【市民ランナーのためのテーピング講座3・応用編】足の気になる部位や症状別・キネシオロジーテープの貼り方/膝サポート・膝裏の違和感
パフォーマンスのサポートや正しく走るフォームへ導く助けをしてくれる、キネシオロジーテープは、ランナーにとってありがたいお助けアイテム。基本編に続き、今回もピップ株式会社、プロ・フィッツのテーピングインストラクター・丸山里夏さんに貼り方を教えていただきます。今回は基礎編から一歩進んで、症状や気になる部位別のテープの貼り方を、2回連続でお届けします。まずは、膝周辺をサポートする貼り方を2種類、リモートで教えてもらい、頂プロジェクトの石原コーチが一人で貼ってみました。
キネシオロジーテープを使ったテーピングの基礎知識や基本的な貼り方はこちら!
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- 【市民ランナーのためのテーピング講座2・テープの扱い方&基礎実践編】ランニングのパフォーマンスアップのために貼りたいスゴイテープ、キネシオロジーテープを実際に貼ってみた!
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ランナーのお悩みは膝・足裏・アキレス腱・ふくらはぎに集中 気持ちよく走るためにも、キネシオロジーテープの活用を!
──実践に入る前に少しお話を。テーピングをいろんな大会でも貼られていると思いますが、ランナーで多いのはどの部分の悩みでしょうか。
大会にブースを出してキネシオロジーテープのテーピングを施しますが、トラブルとしては膝、足の裏が一番多くて、その次にふくらはぎとアキレス腱ですね。
──それぞれどんな声がありますか?
基本的には「なんとなく不安」という人が大半で、膝は特にそれが目立ちますね。膝の下か外側に痛みや違和感を持つ人が中でも多い印象です。症状は人それぞれですが、外側は腸脛靭帯炎が多いですね。また、膝の下の痛みは太ももの筋肉に直接つながっているところなので、長距離を走ると太ももに負担がかかって痛くなっていくんだと思います。
──足裏はどうでしょうか?
足裏はやはり足底筋膜炎が多いと思います。これは朝起きて足をついた瞬間、一歩目が痛いんですよね。ただ、走り始めると大丈夫だったりするので無理してしまう場合があります。ここは腱部分の炎症なので回復に時間がかかってしまいます。治りきらないまま、痛みや不安の中で大会を迎えてしまうようです。
──その他に多いのは?
アキレス腱も足底筋膜炎と同じで治りが遅く、ずっと痛いという人がほとんどです。アキレス腱はふくらはぎにつながっているので、ふくらはぎにもともと違和感があってアキレス腱に痛みがくるというのが目立ちます。足底筋膜炎も足の裏はアキレス腱に部分的につながっているので、足の裏が痛かったのがアキレス腱まで痛みがきたといったパターンもあります。その他、ふくらはぎで多いのが足のつり予防で貼る人です。一度つってしまうとその後もイメージが残って怖くなってしまうので、テープを貼って解消したい気持ちが働くようです。
──さまざまなランナーが悩みを少しでも解消するために、キネシオロジーテープを利用しているんですね。
キネシオロジーテープは筋肉のサポートをする、関節などをテープで修正して正しいフォームで走れるように持っていく、という役割のものですが、それで身体の負担はもちろん、気持ちも軽くなります。痛みや不安がある人は普段から貼ってケアをしておいた方がいいですし、大会のときは貼るだけで安心感も得られます。いきなり貼ろうとしても焦ると思うので、ぜひ日頃から利用する癖をつけて欲しいですね。
──ほかにも気をつけておきたいところはありますか?
テープを貼っても治る訳ではないということを理解して、あくまでもサポートとして取り入れて欲しいです。練習で貼ったからといってそれを信じすぎてオーバーワークをしないことですね。トレーニングやストレッチでしっかりケアをして、プラスαでテープを使ってもらうのが一番いいと思います。また、大会では良いパフォーマンスのためにもなりますし、これを貼れば疲れにくい、痛くなりにくいという安心感が得られます。お守り感覚でも使ってもらいたいです。
今回は先ほどお話したお悩みで多かった症状をサポートするためのテーピングをいくつか紹介します。一度貼ればすぐコツをつかめるので、みなさんぜひトライしてください!
