【いまから走りたい人へ】かのこ24歳 フルマラソン完走への道のり! その1 目指せ!ケガをしにくい身体 編

特集 かのこ24歳フルマラソン完走への道のり

フルマラソン完走を目指してランニングを始めたばかりの、かのこ。彼女の挑戦に密着しながら、走り方のヒントや、ランニングの魅力についてお届けします。“いまから走りたい人”に向けた情報が盛りだくさんです!

みなさんこんにちは、スポリートアンバサダーのキョウカです。 ランニングの魅力のひとつは、シューズさえあれば誰でもすぐに始められるところですよね。とはいっても、目的や目標、身体の状態などによって、走り方は大きく異なります。そのため、ランニングに興味があっても、実際にどうやって始めればいいのかわからず、なかなか踏み出せないなんていう人も多いのではないでしょうか? そこで本特集では、“いまから走りたい人”に向けて、走り方のヒントやランニングの魅力についてお届けしていきます!

ということで、まずは初心者ランナーのリアルな声を聞いてみたい! と考えていたところ、身近にぴったりな人を発見。フルマラソンに初挑戦するべく、まさにいま走り始めようとしている24歳・かのこちゃんです。これから、ランニング初心者の彼女がフルマラソンに挑戦するまでの道のりを通じて、いろいろな情報をお伝えしたいと思います!

挑戦者

かのこ

かのこ
編集プロダクション勤務の24歳。中学時代は陸上部(中距離)、高校時代はバスケ部に所属していたものの、高校卒業後はほとんど運動していない。2017年末に周りから勧められて、フルマラソン完走を目指し走り始めることを決意。挑戦するレースは、2018年3月25日に開催される第37回佐倉朝日健康マラソン(大会の制限時間は6時間)。
好きな食べ物はわかめ。

いざ、挑戦スタート! ……でも、何から始めればいいの?

さて、「初めてのフルマラソン、完走したい!」と意気込んだものの、「どうやって練習すればいいんだろう……」と、ちょっと不安げなかのこちゃん。高校卒業後はほとんど運動しておらず、現在のお仕事もデスクワークが中心です。そのため、体力にもあまり自信がありません。さらに、くるぶしの脱臼癖があったことから学生時代に手術した経験をもち、ケガの心配も……。さっそく、わからないことや心配ごとがどんどん出てきます。

そこで、まずはいろいろな不安をやわらげるためにも、トレーナーさんに相談してみることに! 京王線聖蹟桜ヶ丘駅近くにある治療院&トレーニングジムの『TREAT(トリート)』さんを訪ねました。

治療院&トレーニングジム『TREAT(トリート)』

教えてくださるのは、実業団での陸上競技経験があり、現在もトレイルランニングやウルトラマラソンの大会で活躍されている矢田夕子先生です。よろしくお願いします!

矢田夕子先生

身体の弱点を知り、ケガしにくい身体を目指す!

かのこ : これから3ヵ月ほど(※取材当時)でフルマラソンを完走できるようになりたいのですが、どうしたらいいですか……?

夕子先生 : ぜひ目指していただきたいのが、“ケガをせずに楽しく走る”ことです。極端な言い方をすると、42.195kmの距離を走りきるだけであれば、そんなに練習をしなくても走れる人はいます。でも、あまり準備をせずに臨むと、多くの場合、途中から脚が痛くなったりしてしまうんです。そうすると、ひたすらつらいだけになってしまいますよね。だから、無理なく楽しくマラソンを走りきるためにも、こつこつ準備しておきましょう

かのこ : 週に何回、何km走ったほうがいい、みたいな練習量の目安はありますか?

夕子先生 : いきなりたくさん走るとケガをしてしまうので、最初は歩くことから始めてみてください。散歩したり、通勤時に遠回りしたりするのでもOKです。スポーツをすることからしばらく離れていたとのことなので、初めは身体を動かすことに慣れていきましょう

かのこ : 歩き慣れてきたら、まずはどれくらい走ってみればいいでしょうか?

夕子先生 : いまはまだ距離やペースを考えなくていいので、最初は“1分走って1分歩く”のをトータルで20分ほど、慣れてきたら5分続けて、次は7分続けて……という具合に、徐々に増やしてみてください。1ヵ月後くらいには、60分間続けて走れるようになっているのが理想です

かのこ : 1ヵ月後に60分……さっそく始めなきゃ!

夕子先生 : コツコツと、ゆっくり増やしていってくださいね。そして、最初にお伝えしたように、大切なのはケガをせずに楽しく走ること。そのためにも、日ごろのランニングと並行して、ケガをしにくい身体をつくるためのトレーニングを行うことが理想的です

ということで、トレーニング方法を教えていただくために、まずはかのこちゃんの身体の状態をチェックすることに。人間の基礎的な動きが含まれる7種目のテストを行い、きちんと身体を使えているか、バランスがとれているかなど、先生に点数をつけてもらいました。

テストの結果は……
21点満点中、10点!
ケガをしにくい身体とされるのは14点以上とのことなので、このままだとケガをしてしまう可能性が高いということ。ちょっと心配です。

夕子先生 : 背中が固まっていて、上半身の可動域がかなり狭くなってしまっているようです。すると、上半身の動きをほかの部分がカバーしようとするため、ムダな動きが増えてしまうんです。その結果、下半身に負担がかかってケガにつながります

かのこ : 高校生のころから、背中が硬いってよく言われていました。デスクワーク中心の仕事で、さらに悪化したのもあるかもしれません……

夕子先生 : それと、片足になったときのスタビリティ(安定性)がとても低いみたいです。このままだと、走るときに足首がグラグラしてしまいます。もともと、くるぶしを脱臼しやすいとのことなので、脱臼を防ぐためにもしっかりと安定性を高めていく必要がありますね。ちなみに、さきほど説明したように、上半身が硬いと下半身のブレにつながるため、安定性を高めるためにもやはり背中の可動域を広げることが大切になってきます

つまり、かのこちゃんはこれから

  1. 上半身の硬さを取る
  2. 片足の安定性を高める

ことを心がける必要があるわけですね!

