、心臓が担っているのはだいたい80%ほど。残りの20%は、体中の筋肉が動くことによって血流を促しているんです。筋肉の内側にはたくさんの血管があり、筋肉が動けば血管が押されて血液も流れていきます。水をまくときに、ホースを指で押すと水の勢いが増すのと同じようなイメージですね。C3fitでは、欧米の医学を参考にしながら、足首を24hPa、ふくらはぎを17hPaという圧力を基準にしています。

お話を聞かせてくださった、C3fitの平山壮一さん

──段階着圧のタイツを着用すると、どんなメリットがあるのでしょうか?

C3fitのコンプレッションタイツには、先程ご説明したように血行促進効果があるので、運動中のエネルギー循環のサポートや日常生活でのむくみ軽減、長距離移動時のエコノミークラス症候群対策にも効果が期待できます。適度な締め付けによって筋肉の振動を抑制してくれる機能もあるため、運動効率の向上も期待できます。

厳しい基準をクリアし、一般医療機器に登録

──今となっては「タイツといえばC3fit」というイメージをもつランナーも多いと思います。ここで、ブランド誕生の背景を教えてください。

C3fitのブランドが誕生したのは2009年。それまでに株式会社ゴールドウイン内でも『ザ・ノース・フェイス』や『ラテラ』や『エレッセ』など、さまざまなブランドでコンプレッションウエアを作ってきました。そこで、それぞれのブランドの中で培われたノウハウを結集して最高のものを作っていこうと、コンプレッションウエアに特化したブランドとして生まれたのがC3fitです。しかし、当時はすでに世界中でさまざまなブランドからコンプレッションウエアが誕生していました。いわばC3fitは、コンプレッションウエア市場最後発のブランドといってもおかしくないほどだったんです。そこで、今までにない新しいウエアを作りたいと考えた時に「一般医療機器」の弾性ストッキングにたどり着きます。「一般医療機器」としての品質の高さはもちろんのこと、血行促進効果やむくみ軽減効果と知った消費者のメリットを明確に分かりやすく伝えられるようになりました。

──般医療機器に登録するうえで、大変だったことなどはありますか?

一般医療機器に登録するには、さまざまな届け出をしなければなりません。工場や倉庫といった製造や保管に関わる施設や、我々ゴールドウインそのものも、医療機器を扱うための認可を取る必要があります。そのため、製造工程や保管方法を見直したり、医療機器を扱った経験をもつ人に我々の仲間に加わってもらったりするなど、基準をクリアできるようにさまざまな努力をしました。

機能性が高いのはあたりまえ。着心地の良さを追求

──コンプレッションタイツの開発で、どんな工夫をされてきましたか?

一般医療機器といっても、我々の製品は病院で使うものではありません。だからこそ、着心地の良さを追求しています。薬は苦くても飲むけれど、ジュースはおいしくなければ飲みませんよね。それと同じで、いくら機能性が高くても心地よくなければはいてもらえないと思うんです。もちろん、医療機器としての性能を担保するために、着圧の安定性は厳しいレベルで管理しながら製造しています。ただそれ以上に、素材選びに力を入れました。

──どんな素材を使っているのですか?

まず、我々のタイツはナイロンをベースに開発した完全オリジナルの生地を使用しています。スポーツ用ウエアは速乾性の観点からポリエステルが使われることが多く、私たちも実際にポリエステルとナイロンでどちらにするか迷いました。それでもナイロンに決めたのは、長時間着用したときの肌なじみの良さ。C3fitのブランドコンセプトが「Compression(着圧設計)」「Conditioning(コンディショニング)」「Comfort(快適性)」の“3つのC”であるように、我々は長い時間快適に着用できるタイツを作るということを優先しました。
また、優しく伸びてしっかり戻る素材特性にもこだわりました。着用する時はやさしく伸びることで履きやすく、でも着用した後はしっかりとした安定した着圧が掛かる。この特性が着脱の時に限らず、運動時の快適性も高めることになります。こういった素材を糸から日本国内で開発しているので、本当の意味で自信を持って「メイドインジャパン」と言えますね。

──構造の面などに工夫はありますか?

C3fitのタイツは3D設計になっています。運動中は、基本的に脚をピンと伸ばした状態でいることはあまりありませんよね。走っているときは常に脚を回転させていますし、多くのスポーツでは、止まっているときでも少し膝を曲げて、すぐに動き出せるような姿勢をとるはずです。そこで我々は、膝を少し曲げた状態にフィットするようにタイツそのものの形状を立体裁断によって少し曲げています。曲げる角度は、いくつものパターンを試作して、私が実際に着用しながらひたすら走って、いちばんストレスのない角度に決めました。近くのフィットネスジムで走ったり、大会でも試着した状態で走ったり……もちろん、膝の角度以外にも、ずり下がりやずり上がりがないか、擦れてしまうところはないか、などさまざまな点をチェックしながら、気になったことがあれば改善するようにしています。

──平山さんみずから走られてテストしているなんて驚きました。テストではどれくらい走るのですか?

年がら年中、新製品や改良中のサンプルが届くので、本当にしょっちゅう走っています(笑)。ウエアの不具合は、最低でも1時間は走らないと見えてこないことばかりなんです。ランナーのみなさんにも、数km走ったくらいでは気づかなくても、大会に出て30kmを超えたころ初めて違和感を覚えたという経験がある人がいるのではないでしょうか。だからこそ、我々もフルマラソンくらいの距離はどんどん走り込みますし、それ以上の距離を走るレースなどにもよく出ています。このように、実際に日本人の体型で、何度もフィールドテストをする必要もあるため、コンプレッションウエアの企画に携わっているメンバーは基本的に何かしらのスポーツをしていますね。

──今後、さらにどんなふうにコンプレッションタイツが広がっていくと思いますか?

現状、まだまだコンプレッションタイツをはくメリットは浸透しきっていないように感じています。だからこそ、一般医療機器として効果をきちんと伝えられるC3fitが、もっと丁寧にコンプレッションタイツをはくことのメリットや必要性を伝えていく必要があると考えています。今はまだ「なんとなくみんなはいているから」と、着圧のないタイツをはいている人も多いと思いますが、タイツもシューズと一緒で、お助けツールとしてパフォーマンスを支えてくれる大切なものです。特に初心者ランナーの方たちにこそはいてもらいたいですね。

──さまざまなスポーツのウエアを作ってきたからこそ、コンプレッションウエアとしての新しい挑戦として一般医療機器に登録されたC3fitのタイツ。機能性が高いのはもはや当たり前のことと捉え、ひたすら快適性を追求する姿勢が印象的でした。平山さんをはじめ開発チームのみなさんみずから、毎回数十キロもの長い距離を走ってはき心地を確かめているという秘話にも驚きです。機能性の高いタイツは決して安価なものではないので、とくに初心者ランナーのみなさんは後回しにしてしまう人も多いと思います。でも、初心者にこそはいてもらいたいのがC3fitのタイツです。ぜひ、タイツのサポート力を活用しながら、快適に走ることを楽しんでみてください。

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