【テクノロジー図鑑vol.33】BROOKS(ブルックス)『DNA FLASH』編 ─ 待望のスピードモデル!より長く速く走り続けるためのソール

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長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで─ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第33回目のテーマは、BROOKS(ブルックス)から新たに誕生したソール『DNA FLASH』です!

100年以上の歴史を持つランニングギア専門ブランドのBROOKS(ブルックス)。アメリカのランニング専門店市場でシェアNo.1を誇るなど、“アメリカで一番履かれているシューズブランド”として、多くのランナーから人気を集めています。そんなBROOKSから、2020年に新しく誕生したソールが『DNA FLASH』。今回は、新ソール誕生の背景や特徴を聞いてきました!

お話を聞かせてくださったのは、日本でブルックス製品の販売・プロモーションを行うアキレス株式会社の福本さんと栗岩さんです。

速さを求めるのもひとつの「RUN HAPPY」

──DNA FLASHはどんなソールなのでしょうか?

福本さん:DNA FLASHのコンセプトは「より長くより速く走り続けられるように」ということで、ひとことで言えばスピードモデル向けのソールです。特筆すべきはその軽さで、DNA FLASHを搭載したシューズ『HYPERION TEMPO(ハイペリオン テンポ)』は、27cmのサイズで206g。『GHOST(ゴースト)』シリーズ(290gほど)と比べても、かなりの軽量化を実現することができました。
これまでブルックスでは、反発性の『DNA AMP』、クッション性の『DNA LOFT』といった2種類のソールを軸にさまざまなシューズを展開してきたが、ここにきて新たに軽さ・スピードに焦点をあわせた『DNA FLASH』が誕生したというイメージです。

アキレス株式会社の福本さん(写真左)、栗岩さん(写真右)

アキレス株式会社の福本さん(写真左)、栗岩さん(写真右)

栗岩さん:DNA FLASHは、EVAに液化窒素ガスを混ぜ、超臨界流体発泡という特殊なテクノロジーを用いて成形しています。これにより、非常に細かく発泡させることができるため、軽く、なおかつクッション性と反発性もバランス良く高めることができました。

福本さん:より細かく発泡させることで、へたりにくく、耐久性に優れているのも特徴です。新しい技術によるソールの開発は、ランニングシューズ業界で最初にEVAを採用した歴史を持つなど、長年ソールにこだわってきたブルックスだからこそ実現できたところもあるのではないでしょうか。

DNA FLASHは、EVAに液化窒素ガスを混ぜ、超臨界流体発泡という特殊なテクノロジーを用いて成形している。

──『DNA FLASH』が誕生することになったのは、どんな背景があったのですか?

福本さん:ブルックスは「RUN HAPPY」をブランドコンセプトに掲げ、“すべてのランナーが楽しめるランニングシューズ”の開発を目指してきました。これまで、ブルックスが誕生したアメリカではタイムを気にせず走ることを楽しむ人が多かったのもあり、スピードモデルやレースモデルのシューズはあまり開発されてこなかったのですが、すべてのランナーにフィットする商品展開を実現するには、速さの追求に力を入れたものも必要だということでDNA FLASHが開発されました。

栗岩さん:アメリカではゴルフのスコアをつけないで楽しむ人が多かったり、ランニングでもタイムを気にせず走る人が多いんですよね。とにかく順位や速さ、点数などを気にせずに楽しむ文化があります。でも、日本だと向上心を持ってタイムの更新を目指したり、レースを目標に走る人が多い。もちろん、速さを求めて走るのもひとつのRUN HAPPYです。だからこそ、DNA FLASHの登場によって、ブルックスが日本人にさらに受け入れられるきっかけになるのではという期待もあります。

幅広いランナーのスピードトレーニングに対応

──DNA FLASHが搭載されているモデル『HYPERION TEMPO』についても特徴を教えてください。

福本さん:HYPERION TEMPOは、ブルックスのシューズラインナップのなかでもスピードカテゴリに分類されるもので、目安としてはサブ3.5のランナーにおすすめをしています。ですが実際のところはもう少しビギナーの方にもテンポ走やインターバル走などのトレーニングでお使いいただけますし、さまざまなスピードトレーニングや、レースで活躍してくれるシューズです。

:HYPERION TEMPOは、ブルックスのシューズラインナップのなかでもスピードカテゴリに分類される。

栗岩さん:トラック種目がメインの中長距離選手にも「HYPERION TEMPO」を履いてくださる方が多くて、みなさん20kmのペース走などに活用しているようです。市民ランナーの方は、5〜7分/kmペースで普段走る人が、レースに向けてペース走をするときに活用しているとも聞いています。平日はクッション性を重視した「GHOST」シリーズで軽く走って、休日にしっかりとトレーニングをするときに、DNA FLASHが搭載された「HYPERION TEMPO」を履く、といったように使い分けてくださるランナーもいます。
DNA FLASHは軽さと反発性で楽にスピードを出せるのはもちろんのこと、衝撃吸収力と安定性にも優れたソールなので、幅広いレベルのランナーに履いていただけるかと思います。

──DNA FLASHの誕生や、スピードモデルのシューズ展開など、ブルックスのシューズやソールがこれからさらに、どのように広がっていくかイメージがあれば教えてください。

福本さん:今回新たにスピード・軽量性に秀でたソールが誕生したことによって、”あらゆるランナーの楽しみによりそう”ことの実現に大きく近づいたと感じています。また、DNA FLASHは、材料の配合や柔らかさの微調整によって、さらに機能性や履き心地を追求できる可能性もあり、今後もチャレンジが続けられると考えられます。それから、トレイルランニングシューズにもDNA FLASHが搭載される予定なので、これからのシューズ展開もぜひ楽しみにしていてください。

超臨界流体発泡という特殊なテクノロジーを用いて成形しているDNA FLASH。

──ランニングシューズ専門ブランドとしてソールにこだわり続け、これまで反発性の『DNA AMP』、クッション性の『DNA LOFT』といった2種類のソールを軸にさまざまなシューズを展開してきたブルックス。「すべてのランナーにとってのRUN HAPPY」を実現するために、待望のスピードモデルが誕生しました。長年ソール開発にこだわりつづけたことで培った経験や知見もこめられている新素材、『DNA FLASH』。ぜひ読者のみなさんも、驚くほどの軽さや、楽に速く走れる履き心地を体感してみてくださいね。

『DNA AMP』『DNA LOFT』についてはこちら!

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