【テクノロジー図鑑vol.2】モルテン ドリンクミックス編─“炭水化物を腸まで届けて3倍のエネルギーを補給する”



長年愛され続ける有名プロダクトから、あっと驚く新製品まで─ランニングにまつわる気になるテクノロジーを紐解く、スポリートの“テクノロジー図鑑”。第2回目のテーマは、『モルテン ドリンクミックス』です!

みなさんは、『モルテン』というスポーツドリンクをご存知ですか? こちらは2016年にスウェーデンで誕生したもので、モルテンを飲んで大会に臨んだアスリートが、世界的な大会で数々のメダルを獲得したことで注目を集めてきました。日本進出以前にも、感度の高い日本人ランナーの間ではじわじわと話題になり、ついに2018年に日本へ進出。国内での購入が可能になりました。
日本に進出して間もなく、まだまだ謎の多いモルテン。いったい、どうしてそんなにランナーが力を発揮できるようになるのでしょう。今回は、そんな気になるモルテンのテクノロジーについてお話を聞くことができました! お話してくださったのは、日本おいてモルテンの販売をサポートした医療法人財団興学会 代表理事の小野芳司さんです。

スポーツドリンクによるエネルギー補給の問題を、初めて解決した

──モルテンを飲んだランナーが次々と記録を伸ばしているという、すごいウワサを聞きました。ずばり、モルテンはどんなところがどんなふうにすごいのでしょうか?

世界で初めてスポーツドリンクが開発されてから50年あまり、ずっと解決できなかった課題を、モルテンの発明によってついに解決することができたのです。スポーツ飲料界に革命を起こしたといっても過言ではないと思っています。

──いったい、どんな課題を解決することができたのですか?

運動をすると、人間はエネルギーを消費して、汗をかきます。スポーツドリンクは、その失われたエネルギー、つまり炭水化物(糖質)や水分を補給する役割を担っていますよね。しかし、人間が一度にエネルギー変換できる炭水化物の量には限りがあって、アスリートが必要とするエネルギー量のおよそ1/3ほどしか摂れないとされているのです。これは、日常生活を送るうえでのエネルギーの過剰摂取を抑える働きでもありますが、スポーツをしているとどうしてもエネルギー補給が間に合わなくなってしまいます。

──許容量を超えた炭水化物を摂取すると、どうなってしまうのですか?

胃がもたれたり、血糖値の急激な上昇により消化不良が起きたり、水分の吸収にも時間がかかってしまったり……うまく吸収できず、身体に負担がかかってしまいます。
つまりスポーツドリンクでは、水分補給ができても、充分なエネルギーを補給できているとはいえず、まだまだ改善の余地があったというわけなのです。

──モルテンでは、許容量以上のエネルギーを補給できるようになったということでしょうか?

そうなんです。簡単に言えば、モルテンのテクノロジーによって、本来人間がエネルギーに変換できる量の約3倍の炭水化物を摂ることができるようになりました。そのおかげで運動中に必要なエネルギーを効果的に摂取でき、実際にモルテンを使用した選手が、世界の主要マラソン大会で18個もの金メダルを獲得しています。(取材時は2018年6月)
ちなみに、開発が進められる原点となったのは、もともとアマチュアランナーだったスウェーデンのモルテン氏が、50年以上解決できなかったスポーツドリンクでのエネルギー補給の問題となんとかできないものかと考え、イエテボリ大学の分子栄養学の専門家である友人に相談したことでした。開発を開始してから、5年ほどの年月をかけてテクノロジーを確立させたと聞いています。

炭水化物を腸まで届ける“ハイドロゲル”テクノロジー

──いったい、どんなテクノロジーによってたくさんのエネルギーを吸収できるようになったのですか?

