【テクノロジー図鑑vol.25】ディアドラ『MYTHOS MDS』編─靴作りの本場イタリアで誕生。弾むように走れる新機能「マス・ダンパー・システム」
長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで─ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第25回目のテーマは、DIADORA(ディアドラ)から2019年秋に登場した新モデル『MYTHOS MDS』です!
70年以上の歴史を持つシューズメーカー『DIADORA(ディアドラ)』。幅広いスポーツシューズを展開しており、サッカーやテニス経験者の方には馴染み深い人も多いのでは?
今回はそんなディアドラのランニングシューズに搭載されているテクノロジーについてお話を伺ってきました。
靴作りの本場・イタリアで誕生した歴史あるブランド
──まずは、『ディアドラ』のブランド背景について教えてください!
ディアドラは、1948年にイタリア・ベネット州の田舎町で誕生した、70年以上の歴史を持つブランドです。当初は登山靴やワークブーツのメーカーとして靴作りを行っていました。イタリアは靴作りがかなり盛んな地域なので、そこでいろいろな靴メーカーさんと切磋琢磨をする中で、ブランドの特色を伸ばしていくためにも、スポーツシューズの分野に焦点を当てるようになりました。1960年代にはスポーツ用品の製造に着手していて、スキーやサッカー、テニスなど様々なスポーツのシューズを生み出すようになりました。その後、1980年ごろからランニングシューズの開発がスタートしたと聞いています。
お話を聞かせてくださった、ディアドラ(株式会社DMR)の菅澤さん
──ブランドとして大切にしていることがあれば教えてください。
ディアドラは、イタリアの優れた職人達による「クラフトマンシップ」と、品質の「信頼性」、そして最先端のスタイルを取り入れ、技術革新を追求する「イノベーション」といった、3つの考えを大切にしながらものづくりを行っています。僕自身もイタリア本社の人たちと接してきたなかで、歴史あるブランドとして、その職人として、かなり誇りを持っていることを実感しています。アスリートは、ケガをして選手生命を絶たれてしまう方も多くいらっしゃいますし、僕たちも日々健康でなければ仕事も生活もできません。そういった責任感のもと、スポーツをする人たちの「足元を守るギア」を届けようといった思いを常に持っています。
それから現在、イタリア本国のディアドラ社にはジェリンド・ボルディンという元マラソン選手がいて、彼がパフォーマンス系ラインの開発トップを務めています。彼はソウルオリンピックでイタリア人で初めてマラソン優勝を果たし、ヨーロッパの選手権も2連覇、それからボストン・マラソンでも優勝した経験を持っています。ボストンマラソンとオリンピック、どちらも優勝したことのある男性マラソン選手は、いまだに彼以外にいません。このように、経験と実力を持つ人がシューズの開発に携わっているというところは、ひとつの大きな特徴だと言えるかと思います。彼自身の経験や感覚も、シューズ開発に活かされているのです。
ディアドラの軸となったテクノロジーたち
──これまで、ディアドラのランニングシューズに搭載されてきたテクノロジーについて教えてください。
まず、「ダブルアクション」という機能があります。こちらは90年代に登場した機能で、ディアドラのスポーツシューズの軸になったテクノロジーとも言えるかと思います。かかと部分にはクッション性、前足部には反発性に特化した材料がミッドソールの内部に搭載されていて、衝撃吸収と反発性を両立した当時最先端のテクノロジーです。こういった機能を基盤にしながら、現在のディアドラのメインテクノロジーとなっている「ブルーシールド」や「マス・ダンパー・システム」に派生してきました。
イタリアの国旗を模したカラーリングになっている
現在も、ダブルアクション機能が搭載された復刻モデルが販売されている
──「ブルーシールド」はどんなテクノロジーなのでしょうか?
ブルーシールドは、身体のバランスをキープすることに重きを置いたテクノロジーです。ソールはたくさんの突起がある構造になっていて、かかと部分には高くて大きな突起、つま先には細かい突起、と、絶妙なバランスで配置された突起によってバランスを調整し、ランニング時の足のブレなどを軽減してくれるようになっています。安定性が高いので、自分のペースでバランスよく走りたいランナーにおすすめです。
たくさんの突起が集まった独特の構造
弾むように走れる最新機能「マス・ダンパー・システム」
──「マス・ダンパー・システム」はどんなテクノロジーですか?
こちらは、2019年の秋冬シーズンに新しく登場したモデル『MYTHOS MDS』から初めて搭載された最新のテクノロジーです。着地時の衝撃を逃さずに保持して、蹴り出し時のパワーに変換してくれます。ソールをうまくTPUでコーディングすることによって、着地時のパワーを逃さないようにしています。バネのように勢いよく走れるので、弾むような走り心地を楽しみたいランナーにおすすめです。
2019年秋に新登場した『MYTHOS MDS』
ソールをTPUでコーディングすることでパワーを逃さない
アウトソールには耐磨耗性に優れたディアドラ独自のラバー素材『DURATECH 5000』も搭載
──ディアドラのランニングシューズを、どんなランナーに履いてもらいたいですか?
ディアドラでは「サブ3向け」などの、いわゆる数字の目安は特に設けていません。ブランドとしては「スポーツを通じて人々の心を豊かにする」ことを大切にしているので、ランニングを日常の一部として健康的に、アクティブに楽しんでいる人たちに届けたいと考えています。普段、ほかのスポーツをされている人たちも、トレーニングのために走るという人は多いと思いますし、近年では部活動を頑張る学生のみなさんもトレーニング時にはランニングシューズに履き替えるという人が増えてきているので、広くスポーツを楽しむ人に履いていただければうれしいです。
ディアドラというブランド自体、知らなかったという人も多くいらっしゃると思います。今回ご紹介したようなテクノロジーや歴史を持つことをひとつのフックにしながら、少しずつ履き心地を体感していただいて、今後も認知を広げていければと考えています。
──靴作りの本場イタリアで誕生し、クラフトマンシップを大切にものづくりを続けてきたディアドラ。70年以上の歴史あるブランドとしての誇りを持ちながら、最新のテクノロジーを追求し続けてきました。そんなディアドラから新登場した「マス・ダンパー・システム」。みなさんも、弾むような走り心地をぜひ体感してみてください!