【テクノロジー図鑑vol.35】BMZ編 ─ 重要なのは立方骨と足の指!? インソールで足から健康をつくる「キュボイドバランス理論」

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長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで─ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第35回目のテーマは、インソール業界に新しい常識を生み出した「BMZ」のキュボイドバランス理論です!

群馬県で誕生したインソールブランド「BMZ」。その高機能インソールは、スキー日本代表選手、アルペンスノーボード日本代表選手、プロゴルファー、サッカーJリーガー、プロ野球選手、陸上選手など、日本国内外の多くのトップアスリートに愛用されています。

スポリート読者のランナーのみなさんは、インソールを活用していますか?
「大切だとは聞くけれど、必須ではないから後回しにしてしまっている」という人も多いのではないでしょうか。今回は、そんなランナーのみなさんにぜひ知ってもらいたい、インソールの重要性や、足から身体の健康を実現する新常識についての話題をお届けします。

スポリート編集部は、群馬県にあるBMZのスタジオにお邪魔し、取締役社長の高橋毅さんにお話を伺ってきました。

ということで今回スポリート編集部は、群馬県にあるBMZのスタジオにお邪魔し、取締役社長の高橋毅さんにお話を伺ってきました。

足を固定せず、「立方骨」をピンポイントで支える新しい理論

──まずは、BMZのインソールの特徴を教えてください。

BMZでは、独自の「キュボイドバランス理論」に基づきインソールを展開しています。
キュボイド(cuboid)とは立方骨のことで、足の外側にある骨のひとつ。「キュボイドバランス理論」は、この立方骨を中心に足の骨格バランスをサポートするという考え方です。

──立方骨は、そんなに大切な骨なのですか?

足において、安定性をつかさどるのは「外側部」です。その外側部の「アーチ」の中心にある骨が立方骨なのです。また、「内側部」は外側部の上に乗る形で機能しているため、立方骨を支えることで外側部の土台が安定し、その上に乗っている内側部の運動部分はさらに動きやすくなります。

足において、安定性をつかさどるのは「外側部」です。その外側部の「アーチ」の中心にある骨が立方骨なのです。また、「内側部」は外側部の上に乗る形で機能しているため、立方骨を支えることで外側部の土台が安定し、その上に乗っている内側部の運動部分はさらに動きやすくなります。

──これまでにもインソールを選ぶときには「アーチ」や「3点アーチ」という言葉を耳にすることが多かったのですが、立方骨を支えることで、このアーチも良い状態になるということでしょうか。

足には「横アーチ」「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」といった3つのアーチがあり、私たちはこの3つを合わせて「足のドーム」と読んでいます。このドームをバランスよくより自然な状態に近づけることが、足の安定性と運動性を両立させるうえでとても重要です。「立方骨」は、足のドームを支えるもっとも重要な位置にあるため、立方骨を支えることが、足を良い状態に保つことにつながるのです。

足には「横アーチ」「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」といった3つのアーチがあり、私たちはこの3つを合わせて「足のドーム」と読んでいます。このドームをバランスよくより自然な状態に近づけることが、足の安定性と運動性を両立させるうえでとても重要です。「立方骨」は、足のドームを支えるもっとも重要な位置にあるため、立方骨を支えることが、足を良い状態に保つことにつながるのです。

──なるほど。BMZのインソールを見せていただいて、その薄さにとても驚きました! 足のアーチ(ドーム)を支えるインソールといえば、もっと厚みがあるイメージを持っていたのですが、こんなに薄くて大丈夫なんですか…?

はい、ご安心ください。BMZのインソールは、いわば足のキーポイントともいえる立方骨に焦点を定め、適度に支えることで機能を発揮します。また、足を自然でより良い状態に保つには、土踏まずを支えすぎないことが重要だと我々は考えているんです。

丸いマークが描かれているあたりが立方骨の場所 丸いマークが描かれているあたりが立方骨の場所

丸いマークが描かれているあたりが立方骨の場所

──「支えすぎない」ですか…?

土踏まずのサポートがしっかりとした従来のインソールも、低下した足の機能を補う場合に非常に有効な方法であるといえますが、運動性を司る内側部の動きを制限することにもつながってしまいます。従来のインソールのルーツは、第一次世界大戦にドイツの医師が足を怪我した兵のために開発したものとされていて、いわばギブス的に作られたものが今の機能性インソールのもとになっているそうです。つまり、土踏まずを持ち上げてアーチを「固定」するという考えが主流でした。

ですが、足関節というのは内側にねじれたり、回内したり回外したり、複雑かつ、しなやかな動きをしながらひざや腰など身体のほかの部分にかかる負担を軽減しています。そのため、あまり固定してしまうと足本来の動きが制限されることになり、ときには身体に不調が出てしまう場合があるのです。

また、薄さのおかげでシューズの中で窮屈さを感じることもないという声をいただくことも多く、トップアスリートからも好評をいただいています。

自分の足でとにかくテスト! キュボイドバランス理論誕生秘話

──BMZが「キュボイドバランス理論」にたどり着くまでに、どんな経緯があったのでしょうか。

まず、ブランド誕生の経緯をお話すると、BMZは私が前職時代に勤めていたスポーツショップで始めた事業をきっかけにスタートしました。その後2001年に独立し、そのまま事業を引き継がせてもらう形でブランドが生まれました。当初はスキーブーツの調整とインソール開発を専門にしており、スキーのオリンピック選手など数多くのトップアスリートの足を見させてもらってきました。

そのなかで、思うような結果が出なくなってきたこともあり……。もちろん私としてはできる限りの力を尽くしたのですが、それを機に「従来のやり方以外の、新しい方法を見いださなければ」と考えるようになったのです。

スキーのほかにも、現在はサッカーや野球、ラグビー、ゴルフ、陸上競技などなど、数々のトップアスリートにBMZのインソールが愛用されています。 スキーのほかにも、現在はサッカーや野球、ラグビー、ゴルフ、陸上競技などなど、数々のトップアスリートにBMZのインソールが愛用されています。

スキーのほかにも、現在はサッカーや野球、ラグビー、ゴルフ、陸上競技などなど、数々のトップアスリートにBMZのインソールが愛用されています。

──立方骨の重要性に気づいたのは、どんなきっかけだったのですか?