胃はあくまでも消化をするための器官で、エネルギーを吸収するのは腸の役目です。本来は、胃で許容量を超えた炭水化物を認識すると、腸まで届けることができなくなり、エネルギー変換ができなくなってしまいます。そのため、いかに「炭水化物だ」と胃で認識させないようにするか、ということがカギになってくるのです。
そこでモルテンでは、胃のなかで炭水化物を“カプセル化”して包み込み、胃のなかで炭水化物と認識されないようにしました。

──胃のなかでカプセル化……どんな感じなのでしょう。

“カプセル化”といわれてもちょっとイメージしづらいかもしれませんが、ざっくりと表現すればどろっとしたジェル状になります。このジェルを細かく物質レベルで見ると、カプセル化して、炭水化物を包みこんで隠しているということなのです。これはpHの変化をスイッチにしていて、胃のなかのpH値ではカプセル化し、その後腸に達してpH値が変わるとカプセル化が解かれます。そして、エネルギーを吸収できるようになります。ちなみにこれは、主に食品産業で増粘剤などとして使用される“ハイドロゲル”を活用した技術です。

──炭水化物をカプセルで包むことで、良い意味で胃を“だます”ことができるというわけですね。その結果、本来の許容量を超えてもきちんと腸まで届いて吸収される。ちなみに、ハイドロゲルはどんな成分によるものなのですか?

昆布などの海藻から抽出されるアルギン酸塩と、果物に含まれるペクチンによって形成されます。モルテンは天然素材のみでつくられていて、着色料や防腐剤、人工的なフレーバーなども使っていません。そのため、身体にやさしく安全なスポーツドリンクといえるでしょう。また、腸内で初めて炭水化物が糖質に分解されるため、虫歯になりにくいといったメリットもあります。このようにモルテンでは、エネルギー補給といった機能性はもちろんのこと、安全性や、胃と歯へのやさしさなども考慮し、総合的にアスリートのパフォーマンスを支えることができるスポーツドリンクとして生まれました。

プロアマ問わずエネルギー補給をサポート

──モルテン ドリンクミックスには、「160」と「320」がありますよね。これはそれぞれどんな違いがあるのでしょうか?

1回ぶんに含まれる炭水化物の量が違っています。ざっくりと分けてしまえば、プロレベルのアスリート向けが320、一般の方向けなのが160という感じです。アマチュアランナーの方は基本的に160を飲んでいただくと、水分補給も同時にしっかりと行えてよいのではないでしょうか。

──たとえばフルマラソンの大会に挑戦するときには、どんなふうにモルテンを活用すればいいですか?

まずは、1回分のドリンクミックスを500mlのお水に溶かして使用することを基本にしてください。
マラソンの大会のために仕様する場合は、前日に1リットル、つまり2回分とっていただくと、カーボローディングにも活用することができます。大会当日の朝にも500mlとっておくとよりエネルギーを蓄えられて効果的です。
マラソンを走っている最中は、5kmごとに100mlずつ飲んでもらうのが一番理想的といえますね。走り終えたあとにも、リカバリーのための水分と炭水化物補給として、500ml飲まれる方もいます。
これらの飲み方は、アディダスとナイキが取り組んで話題になった“サブ2プロジェクト”の一環として研究されたものでもあります。トップアスリートにも何度も試してもらいながら、濃度や回数など、ベストな飲み方を探りました。日本では、シューズが注目を浴びることが多かったこちらのプロジェクトですが、じつはモルテンが軸となって大きく関わっていたんです。惜しくも結果は2時間25秒と、サブ2の達成は持ち越しになりましたが、このプロジェクトがきっかけで、モルテンが世界中の選手に知られることになりました。

──サブ2プロジェクトについては聞いたことがありましたが、モルテンが関わっていたなんて驚きです。そしてその後、世界中で多くの選手に使われるようになっていったのですね。

2016〜現在まで(取材時は2018年6月)に、モルテンを使用した選手が18個もの金メダルを獲得しています。 モルテンでは現在も、カプセル化の技術を高めたり、エネルギー吸収を効率化させたりするための研究が進められています。今後さらに、日本でもプロアマ問わず多くのランナーの皆さんにモルテンの力を活用していただけたらと思っています。

──使用したアスリートが次々と記録を打ち出しているなんて、モルテンのすごさがひしひしと伝わってきます。今回お話を聞かせていただいて、そのすごさの理由がわかりました。今後、日本でもさらにたくさんのランナーたちに広まっていくはずです。ありがとうございました!

■モルテン Webサイト
https://maurten.jp/

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