高地トレーニング専門スタジオ「Koach」でトレーニング体験!
一流アスリート達が取り入れ、結果を出していることで広く知られるようになった高地トレーニング。実施できる場所は遠隔地にあることも多く、誰にでも気軽に行えるものではありませんでした。 今回お邪魔したのは、標高2500m級の高地環境でトレーニングが体感できる、神奈川県平塚市にある高地トレーニング専門スタジオ「Koach」。高地環境下でのトレーニングが気軽に行える、駅から近い施設です。今回はスポリートアンバサダーの横浜の全力中年さんに高地トレーニング体験をしていただきました!
高地トレーニング専門スタジオ「Koach」ってどんな施設?
高地トレーニング専門スタジオ「Koach」は、JR平塚駅北口から徒歩3分。平塚スポーツケアセンターの中にあります。
右手に見える、壁で区切られた空間が高地トレーニングスタジオです。体験の前に、平塚スポーツケアセンター・Koach 石井隆行さんから、高地トレーニングの仕組みや施設説明、高地トレーニングに際しての注意事項についてお話を伺いました。
手前の黒いウェアが横浜の全力中年さん、青いウェアはスポリート長岡さんです!
高地トレーニングスタジオは密閉された「常圧低酸素ルーム」になっています。室外から取り込んだ空気から酸素だけを抜き出し、スタジオ内に供給することによって常圧低酸素が保たれるのです。
高地環境は一般的に低気圧のため、高山病の症状等で不調が出てきます。それに対してスタジオ内は外と気圧が同じため、酸素濃度が低いことをほとんど感じずにトレーニングが行えます。
室内は標高2500mから3000mの高地トレーニングを体感できる設定になっています。実際にスタジオ内で運動をしてみると、心拍数が上がりやすかったり、血中酸素濃度が落ちやすかったりと、普段通りの運動ができない方が多いそうです。
実際に高地トレーニングをしてみよう
今回は、胸周りに最大心拍数を190に設定したハートレットモニター(チェストベルト式の心拍計)をつけて心拍数を管理します。
モニターには最大心拍数190に対して、現在の心拍数がパーセント表示で出ています。何もしない平常時はモニター画面がグレーですが、60%を超えるとブルー、70%超でグリーン、80%超でオレンジ、90%超でピンクと、運動強度(負荷具合)によってモニターのカラーが変化します。ランナーの方は80程度、アスリートの方は85以上を目指したいところ。
トレーニング前の測定
トレーニングスタジオ入室前に、指先でSpO2値を測ります。この小さな機械で指先をはさむだけで、血中酸素濃度がわかるんですよ。
SpO2値の正常値は96%~99%。この数値が90まで下がってしまうと呼吸不全の可能性があり、息が苦しい状況です。
高地トレーニングスタート
トレーニングスタジオ内の室温は、20度前後に保たれています。室内は酸素濃度が低くなっていますが、中に入っただけでは外との違いはあまり感じられず、息苦しさもありません。ただ、酸素が薄いため、スタジオに入っただけで通常より心拍数が10%程度上がります。これは、酸素が足りない分を心拍数で代償していることが理由です。
トレッドミル(ランニングマシン)が3台並んでいます。自走式2台と電動式1台のうち、今回は自走式を選び、横浜の全力中年さんは右奥のマシンでトレーニングを開始しました。まずはゆっくりと歩き、マシンに慣れていきます。 モニターに映し出されているのは、心拍数と運動強度です。
3分走ったところでSpO2値を測ってみます。93%なので、すでに少しきつい状況ですね。一人ひとりの状態を見ながら、数値も把握しながら運動量を調整していきます。
低酸素の環境にいるだけでミトコンドリアが活性化して熱を発するので、汗をかきやすくなります。まめに水分補給をしながらトレーニングを行いましょう。スタジオに入った時は肌寒いくらいに感じましたが、実際に体を動かし始めると汗だくです。
少しずつ高地環境での運動に慣れて、笑顔が出てきた横浜の全力中年さん。でもモニターはオレンジ色! かなりの運動負荷がかかっていることがわかります。
10分走ったところでSpO2値を確認すると、数値が82%まで落ちてしまっています。かなり息苦しいはず。
10分走り小休憩、また10分走り、高地トレーニング体験が終了しました。
高地トレーニングを終えて
――横浜の全力中年さん、高地トレーニングと普段のトレーニングの違いをどう感じましたか?
横浜の全力中年さん:普段感じる心拍数より20ほど多く感じました。ゆっくり走っても心拍数が戻りにくく、走っても思うようにスピードが上がらない、息を吸っても普段より吸い込めない。運動中の負荷を実感しました。
――石井さん、横浜の全力中年さんへアドバイスをお願いします。
石井さん:高地環境に対してあまり強くない=SpO2値が落ちやすい方だったので、まず低酸素の環境に順応するようじっくり高地トレーニングに取り組むのがおすすめです。低酸素の場所で運動をすることで、平地に戻ってきた時に酸素を使う効率が上がります。それによって乳酸回収率が上がり、ペースや持久力のアップにつながりますよ。
ランナーは、高地トレーニングをこう活用しよう!
――最後にスポリートを読んで下さっているランナーの皆さんに向けて、高地トレーニングの上手な取り入れ方についてアドバイスをお願いします。
石井さん:高地トレーニングは走力や体力にかかわらず、どんな人にも役立てることができます。個人の目標にあわせて柔軟に対応が可能です。一週間の練習スケジュールを見せていただき、その人に合わせた個別アドバイスをします。
石井さん、ありがとうございました!
取材協力
高地トレーニング専門スタジオ『Koach』
〒254-0034 神奈川県平塚市宝町9-14 平塚スポーツケアセンター内
TEL:0463-25-4871(完全予約制)
11:00~22:00(日曜定休)
http://koach.hiraspo.com/
ご予約の上、トレーニングウェア、室内用運動靴、タオル、水分をお持ち下さい。