立方骨の重要性を知ったのは、カイロプラクティックのドクターであるK先生との出会いがきっかけでした。
偶然足を運んだヘルスケア関連の展示会でK先生と出会い「足の骨格のバランスは立方骨から崩れるから、インソールは立方骨から調整してあげなければ良い結果が出ません」という話を聞きました。ですがその頃は、立方骨なんて一般的に周知される存在ではありませんでしたし、フットウェア分野の教科書的なものにも、一切書かれていなかったんですよね。それで当時は半信半疑で、実践には至りませんでした。

ですが、アスリートの良い結果をサポートするためにも、新しいことに挑戦しなければということで。K先生に言われたことを思い出し、少しずつ取り入れるようになっていったのです。

──どのように形にしていったのでしょうか?

私がとにかく自分の足を使ってテストしたというのが始まりですね。
私自身もサッカーをやってきて、社会人時代も続けていたので、開発したインソールをいろいろと試しながら試合に出たりもして。インソールでパフォーマンスが変わるという実感は持っていましたし、立方骨を上げることによって足が速くなる感覚も得られました。

ですが、あるとき半月板を損傷してしまったんですよね。サポート力には問題ないように感じていたのに、どうしてケガをしてしまったのだろうと当時は疑問に思いましたが……そのころは、従来型のインソールに立方骨を支える理論をプラスしたもので、つまり土踏まずを固定しすぎだったわけです。立方骨を上げることでパフォーマンスは上がったけれど、足本来の動きが制限された結果、ターンの瞬間にうまく回内できずにひざに負担がいってしまいました。その後少しずつアーチの固定をなくしていき、今の「キュボイドバランス理論」が誕生しました。

BMZの工場ではインソールが手作業で大切に作られています。 BMZの工場ではインソールが手作業で大切に作られています。

BMZの工場ではインソールが手作業で大切に作られています。

指を使うことで、足が鍛えられる

──ランナーは、BMZのインソールをどのように活用するのがおすすめですか?

普段の練習では「アシトレスポーツ」を使って足を鍛えておき、レースでは「アシトレブースター』がおすすめです。

アシトレブースター

アシトレブースター

──アシトレブースターはどんなインソールなのでしょうか?

立方骨を支えるという基本の機能に加えて、靴の中でも足の指を使える環境を作り出すことができるインソールです。また、かかとのフィット感も良いのでランニング時の快適性やパフォーマンスもサポートしてくれます。

──足の指を使うことが大切なのですか?

そうなんです。
よく、「現代人は足のアーチが下がっている」と言われることがありますが、これは足の指を使っていないためです。というのも、今の靴は楽に体重移動ができるように、つま先が上がった構造になっているから。スムーズに歩行したり、走ったりするという点ではとても効果的な構造なのですが、そのぶん足の指を使わなくても前に進めてしまうので、あまり頼ってばかりだと足本来の機能や筋力が低下しまうのです。現代ではこのような靴がもはや当たり前の存在なので、もはや足が“未発達”とも言えるかもしれませんね。

また、かかとで着地する人も多いのですが、本来、足の衝撃吸収機能は前足部に備わっています。その場で試しにジャンプしてみてください。前足部で着地するでしょう? かかとで跳ねる人はいないと思います。
とは言っても、ランナーのみなさんならイメージしやすいかと思うのですが、いきなりフォアフットで走ろうとしてケガをしてしまうというパターンが非常に多い。これも、足がきちんと鍛えられていないからです。足の衝撃吸収システムをきちんと鍛えて、足のドームを整えるためにも、指を使うことがとても重要です。

インソールを効果的に活用するためには、足の形に合った靴を履くことも大切。可能であれば5本指靴下を履いてもらうと、より足の指をしっかりと使えます。また、慣れない筋肉を使うことになり、始めは疲労が出やすくなると思うので、ぜひマッサージもしてあげてください。

BMZのスタジオで足型の測定もしてもらいました。指がきちんと使えているか、アーチがどれだけ下がっているか、どんなケガに注意が必要か…など、様々な情報を出してもらえます。 BMZのスタジオで足型の測定もしてもらいました。指がきちんと使えているか、アーチがどれだけ下がっているか、どんなケガに注意が必要か…など、様々な情報を出してもらえます。

BMZのスタジオで足型の測定もしてもらいました。指がきちんと使えているか、アーチがどれだけ下がっているか、どんなケガに注意が必要か…など、様々な情報を出してもらえます。

──BMZの今後の展開について、イメージされていることがあれば教えてください!

今は、選手一人ひとりに合わせて左右の高さを調整できる靴をつくることなども考えているところです。人間の身体は骨格に左右差がある場合がほとんどで、これをうまく調整してあげられるとさらに良いパフォーマンスを実現できると考えています。
今後も、立方骨を支えるというキュボイドバランス理論を基盤にしながら、足の指を使って足の筋肉を刺激する「アシトレ」シリーズのテクノロジーなども活用し、「足から健康な体をつくる」ための新しい常識を世の中に広めていきたいです。

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