ランナー必見のカラダづくり:個別指導編(2)
個別指導編第2回目のランナーは、きょんちゃん。ランニング歴6年で、フルマラソンにも年2回のペースで挑戦中。次のフルマラソンに向けて、ご自身の課題を洗い出し、練習に活かしていきたいとのこと。よろしくお願いします!
これまでの記事一覧
- ランナー必見のカラダづくり:個別指導編(1)
- ランナー必見のカラダづくり:個別指導編(1)
①ヒアリング:「毎回フルマラソンで歩いてしまうんです」
まずは、ランニングや運動をどのくらいの頻度・強度で行なっているかを確認。走っているとき、体に痛みがないか、どんなところに課題を感じているかも丁寧にヒアリングしていきます。
きょんちゃんのヒアリングメモ
- 学生時代は陸上部に所属し、短距離を専門にしていた。
- 6年前に長距離のランニングを始めた。当初は、ふくらはぎや膝周りを中心に体のあちこちが痛くなったが、継続的な練習により、今では痛みを感じることはない。
- 週3回のジム通い。トレッドミルで5kmほどランニングをし、筋トレにも励んでいる。
- 月2、3回の練習会では20〜30kmほど走ることも。
- 走り慣れしているものの、終盤の30km以降のスタミナに課題が。フルマラソンの大会では、毎回歩いてしまう。
②測定:終盤に疲れてしまう原因を探す
フルマラソン終盤に感じる疲労の原因はどこにあるのか。ランニングフォームを動画撮影し、長距離を走るうえで無理やムダがないかを確認。
前屈をしてもらうと、手のひらがべったりと床につくほどの柔軟性。これには、稲川さんもびっくり。「柔らかいですね!」とお褒めの言葉が。
一方で、足の裏を完全に地面につけたままのしゃがみこみに関しては、少し苦手な様子。後ろにゴロンと転がりそうに。
③フィードバック:お尻、股関節、足首に課題
まずランニングフォームに関して、稲川さんからフィードバックをいただきました。「ピョンピョンと跳ねるように走っているので、長距離走では後半疲れやすいフォームですね。」フルマラソン終盤で毎回歩いてしまう原因になっているかもしれないとのこと。
片脚スクワットをすると、軸足がぐらつき、左側は上体が外向きに倒れ、右側は右ひざが内側に倒れているというご指摘も。「膝への負担が大きそうですね。走っていると、背中やお尻よりも、膝やももが疲れてくるのでは?」と稲川さんが質問すると、「はい、そうなんです!」ときょんちゃん。お尻の横側の筋肉(中臀筋)を強化するといいそうです。
足首の可動域が前後方向で狭いのは、ふくらはぎの筋肉が硬いから。また、腰の反りが強いのは、股関節(腸腰筋)が硬いからとのこと。
④おすすめマッサージ:ストレッチの前に、まずほぐそう!
足裏をほぐすセルフマッサージ
ゴルフボールを床に置き、足の裏で前後左右に転がします。足裏には、親指のつけ根と小指のつけ根を結ぶ「横アーチ」、親指のつけ根とかかとを結ぶ「内側縦アーチ」、小指のつけ根とかかとを結ぶ「外側縦アーチ」という3つのアーチがあります。この3つのアーチがしっかりと機能するようにほぐしていきます。
ふくらはぎのセルフマッサージ
U字型のマッサージ器具を使います。すねの骨とふくらはぎの筋肉の境目を両側から押します。器具で挟み込んだ状態で足首を曲げたり伸ばしたりするのも効果的です。
お尻のセルフマッサージ
テニスボールお尻の下に置き、体重を乗せます。前後左右にお尻を動かし、お尻の筋肉をほぐします。 マッサージにあたっては、ゴルフボールやテニスボールなどを使うと効果的です。100円ショップなどでも手に入ります。
⑤おすすめストレッチ:ふくらはぎとお尻を重点的に!
