【テクノロジー図鑑vol.34】GoLite(ゴーライト)編 ─ アウトドア界で一世を風靡したブランドが新たな形で復活!ペットボトルから作られたウェアで、地球環境にもライトに
長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで─ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第34回目のテーマは、アウトドア界でウルトラライトブームの火付け役となり、一度はブランドの幕を下ろしたものの、2018年に新たなブランドコンセプトとともに復活した「GoLite(ゴーライト)」です!
GoLiteは、もともと1998年にアメリカのコロラド州・ボルダーで設立されたブランド。ウルトラライトブームの火付け役として大ヒットし、アウトドア界で一世を風靡したと言ってもいいほど多くの人に愛されました。「JAM」というバックパックや、「Shangri-La」というテントは特にブランドの代名詞的な存在として人気で、アウトドア好きのスポリート読者のみなさんにも使ったことのある人がいるのでは? しかし、ブランドそのものは2014年に幕を下ろし、ファンの間では伝説の存在となっていました。
そんな、今でも根強いファンの多いGoLiteが、2018年に新たなコンセプトとともに復活! 日本にも2019年に再上陸を果たしました。ランニングにもぴったりのウェアが展開されており、ランナーにもおすすめのアイテムが数々登場しています。そして、リサイクル繊維を使った環境にも優しい商品展開も魅力のひとつです。
今回は、日本でGoLiteのブランディングや販売を行なうAIFA(アイファ)株式会社の代表取締役・奥野啓介さんに、GoLiteの新しいブランドコンセプトやアイテムの魅力を聞かせてもらいました!
AIFA株式会社のオフィスは、北鎌倉にある築80年以上の古民家! いずれはショップとしてオープンする予定もあるのだとか。ちなみに、奥野さんご自身も以前からGoLiteの大ファンだったそう。アメリカの展示会でブランドの復活を知り、すぐに「日本で販売できるようにしたい!」と、アプローチしたそうです。
環境や社会にも貢献し、さらに愛されるブランドに
──生まれ変わったGoLiteは、「地球の環境にもライトに」というポリシーのもとリサイクル繊維で製品を作っている点がとても特徴的ですね。
ブランドをリニューアルするにあたって、ウルトラライトといった以前からのレガシーを大切にするとともに、社会的に意義のあるブランドを創り上げていくことで、新しくサステナビリティが大きなテーマになりました。現在は全製品の94%がリサイクル繊維でまかなえるようになっており、パッケージに関しても生分解性セルロース樹脂を使い自然にかえることのできる素材を採用しています。また、開発途上国のサポートも積極的に行い、ウガンダに集まる世界の保健医療従事者に12,000以上のユニフォームを提供しています。
──リサイクル繊維は、何から作られているのでしょうか?
ペットボトルをリサイクルしています。ペットボトルって、全世界で毎分100万本生産されているんです。つまり、年間では5000億本ものペットボトルが作られていることになります。でも、現状リサイクルされているのは1割ほどで、4500億本くらいは廃棄されているといわれているのです。
GoLiteではペットボトルを砕いてチップ状にし、さらにそれを糸にして、1枚の布をつくります。だいたい1ヤード、つまり1メートル四方くらいで、ボトルを20本使っています。ペットボトルの緑色をそのまま活かしてプロダクトにしているものもあり、いわばこれがブランドカラーになっているんです。
──さわやかなライトグリーンが素敵です! でも、グリーンペットボトルって日本ではあまり見かけませんよね。
そうですね。海外ではよく使われているんですよ。ですが、グリーンペットボトルをリサイクルしようとすると色を抜いたりするのに大量のコストがかかるということで、ほぼ廃棄されてしまっているといった現状があります。そこで、せめて我々が有効利用しようということで、手間をかけながらもグリーンペットボトルをできるだけ使うようにしているんです。
──透明のペットボトルも使っているんですか?
もちろん使っています。さきほどお見せした薄緑色の生地はグリーンペットボトルだけで作られていますが、プリントして使ったり、色をつけて使う生地については透明のものを中心に使用しています。
でも、リサイクルも難しいんですよ。
──コストや手間がかかるということですか?
もちろんそれもありますが、そもそも原料調達を安定させることが難しいんです。ペットボトルはゴミとして毎日大量に排出されているにもかかわらず、それをきちんと集めて、企業製品の原料として安定的に活用していくにはたくさんのハードルがあります。
どうしてGoLiteではそれを実現できているかというと、サプライチェーンが盤石だから。その背景には、ブランドの協力パートナーである台湾の慈善団体の存在があります。この団体が運営しているリサイクルの非営利企業から原料を供給してもらい、製品の90%以上をリサイクル繊維でまかなうことができているのです。
スポーツの垣根を越えた「アウトレティクス」で、究極の着心地を追求する
──GoLiteのウェアの、ランナーへのおすすめポイントを教えてください!
着心地のよさですね。GoLiteの製品開発の担当者は、アメリカの有名な下着メーカーでの開発経験があるとのことで、特に素材や着心地にはとことんこだわって作られています。下着は身体のデリケートな部分に身につけるものですし、素材感がすごく大切です。GoLiteのウェアも非常にシルキータッチで肌触りがよく、さらにとんでもなくストレッチ性があるので身体にも心地よくフィットします。
──いろいろなウェアを持っていても、気づけばいつも着心地の良いものを身に着けたくなります。ランニングはシンプルな運動だからこそ、走っている途中ストレスを生まない着心地はとても重要なポイントですよね。
私も前職時代からアパレルに携わっていろいろな製品を見てきましたが、GoLiteのウェアは素材も縫製も、非常にクオリティが高いと感じています。
──何か、機能面でも特徴があるアイテムはありますか?
機能面だと、夜道でも走れるようすべてのアイテムにリフレクティブプリントが施されていたり、吸汗速乾や消臭、紫外線カット、撥水など、基本的なスポーツウェア向けの機能はすべて備わっています。
GoLiteでは、アウトドアとランニング、ヨガなどのアスレチックを融合した「Outletics™(アウトレティクス)」というカテゴリのもと商品を展開していて、スポーツごとの垣根を設けていません。最近は技術が進化したからこそ、スポーツウェアは基本的にどんなスポーツにも対応できるものになってきていますし、我々としてはあまり運動の種目にはこだわらず、商品を展開しているんです。
──今後、日本でブランドをどのように広げていきたいか、イメージされていることがあれば教えてください!
ブランドのキーワードにもなっている「リサイクル」というのは、これからさらに当たり前のことになっていくと考えています。ここ1〜2年ほどで、日本でもサステナブルの考えは急速に浸透しましたよね。つまり、今はリサイクル繊維を使っていることがGoLiteの大きな特徴として興味を持っていただくことが多くても、いずれはそれが珍しいことではなくなる日も近いんじゃないかと思うんです。
ですから、その当たり前のなかで、私たちがブランドのよさを伝えていく役割を担う必要があります。そのためにはやはり、人の目に触れて、着てもらって、実感してもらうのがいちばんだと考えているので、今はとにかく日本でしっかりと販路を広げて、多くの方に知ってもらえたらと思っています。
──リサイクル繊維から作られた、環境にもライトなアイテムたち。ブランドコンセプトや社会的意義といった魅力もさることながら、着心地もバツグンなところがさすがです。洗練された機能性と軽さも、以前からのブランドのポリシーが受け継がれているポイント。実際にTシャツを触らせてもらうと、さらりとしたなめらかな手触りと、もっちりとした伸縮性に驚きました! ぜひみなさんも、その着心地を体感してみてくださいね。