理想の走り方は、重心の真下に接地すること&足首から前傾すること!

次に、ランニングフォームもチェックしてもらいました。

夕子先生 : 今の走り方だと、オーバーストライド──つまり、足が接地する位置がかなり前になってしまっています

かのこ : オーバーストライドになっていると、よくないんですか……?

夕子先生 : 身体の重心に対して足が斜めに接地することになるので、反発が大きくなります。これではエネルギーを効率よく使えず、余計な負荷がかかりケガの可能性も高まってしまうのです。これが原因でケガをしてしまう方は、結構多いんですよ

かのこ : ちなみに、オーバーストライドになる原因はなんなのでしょうか?

夕子先生 : かのこさんの場合は、やはり背中の硬さと片足の不安定さが大きな要因になっていると考えられます。背中が丸まって腰が落ちているので、重心をうまく運べなくなってしまっているんです

かのこ : では、理想的な接地の仕方はどんな感じですか?

夕子先生 : 重心の真下に接地することです。うまくできるようになれば、結果的にフォアフット──つまり土踏まずよりも前の部分で接地するため、かかとから着くよりも余計なエネルギーを使わなくて済みます。それと、足首から前傾することも心がけられるといいですね

かのこ : 足首からの前傾……?

夕子先生 : 身体をまっすぐにしたまま、足首から倒れるイメージです。自然と重心が前にいくので、足がスムーズに出るようになります。これをできるようにするためにも、やはり腰が落ちないよう上半身の可動域を広げる必要があります

かのこ : 上半身、めっちゃ重要ですね

いざ、弱点克服のためのトレーニング

克服すべき課題が明らかになったところで、実際にトレーニング方法を教えてもらいました! なかでも、「できるだけ毎日、家でも続けてください」と、今後のホームワークに設定してもらったものをご紹介します。

クローリングT – スパインエクステンション

背中の可動域を広げるためのストレッチです。肩甲骨や背骨周りを伸展・屈曲させます。

クローリングT – スパインエクステンション

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  1. 四つばいになって肘をつく。このとき、肘が手よりも内側になるようにする。
  2. 肘のポジションを維持したまま、お尻をかかとにぐっと近づける。
  3. 1の姿勢に戻る。

☆家で行う際は、手のあいだに雑誌などを置くと位置の目安になる。

クローリングT – スパインローテーション

先ほどは、背骨を曲げたり伸ばしたりすることで前後に動かしましたが、今度はひねることで回旋させます。

クローリングT – スパインローテーション

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  1. 四つばいになり、お尻をかかとにつけるように落とす。
  2. 片手を頭の後ろにつけた状態で、肘を逆の腕の下にくぐらせるように背中を丸める。
  3. 今度は肘が天井を向くように開く。

ブレーシング

体幹を安定させるために、腹圧を高めるトレーニングです。腹圧は、身体の内側にかかる圧力のこと。胸からお腹にかけて、上半身が筒状に膨らむようなイメージで呼吸することで、横隔膜が下がって腹圧が高まります。

ブレーシング

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  1. 仰向けに寝る。
  2. 鼻から大きく息を吸い、鼻もしくは口からゆっくりと吐く。(胸とお腹が同時に膨らむよう意識する)

☆ひざにボールを挟むと感覚がつかみやすい。ボールがなければクッションなどでもOK。

RDLパターニング

オーバーストライドの要因のひとつでもある、背中の丸み&腰の落ちを改善するためのトレーニング。骨盤を動かして可動域を広げていきます。股関節を、蝶番のように動かしましょう。

RDLパターニング

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  1. 背中側で棒を縦に持ち、頭・背中・お尻(仙骨)にしっかりとつける。
  2. 軽くひざを曲げる。(10〜20°くらい)
  3. 尾骨を引き上げるようなイメージで、股関節を起点に上半身を倒す。このとき、棒が最初につけた3点から離れないよう注意。
  4. 状態を起こし、ひざ・股関節をしっかり伸ばす。

☆トレーニング用の棒がなければ、傘でもOK

フルマラソン完走を目指すなら、コツコツ準備することが重要

練習のポイントや心がけるべきこと、そして具体的なトレーニング方法も教わり、かのこちゃんの不安もいくらか和らいだようす。フルマラソンを楽しく完走するためには、がむしゃらにたくさん走るというよりは、コツコツとケガをしにくい身体をつくることが大切なのですね。また、かのこちゃんのように背中が丸まりがちで、オーバーストライドになってしまう人は多いとのこと。当てはまりそうだと感じた方は、今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてみてください!

ひとまず、直近の課題は、教わったトレーニングをできるだけ毎日続けること&1月中に60分間走り続けられるようになること。フルマラソンへの挑戦が、本格的にスタートしました。果たして、42.195kmを走りきることはできるのでしょうか! 今後もかのこちゃんの挑戦を通して、“いまから走りたい人”に向けたお役立ち情報をお届けしていきます。次回もお楽しみに!

取材協力

TREAT
〒206-0002
東京都多摩市一ノ宮2-6-39 IMビル2・3F
最寄駅 : 京王電鉄京王線「聖蹟桜ヶ丘」駅より徒歩4分
TEL : 042-400-6397
http://treat-running.com/

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