【テクノロジー図鑑vol.30】足に心地よく、地球に優しい最先端のシューズブランド『オールバーズ(Allbirds)』─ 待望のランニング用シューズが登場!
長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで。ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第30回目は、ウールやユーカリといった環境に配慮した自然素材へのこだわり、何にでも合うミニマルなデザイン、優しい履き心地で今大注目のシューズブランド『オールバーズ』にフォーカスします。
サンフランシスコで誕生したオールバーズは、多くの著名人も愛用し、アメリカの『TIME』誌には「世界で最も快適な靴」と評されました。
日本では2020年の1月に原宿に1号店がオープンするやいなや、スニーカーファンやファッション、サスティナブルに敏感な人たちが詰めかけるホットなスポットに。そのオールバーズから4月に待望のランニング用モデルが発売されたと聞き、スポリート編集部としてもこれは見逃せないと、マーケティングディレクターの蓑輪光浩さんにお話を伺ってきました。
地球に優しく快適で履きやすい! オールバーズの魅力
2016年に誕生したオールバーズは、シンプルでどんなファッションにも似合うスニーカー。ニュージーランド産のメリノウールやユーカリの木のツリー繊維をアッパーに、ソールや中敷きにはヒマシ油やサトウキビといった自然素材、またリサイクルペットボトルやリサイクルダンボールといったものも使われており、サステナブルなものづくりの姿勢にも多くの人が共感しているブランドです。あのレオナルド・ディカプリオも出資者に名を連ね、その履き心地やブランドの哲学に共感する著名人もこぞって履いているシューズです。
商品のラインナップはユニセックスが基本。アッパーがウールの「ウールランナー(Wool Runners)」、アッパーがユーカリ繊維の「ツリーランナー(Tree Runners) 」といった代表的なモデルのほか、撥水機能を持たせたものや、スリッポン、女性向けにはバレエシューズタイプもあります。自然素材を基本にしたこれらのシューズは洗濯機で洗うことが可能。メリノウールは通気性や保温性の良さ、匂いがつきにくいことも人気の秘密です。無駄のないデザインにベーシックなカラーを基本にしたシリーズは、ファッションアイテムとしても高い注目を浴びています。靴以外にはソックス、6月にはアンダーウェアのラインも発表されました。
ウールランナー/¥12,500(税込)。 箱の内側にはイラストが入り、笑顔の型押しがされたダンボール製のシューキーパーも遊び心いっぱい。
日々の装いにマッチし、かつランナーを満足させられる新モデル「ツリーダッシャー」
ウールランナーやツリーランナーは日々のランニングに使用することはもちろん可能ですが、基本はデイリーユースのスニーカーといえます。今回発売された「ツリーダッシャー(Tree Dashers)」は「ランニングでパフォーマンスを出せるシューズ」として開発された本格的なランニングシューズです。
アッパーにはユーカリの木を原料にしたツリー繊維を使用し、シューレースの内側や靴ずれしやすいかかとには他モデル同様にウールを使用し、足ざわりのストレスを減らしています。ソールは二重構造でクッション性と反発性があり、走りやすく安定感のある形状も特徴。適度な傾斜のあるソールは足を前に運びやすく、前足部は広くてゆったりしているので身体への負担を減らしてケガ予防も考えたつくりです。もちろん他商品と同じく、洗濯機で洗うことができます。
カラーは現在ベーシックな一色タイプのほか、シューレースにアクセントカラーを配した全8色。今後もカラーやデザインは随時アップデートされる予定。
蓑輪:オールバーズの既存のモデルでもランニングはできます。でもランナー向けのパフォーマンスシューズを作りたいという考えが元々ブランドにはあり、そのための性能を満たしたモデルとして開発しました。とはいえ、このツリーダッシャーは1分1秒のタイムを争うとか、またはマラソンでサブ3やサブ4を出すために履くというのとはちょっと違っていて、もっとカジュアルに使っていただけるものとして考えています。例えば、出張先で空き時間にランニングをするという方もいますよね。そんなとき、わざわざ靴を持っていくのは荷物になります。少しアメリカっぽいですが、オールバーズのシューズなら仕事と兼用できるデザインとして開発されました。しかも本格的なランニングもできる、そんな風に多彩に使えるものとして捉えてもらえたらなと考えています。
