【スポリート栄養お悩み相談室vol.2】ランニング時に感じる不調は“貧血”が原因かも? ─貧血予防レシピも

補給 スポリート栄養お悩み相談室

スポリート栄養お悩み相談室は、ランナーが抱えるよくあるお悩みに対し、栄養素を軸に対策方法や心がけるべきポイントをご紹介する企画です。今回取り上げるお悩みは「貧血」。貧血対策といえば鉄分補給! ですが、効果的な貧血対策のために知っておくとよいことがいろいろあるのだとか。 身近な食材で手軽にできる対策もたっぷりとご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

ランナーのお悩み「貧血」

お悩みランナー: ランナーは貧血になりやすいと聞きました。本当ですか?

小笠原先生: そうですね。私の周りのランナーさんや選手のみなさんにも、「最近調子が悪いな……。と感じていたら実は貧血だった」と言われる方が結構います。

お悩みランナー: どうしてランナーは貧血になりやすいのでしょうか?

小笠原先生: 大きな要因としては、2つ挙げられると思っています。まずひとつは、必要な栄養素が不足していること。貧血を起こさないためには、鉄分、タンパク質、エネルギー(糖質)の3つを、バランスよくとることが必要なんです。

お悩みランナー: 鉄分はなんとなくイメージがつきますが、タンパク質、エネルギーも必要だとは知りませんでした。

小笠原先生: タンパク質は、鉄を身体の中で輸送するのに必要なものなんです。イメージとしては、タンパク質が船で、その上に鉄分が載って運搬するような感じ。そのため、タンパク質が不足していると血液となるヘモグロビンを運搬することができなくなってしまいます。また、エネルギーが不足すると体内のタンパク質が分解されて燃料として使われてしまい、こちらも貧血の要因になってしまいます。

お悩みランナー: そうだったんですね。以前、ダイエット目的で走り始めたころに糖質制限とランニングに並行して取り組んでいたら体調を崩してしまったことがあって……。もしかしたら貧血だったのかな……。

小笠原先生: そうかもしれません。実際に、ダイエットによるエネルギー不足が慢性的な貧血の原因になることもあるので、極端な食事制限には気をつけてくださいね。

お悩みランナー: はい……。

小笠原先生: そしてもうひとつ。今のお話とも少しつながりますが、ランナーが貧血になりやすい要因としては、オーバーワークも挙げられます。運動によってエネルギーやタンパク質を消費したり、発汗によって鉄分が流れ出てしまうことによって、貧血が起こりやすくなるとされています。

それと、着地や蹴り出しによる衝撃によって赤血球が壊れる「溶血性貧血」も、激しい運動をするアスリートに多い貧血のひとつと言われています。自分のペースでゆったり走るぶんにはそれほど影響はないと考えられますが、ストイックなトレーニングを頻繁に行うと、貧血の要因になる場合もあります。

お悩みランナー: ちなみに、よほどクラクラしない限りは貧血に気づかないこともあると思うのですが、貧血を自覚するきっかけにはどんなことがあるのでしょうか?

小笠原先生: よくあるのは、おっしゃるとおり目まいやふらつきだったり、朝の目覚めの悪さなどですが、ランナーの皆さんはタイムが落ちたことをきっかけに貧血に気づく方も多いようです。

お悩みランナー: 日ごろから走っているからこそ、自分の身体の調子の変化に気づきやすいというのもあるかもしれませんね。

小笠原先生: そうですね。貧血が治ることで、ぐんとタイムが良くなることもあるようです。ただし、不調が続くようであれば、一度病院にいって貧血かどうかきちんと判断してもらうことをおすすめします

普段の食事から意識! 貧血対策法

お悩みランナー: 貧血を防ぐためには「鉄分」「タンパク質」「エネルギー(糖質)」をきちんと摂ることが大切とのことでしたが、おすすめの食品はありますか?

小笠原先生: 鉄分の多い食品で代表的なものだと、レバーや赤身の肉・魚などが挙げられますが、私がおすすめしているのは「あさり」です。

お悩みランナー: あさりって鉄分が豊富だったんですね。

小笠原先生: そうなんです。むき身のものや冷凍、水煮など様々なタイプのものが手に入り、普段の料理にも手軽に取り入れやすいかと思います。たとえば、毎日お味噌汁に入れて少しずつ食べたり、炊き込みご飯にしたり。

お悩みランナー: たしかに、レバーを毎日食べるのはちょっと大変そうですが、あさりなら食べやすそうです。

小笠原先生: それと、鉄分と一緒に「ビタミンC」を摂ると吸収効率がよくなるといわれているので、鉄分の豊富な食材と一緒に、色の濃い野菜や果物をとるのもおすすめしています。

小笠原先生: あとは、肉・魚・卵・豆乳などで「タンパク質」をしっかりとって、ごはんやパンなどで炭水化物も適正量摂取してくださいね。

お悩みランナー: ちなみに、鉄鍋で調理をすると鉄分が摂れていいと聞いたことがあるのですが……。

小笠原先生: いいと思います! 毎日鉄鍋を使って調理すれば少しずつ鉄分を摂取できるので、鉄鍋でレバニラを作ったりできたら最高ですね。

お悩みランナー: 反対に、避けたほうがいいものがあれば教えてください。

小笠原先生: 特にはないのですが……。「緑茶」は鉄分の吸収を阻害するといわれているので、食事のときは避けるのがベターかもしれません。でも、気にしすぎずで大丈夫です。

お悩みランナー: 鉄分に関しては。サプリメントに頼ってもOKですか?

小笠原先生: はい、大丈夫です。ただし、サプリメントだと手軽にとれるぶん、うっかり適正量以上の鉄分をとってしまう恐れもあります。鉄分はとりすぎると身体の中に蓄積されて、臓器などに負担をかける可能性があるため、用法用量をきちんと守るようにしてください。ちなみに、鉄分の適正摂取量は成人男性で1日あたり6mg、成人女性だと5mg、日常的にスポーツをしている人は、15〜18mgと言われています。

お悩みランナー: なるほど。ビタミンなどは摂りすぎてもそのまま出ていってくれるとよく聞きますが、鉄分は違うのですね。気をつけます。

小笠原先生: それと、サプリメントとは少し違いますが、鉄分入りのヨーグルトや、鉄分が入った「サプリ米」といったものもスーパーで手軽に入手できるので、普段の食事に取り入れてみるのもおすすめです。

お悩みランナー: ほかにも、食事で気をつけるべきことがあれば教えてください!

小笠原先生: このごろ、栄養士会では「ヘプシジン」というホルモンの働きが話題になっていて……。ヘプシジンは“鉄代謝調整ホルモン”といって、鉄の吸収をおさえるホルモンといわれています。ヘプシジンがたくさん出ているときは、鉄の吸収が抑えられてしまうんです。このヘプシジンは、運動後3〜6時間後くらいに顕著に増えることがわかってきているので、ヘプシジンが増える時間と、食事で鉄分を意識的に摂取するタイミングは重ならないようにするのがいいかと思います。

お悩みランナー: たとえば、朝走ったとしたら、お昼ごはんの時間帯にヘプシジンが増えているかもしれないということですよね。

小笠原先生: そういうことになります。その場合は、できるだけ鉄分摂取を意識した食事は夜ご飯にするなど、タイミングを少し意識してみてください。

貧血対策に効果的な食事のポイント

「鉄分」と「ビタミンC」の組み合わせが◎。タンパク質とエネルギーもきちんと摂取!