基本編でお話を伺った丸山さん。今回はリモートで画面を通してアドバイスをもらいました。
テーピングの共通ポイントをおさらい
- テープは指の腹を使うと自然にはく離紙が剥がれる
- サイズは目安なので、自分の足の長さに合わせて調整
- 貼り方は筋肉に沿わせる部分はひっぱらず、関節部分などはひっぱる
- テープは常に貼り始め、貼り終わり部分はひっぱらないようにすると剥がれにくい
- テープの角を丸くカットしておくと剥がれにくくなる(撮影では省略しています)
キネシオロジーテープの貼り方① 膝筋肉サポート
① 膝筋肉のサポートにはProFitsの75mm幅のタイプを使用する。採寸で膝を一周+10センチほどの長さにカット
② 半分に折り、真ん中を5cm残して切れ込みを入れる
③ 切れ込みを入れていない部分のはく離紙を外し、膝裏に圧着させる
④ まずは外側から。テープは少し伸ばしながら膝のお皿を囲むように貼っていく。途中から徐々にテープを曲げるように方向を変えていくのがコツ
⑤ 下も同様に膝のお皿を囲むように貼るつもりが…あまりカーブを描けず…
⑥ とりあえず続行し、内側のテープも膝のお皿を囲むように貼っていく
⑦ 完成。しかし膝のお皿を楕円で囲んだようになり、円形にはなっていない。再度④のところからやり直し
【再チャレンジ】膝のお皿を囲むようにカーブを描くことを意識
【再チャレンジ】2本貼った時点で上の部分は最初より丸みが出ている。テープは伸ばしながら手を添えて貼ると曲線を描きやすい
【再チャレンジ】膝の横に来た辺りからはグッと曲げるように
【再チャレンジ】下から貼るときは上にテープの端を上に持ち上げるように意識
【再チャレンジ】完成!立つと少し膝にシワが入ってしまったが、大きく問題なし。最初のものと比べると、膝のお皿を丸く囲むように貼れている
貼り方のポイント
丸山 : 膝の皿にかからないように、周りを包むように貼ってください。曲線を描くのがなかなか難しいですが、テープをひっぱり、手を添えながら少しずつ貼っていくときれいにできます。
キネシオロジーテープの貼り方② 膝裏側の違和感
① 膝を軽く曲げて座る。50mm幅×約20cm(足の長さで調節)のテープを2本用意し、貼り始めの位置を確認
② まず端を5cmほど圧着させる
③ そのまま太ももの裏側、斜め上に向かって沿わせるようにはく離紙を持って剥がしていく。反対側も同様
④ 完成したものの、少し伸びたようになってしまい、イマイチ
⑤ 自分では感覚がつかみにくかったので、第三者に貼り直してもらったのが左。テープの端と端が鋭角に重なるのが理想的。石原コーチはテープを15cmに短くした方がぴったりだった。足の長さは人それぞれなので、サイズはあくまで参考程度で。
⑥ 貼り始めの位置も膝のすぐ下あたりがいい。後ろ側にテープを貼る際は目で見えない分、位置の感覚がわかりにくいので、貼る前に鏡を見たり、足に当てたりしてイメージを。
貼り方のポイント
丸山 : このテープはひっぱらないように貼ってください。太ももの裏は自分では見えないので、ふくらはぎよりも貼りにくいかもしれません。貼る前にシミュレーションして感覚をつかんでいってください。
以上、膝の筋肉サポートと膝裏に違和感を覚えるときの貼り方でした。
市民ランナーの足の悩みのうちでも、膝はやはりトップクラスに気になる人が多い部位。貼り方を覚えておくと走るときの気持ちが楽になります。曲線や見えない部分を貼るのは慣れが必要ですが、ポイントを押さえてモノにしましょう。応用編はテーピング講座4に続きます。
ProFitsシリーズ。今回は50mm幅に加え、膝筋肉のサポートのテーピングでは75mmタイプのものも使用。