ランニングシューズというといかにもスポーツアイテムというイメージがつきまといますが、記録のためのシューズではなく幅広く使える汎用性こそオールバーズらしさ。ツリーダッシャーはシャープでスポーティな雰囲気はありつつ、他モデル同様スポーツウェア以外の服装に合わせてもしっくり馴染む、ベーシックでオン・オフを選ばないランニングシューズといえます。
蓑輪:ランニングはさまざまな競技がある中でも、ダイレクトに自然環境を感じられるスポーツだと思います。それをユーカリやサトウキビといった自然素材から作ったシューズで走るということで、より自然と一体となれるのではないでしょうか。ぜひオールバーズのランニングシューズで走って、自然の心地よさを身体全体で感じてもらいたいです。
ツリーダッシャーはランニング分野におけるデザインのエキスパートの手によるもので、ソールの形状等、そのDNAを見た目から感じられる部分も。ツリーダッシャー/¥16,250(税込)
また、ツリーダッシャーとマッチするソックス「トリノ™スプリンター」も同時に発売しています。ソックスはユーカリとメリノウールからできたTrino™素材を使用していますが、従来品より耐久性を高めた組成で、土踏まずのサポートや脱ぎ履きしやすいヒールタブをつけたデザイン。シューズカラーと同色をコーディネートできるのも高ポイントなアイテムです。
トリノ™スプリンターは4色。/各¥1.950(税込)
トリノ™スプリンターは少しだけ履き口から見える絶妙な丈の長さ。シューズとソックスを同色でトータルコーディネートしてもいいし、他の色合わせでもかわいい。
こだわりの自然素材とカーボンフットプリントゼロへの挑戦
蓑輪:今はいろんなブランドが環境問題に取り組み、それに配慮した商品を開発しています。しかしランニングシューズについて完全にサステナブルなアプローチで開発しているところは少ないと思います。オールバーズはその根本の考え方やコンセプトが他のブランドとは大きく違い、特徴だと思います。
オールバーズでは全商品のカーボンフットプリント(商品のライフサイクル全体で排出される二酸化炭素などの温室効果ガス)をゼロにすることを目指しています。独自のツールで素材から廃棄に至るまでの数値を測定し、商品の一つひとつに表示していますが、これはブランドの考え方が強く表れ、また消費者からも目で見てわかる大きな指標です。数字を見てみると、一般的なシューズでは12.5kgCO2e、オールバーズのシューズは平均7.6CO2eと、比べると排出するカーボンフットプリントを4割ほど削減しています。ちなみに、ツリーダッシャーの数値は9.0 CO2eです。
これを限りなくゼロに近づけ、カーボンフットプリントのオフセット=カーボンニュートラルを達成するのが目標ですが、そのために自然素材やリサイクル素材を使用して環境への負荷を減らし、「数値を極限まで下げていきたい」と蓑輪さんは言います。また、いずれまとまった数が回収できるような規模になれば、製品の再利用といったエコサイクルな仕組みを作ることも考えていきたいとのこと。
オールバーズは創業者の2名も「おじいちゃんになったときに孫に誇れるブランドにしたい」とおっしゃっているそうで、環境を守って次世代に引き継いでいきたいというブランドの哲学には共感できるところがたくさんあります。私たちもそんなオールバーズを履くことで少しでも貢献できるかもしれません。ぜひスポリート読者のみなさんも履き心地の良さやブランドの思いを自身で感じてみてください!
店内にはマテリアルも展示してある。ツリーダッシャーに使われているのはユーカリ。土地に自生する植物で、耐久性もある。これから取り出したパルプを編み込んでツリー繊維にするが、組成は商品ごとに変えて使用する。
店内は木をふんだんに使ったナチュラルな空間。女性スタッフも多く、誰でも入りやすい雰囲気がある。椅子は前かがみになると前に傾くようになっており、試着しやすい工夫がこらされたこだわりのインテリアにも注目。
ショップ情報
オールバーズ原宿
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森ビル
アクセス:JR原宿駅より徒歩1分
営業時間:11:00~19:00(※現在は短縮営業中)
http://allbirds.jp/