【初心者必見】栄養士に聞く!フルマラソン大会前日&当日朝の食事ってどうすればいいの?

ケア・ラントレ ランナーのための食事と栄養

初めてのフルマラソン。「大会前日や当日の朝ごはんって、いったい何を食べればいいの?」と心配になるランナーも多いはず。ということで今回は、八王子スポーツ整形外科栄養管理部門スタッフの阿部菜奈子さんに、大会直前の食事のポイントを教えてもらいました! コンビニで買える具体的な食材も聞いたので、ひとり暮らしの方や泊りがけでレースに出場する方もぜひ参考にしてみてください。

大会前日の夜に食べたいのは?

──さっそくですが、大会前日の食事のポイントについて教えてください!

私たちは、エネルギーを燃やして身体を動かしています。エネルギー源となるのは、糖質と脂質とタンパク質。なかでも糖質は燃えやすく使いやすいエネルギー源です。フルマラソンに備えてできるだけエネルギーを蓄えておくためにも、糖質補給をしっかりしておけるといいですね。また、糖質をエネルギーにするために必要なビタミンB1も摂っておきたいです。糖質は米、麦、芋、ビタミンB1は青菜、豆に含まれています。

コンビニでも揃う! 大会前日おすすめメニューの一例

  • 巻きずし+うどん+青菜ごま和え
  • 親子丼+パスタサラダ

副菜には、枝豆やもやしナムルをつけるのもおすすめ。枝豆やもやしにもビタミンB1が多く含まれている。

大会前日に避けたほうがいいもの

  1. 生もの
    お腹を壊すリスクがあるため。遠征先でおいしい名物があっても生ものは我慢。
  2. 食物繊維のとりすぎ
    消化不良を招くリスクがあるため。生野菜や海藻をもりもり食べ過ぎるのは避けるのが吉。
  3. 脂っぽいもの
    胃もたれが起きやすい。大会前は緊張から消化吸収力が落ちやすいので、夜に食べると寝ている間のエネルギーが消化に使われてしまい、睡眠の質が下がる心配も。験担ぎのカツ丼もやめておきましょう。
  4. お菓子
    お菓子には大量の砂糖が含まれているため、一気に糖質を摂取することに。そうするとエネルギー燃焼の効率が悪くなり、ムダな燃料だけを積んでいるような状態に。糖質は、エネルギー源にするために必要なビタミンB1なども同時に摂取できるでんぷん質のものを選びましょう。
  5. アルコール
    脱水が起きやすくなるほか、肝臓を使うため身体に疲れが残りやすい。ビタミンB群もアルコールの分解に使われてしまう。もし可能であれば1週間前くらいから控えておくと安心とのこと。

──よく「スパゲッティを食べるといい」という情報を目にするような気がします。スパゲティでもOKですか?

スパゲッティには油がたっぷり使われていることが多いので、意外とリスクもあるんです。ソースに含まれる油だけでなく、麺が固まらないように油をからませるからですね。自炊であればある程度調整できるかもしれませんが、外食や、コンビニで買ったものを食べる際には注意が必要です。海外の食文化では「麺類といえばスパゲッティ」というような場合が多いので、マラソン大会の前に食べられることがよくあります。でも、日本にはお米やうどんがあるので、無理にスパゲッティを選ぶ必要はないと思いますよ。

──お肉を食べる場合に、鶏or豚or牛でおすすめなどはありますか?

糖質をエネルギーにするために必要なビタミンB1の含有量が多いのは豚肉です。そのため、生姜焼き定食や豚しゃぶなどを食べてもいいですね。できるだけ脂が少ない部位がいいので、自炊できる場合は肩やもものお肉を選ぶのがベターです。

大会当日の朝に食べたいのは?

──大会当日の朝ごはんはどんなものを食べればいいですか?

当日朝の食事でも、やはり糖質とビタミンB1が重要になってきます。そのため、おにぎりやサンドイッチをメインに食べられるといいですね。バナナとジュース(果汁100%)も摂っておきたいです。バナナはビタミンB群が多く含まれていますし、エネルギー量も高くかなり優秀な果物です。また、100%果汁は糖質も補給できてビタミンも含まれているのでぜひ飲んでおいてもらいたいです。だいたい、スタートの準備が始まる3時間前くらいに食べておくのがベストですが、早起きに慣れていない人は早朝からたくさん食べるのは難しいと思います。そんなときは何段階かに分けて、移動中も少しずつ食べるようにするといいですよ。満腹にする必要はないので、食べる量はだいたい腹7分目くらいを目安にしてみてください。

コンビニでも揃う! 大会当日朝おすすめメニューの一例

  • おにぎり2個(おにぎりの具は梅や鮭など定番のものが◎)
    ※気になる方は、のりをはずしてください。
  • バナナ1本
  • 100%果汁(200〜300ml)

☆さらに、移動中にエネルギーゼリー飲料と、100%果汁も追加で摂れると◎水分補給にもなる。ゼリーはよく噛んでから飲み込むようにするのがポイント。

──よく「おもちを食べるといい」という情報を目にしますが、おにぎりで大丈夫なんですか?

おもちは食べ慣れていないと胃もたれしてしまうことがありますので、初心者はあまり食べないほうがいいかもしれません。普段の食生活とはかけはなれたものを食べてしまうと、身体に合わなかったり、お腹の調子が悪くなってしまう可能性があります。できるだけ習慣的に食べているものを取り入れるようにしましょう。もちろん、日ごろからおもちを食べていたり、大会のためにしばらくのあいだお腹を慣れさせてきたような場合は食べてOKです。

糖質とビタミンB1が大切!

今回は、大会直前の食事について教えてもらいました。よく、先輩ランナーなどから「◯◯を食べたほうがいいよ」と聞いて、自分もそうしようと思う人は多いと思います。でも、それが食べ慣れていないものだった場合、かえってリスクになってしまうケースもあるとのことでした。エネルギーを蓄えるために糖質とビタミンB1の摂取を意識しながらも、普段の食生活からは大きく変えずに少しずつ工夫して取り入れていきたいですね。

まとめ

大会前日

  • お米やうどんを中心に
  • お肉は豚肉がおすすめ
  • 生もの、アルコール、脂っぽいもの、お菓子、食物繊維のとりすぎは避ける

大会当日朝

  • おにぎりやサンドイッチをメインに
  • バナナや100%果汁も摂りたい
  • 食べる時間はスタート準備が始まる3時間前が理想
  • 移動中もエネルギー&水分補給を
  • 腹7分目くらいが目安

☆糖質とビタミンB1を意識的に摂取したい!

取材協力

八王子スポーツ整形外科
http://sports-medical.net/nutrition/staff/index.html

Office LAC-U
http://www.lac-u.com/

プロフィール

  • 阿部 菜奈子 (Office LAC-U所属。管理栄養士)

    東海大学陸上部短距離、全日本男子バレーボールチーム、専修大学アメフト部、フィギュア スケート村上佳菜子選手などの栄養サポートを担当。またジュニアアスリート、保護者、指導者に対するスポーツ栄養クリニック、アドバイス、講演活動を行う。

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