【テクノロジー図鑑vol.17】RaidLight(レイドライト)『RESPONSIV DYNAMIC』編─フランス発のトレランブランドから誕生したオールラウンドシューズ
長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで。ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第17回目のテーマは、レイドライト『RESPONSIV DYNAMIC SHOES』です!
今回のテクノロジー図鑑では、フランス発のトレイルランニングブランド『レイドライト』から2019年発売のシューズ『RESPONSIV DYNAMIC』についてお話を聞いてきました。コアなトレイルランナーの間で愛される「山発」ブランドから生まれた新しいシューズ。スキーブーツのノウハウを取り入れたという、足裏の感覚を繊細に伝達できる走り心地と、トレイル以外にもロードやアウトドアなど様々な場面で活用できるサポート力が魅力です。
フランス発のトレラン専門ブランド
──まずは、レイドライトのブランドの特徴について教えてください。
レイドライトは2019年で20周年を迎える、フランス発のトレイルランニングブランドです。創業者のベヌワ・ラヴァルは今も現役のトレイルランナー。もともとフランスの山岳地帯の標高1000メートルの場所に本社があり、そこで開発からテストまですべてが行われて商品を世に送り出してきました。開発に携わるメンバーが実際に山岳地帯で暮らしているからこそ、「自分たちが使いたい」という観点でものづくりをしているのがレイドライトの特徴です。
お話を聞かせてくださった、レイドライトの笠原幹正さん
──2019年に発売されるモデルから、開発の拠点がイタリアに移ったと聞きました。
そうなんです。レイドライトは2016年からグループ・ロシニョールの一員になったこともあり、ロシニョールが持つウィンタースポーツのものづくりのノウハウを活用して、よりよい商品を生み出していけたらと、ロシニョールの研究開発センターがあるイタリア・モンテベルーナに開発の拠点を移しました。
スキーブーツのノウハウを取り入れた新しいトレランシューズ
──2019年に登場するシューズの中から、オールラウンドに活用できるという『RESPONSIV DYNAMIC』の特徴について教えてください。
特徴的なのは、アウトソールのグリップ性です。レスポンシブダイナミックはラグ(地面と接する凹凸の部分)を深く作ってあるので着地時のグリップ力が高く、厚みがあるぶんクッション性も高くなっています。ラグの位置は、足運びがスムーズになるように、かかとで着地してから蹴り出すまでの動きに併せて配置されています。
──このラグは新しい形状なのですか?
そうです。今回の新モデルのために、イタリアで新しく開発された構造です。それからアウトソールのほかに、ミッドソールにも仕組みがあって、素材の泡の密度を変えることで、反発・クッション性を変えています。異なるクッション性の素材を組み合わせることで、効果的に衝撃を吸収できるようになっています。
また、もうひとつ特徴的なのは中敷きです。かかと、母子球、拇指球という3箇所を支点ととらえて、クッション材を配置しています。このように、「点」でしっかりとらえてバランスをとれると、蹴り出しまでの力の伝達をスムーズに行うことができます。
──中敷きにも異なる素材を組み合わせる構造は、珍しいように思います。
そうですね、このノウハウはスキーブーツからきたものなので、開発拠点をイタリアに移したことで新たに実現できたアイディアでもあります。スキーのエッジは、足の限られた位置にしかついていません。それで、いかにロスなくパワーを伝達し、繊細に足裏で体重移動をコントロールすることで、スピードや方向をコントロールしています。この厳密性を、今回のシューズにも取り入れているのです。
そして、もうひとつの大きな特徴は、タンの厚さと、かかとのホールドです。
ここの肉厚さが山を走るときに重要で、坂道を走るときの足首やかかとへの負担を軽減してくれます。ふんわりとしたクッション性と、かかとを360°包み込んでくれる感覚は、はき心地の良さという面でも重要なポイントです。
──ちなみに『RESPONSIV DYNAMIC』は、ロードで履いてもいいのでしょうか?
トレイルランニングのシューズは、ラグの厚さがクッション性に結びつくので、ロードでも足への負担をやわらげてくれます。
我々は山で誕生したブランドだからこそ、「山から街へ」という考えを持っています。山が好きだからこそ、山の良さを伝えていきたい。その結果、普段のランニングでも、キャンプでも、様々な場面でこのシューズをはいてもらって、トレイルも楽しんでもらえたらうれしいです。これからトレイルランを始めてみたい、という人にも、この『RESPONSIV DYNAMIC』はおすすめです。
──ずばり、トレイルの魅力はどんなところだと思いますか?
空気と爽快感ですかね。景色、空気、それから下りの爽快感はトレイルでしか味わえないと思います。景色がきれいな場所で一度足を止めて一休みする、なんていうご褒美もトレイルならではです。そして、山の中を走るからこそ、安全に楽しむための装備を揃えることも楽しさのひとつではないでしょうか。トレイルは「ロードを極めた人」のものだというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、トレイルだからこそ味わえる楽しみもたくさんあります。安全に気をつけながら、ぜひ初心者にも山に来てもらえればと思います。
──「山発」のブランドならではの視点と、スキーブーツのノウハウを取り入れた新しいはき心地。山では不安定な道での走りを支えてくれるグリップ性が、ロードではクッション性としてサポートしてくれます。これからトレイルに挑戦してみたいという人にもおすすめの、さまざまな場面で履ける一足です。山への愛がいっぱいに詰まったレイドライトのシューズを、一度試してみてはいかがでしょうか?