ふくらはぎのストレッチ①
壁に両手をつき、脚を前後に大きく開きます。主にふくらはぎの浅層にある腓腹筋を伸ばします。膝を伸ばし、かかとが床から浮かないよう意識するのがポイント。
ふくらはぎのストレッチ②
今度は膝を曲げ、下に沈み込むイメージで行います。主にふくらはぎ深層にあるヒラメ筋を伸ばします。
すねのストレッチ
すねの前面にある前脛骨筋を伸ばします。壁に手をつき、足のつま先を床に引っかけて足首を伸ばすイメージです。
脚のつけ根のストレッチ
脚を前後に大きく開き、前脚の膝を立てます。後ろ脚の膝を床につき、骨盤を正対させながら前方に突き出し、主に腸腰筋を伸ばします。
太もも前面のストレッチ
脚を前後に開き、前脚の膝を立てます。後ろ脚の膝を床につき、足首もしくは足の甲を手で持ち、主に太ももの前面にある大腿四頭筋を伸ばします。
太もも内側のストレッチ3種
両脚を開き、足の裏同士を合わせて、上半身を前方に倒していきます。膝が床から離れないよう補助者がサポートすると、より効果的です。太ももの内側(内転筋)を伸ばします 両脚を大きく開き、上半身を前方に倒していきます。その際、背中が丸まらないよう注意。太ももの内側(内転筋)に加えて、太ももの裏側(ハムストリング)も伸ばします。
両足を左右に大きく開き、膝とつま先を外へ向け、ゆっくり腰を落としていきます。
⑥おすすめトレーニング:
ふくらはぎのトレーニング(カーフレイズ)2種
壁に両手をつき安定させ、かかとを浮かせてつま先立ちになります。小指から親指まで均等に体重をかけ、真上に伸び上がります。かかとが外側に開かないようにしてください。ふくらはぎ浅層の腓腹筋、深層のヒラメ筋を鍛えるメニューです。 膝を曲げながらカーフレイズを行うと、ふくらはぎ深層のヒラメ筋を重点的に鍛えることができます。
すねのトレーニング(トウレイズ)
壁に両手をついた状態で直立姿勢をとり、つま先を上方に浮かせます。すねの前面に位置する前脛骨筋を鍛えます。
トウウォーク
つま先立ちで、小刻みに前方へ歩きます。膝を伸ばした状態で、ふくらはぎの筋肉を意識しながら行います。
ヒールウォーク
つま先を浮かせ、小刻みに前方へ歩きます。膝を伸ばした状態で、すね前面の筋肉を意識しながら行います。
おしりのトレーニング(ヒップリフト)2種
仰向けになり、両ひざを立てます。横から見たときに、肩・腰・膝が一直線になるよう、おしりを持ち上げます。大臀筋やハムストリングなど、股関節を伸展させる筋群を鍛えることができます。 片膝を抱えながら行うと、左右それぞれにより負荷を与えて鍛えることができます。
おしりの横側のトレーニング2種
横向きになり、床側の膝を軽く曲げます。天井側の脚を上方に持ち上げ、中臀筋に負荷を与えます(ヒップアブダクション)。 横向きになり、膝と腰を曲げます。天井側の膝を開くように動かすことで、中臀筋や外旋筋群に負荷を与えます(クラムシェル)。補助者に膝を押してもらったり、チューブを用いたりすることで負荷を上げることができます。
伸展筋群のトレーニング(フロントランジ)
前方に脚を踏み出し、腰を落とします。おしりから立ち上がり、膝も股関節もしっかり伸ばします。
ニーアップ
膝を大きく持ち上げながら、前方へ歩きます。軸足の膝を伸ばし、かかとを浮かせながら行います。太ももやふくらはぎ、お尻の筋肉を使うことを意識しましょう。
⑦まとめ
一通りのメニューを終え、きょんちゃんの課題と対策が明確になりました。お尻、股関節、足首のストレッチやトレーニングを中心に取り組んでいくことで、レース終盤の疲れ対策になります。きょんちゃん、ぜひ試してみてください!
ちなみにこのフィジカルチェック。八王子スポーツ整形外科のメディカルフィットネスセンターにお越しいただければ、誰でも受けることができます。現状の課題が見つかるだけで、ランナーにとっては大きな一歩。おすすめです!
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