ランナー必見のカラダづくり:個別指導編(1)
ランナー向けのストレッチ&トレーニングメニューを紹介する本企画。年齢や運動経験、柔軟性、筋肉のつき方は人それぞれ。走るフォームも十人十色。当然、ランニングにおける弱点とその強化方法も人によって違います。そこで、ランナー一人ひとりの身体をチェックし、その人に最適なパーソナルトレーニングを教えてもらおう!ということで個別指導の中身をご紹介します。スポリートではすっかりお馴染み八王子スポーツ整形外科の稲川トレーナーを訪ね、パーソナルトレーニングメニューをつくってもらいます。第1回目のランナーは、アンバサダーの安井さんです。
①ヒアリング:フルマラソンに向けて、左ひざに不安あり
11月25日に富士山マラソンに挑戦するという安井さん。残り4ヶ月を切り、カラダづくりをしていきたいけど、一体何をすればいいか見当もつかないとのこと。どんなアドバイスがもらえるか楽しみですね。まず始めに、稲川さんからヒアリングしていただきます。
安井さんのヒアリングメモ
- 元ボート部のため、上半身のパワーには自信あり。
- 7年前にフルマラソンを完走。それ以降はランニングをしていない。
- 仕事はデスクワークで、ふだん運動はほとんどしていない。
- 里山暮らしで、薪割りはしょっちゅうやっている。あとは畑仕事も。
- たまに腰痛になる。いきなりぎっくり腰に見舞われることも。
- 左ひざにときどき痛みが走る。7年前のフルマラソンでも、30キロ過ぎくらいから激痛に襲われて失速した。
②測定:「体内年齢33歳!?テンション上がるわ〜!」
次に、体組成計に乗り、身体の部位別に体脂肪や筋肉の量を計測。「これはたぶん、薪割りの影響でしょうね」と稲川さんから指摘されたのは、左右の腕で筋肉量が大きく異なる点について。斧を振り下ろすときに利き腕が力むため、右腕の筋肉量が左腕よりも著しく多いのでは?という鋭い洞察。「そういうことか、なるほどね!」と安井さんもびっくり。右脚と左脚の筋肉量はバランスがよいとのこと。
「平日はほぼ外食で、完全になまくらボディですよ…」と話す安井さんでしたが、体内年齢はまさかの33歳!実年齢より10歳以上若い数値を見て、「テンション上がるわ〜!」と思わず笑みがこぼれます。
続いて、スクワットやウォーキング、ジョギングなどのフォームを動画で撮影!
筋肉の柔軟性や、関節の可動域もチェック!
③フィードバック:ひざへの負担軽減を中心としたメニューを考案!
一通りのチェックが終了。いよいよ稲川さんからのフィードバックです。撮影した画面を一緒に見ながら、問題点を指摘していただきます。
安井さんの改善ポイント
- 猫背になっている→肩周りの筋肉が硬くなっていることが原因
- 腰の反りが強い→長距離を走っていると背中が張ってくる可能性がある
- スクワットしたときに、ひざが前方に大きく突き出て、上体の前傾があまりない→お尻の筋肉があまり使えていないフォームのため。ランニングの際もお尻が使えずにひざの伸展筋ばかりを使って走ってしまうことが考えられる。結果として、ひざにばかり負担がかかり、痛みやケガにつながる恐れもある。
- 腕がまっすぐ上に上がっていない→肩甲骨の可動域が狭いから。
- 片脚スクワットの際にひざが左右にブレている→中臀筋が弱いため(左ひざの痛みをつくっている原因としては、特に左の中臀筋が弱いことが考えられる)。
以上、安井さんの課題を洗い出してもらいました!特に、ランニングにあたっては、ひざへの負担軽減が大きなテーマとのこと。おしりやハムストリングを鍛え、柔軟性を高め、上手に使えるようになることが重要と判明しました。これを踏まえ、対策メニューを教えてもらいます!
④おすすめストレッチ:特におしりを伸ばそう!
おしりのストレッチ3種
足首を太ももの上にのせ、背すじを伸ばしながら上半身を前へ寄せます。おしりを伸ばします。 片脚を外に倒すように曲げます。もう一方の脚をクロスさせてひざを立て、おしりを伸ばします。 仰向けに寝た状態で、足首を太ももの上にのせます。片ひざを立てている脚の太ももの裏側に両手を回し、上半身へ引き付けることで、おしりを伸ばします。
脚のつけ根のストレッチ2種
脚を前後に大きく開き、後ろ脚のひざを床につきます。前脚のひざを立て、骨盤を真正面に正対させながら前方に突き出し、腸腰筋を伸ばします。 腕を真上に上げ、上半身を腰から横に倒します。脇腹の腹斜筋を伸ばすとともに、先ほどとはまた別の角度から腸腰筋を伸ばすことができます。
ハムストリングのストレッチ2種
しゃがんで足首を持ち、胸と太ももをくっつけたまま腰を上に持ち上げます。伸ばした状態で5秒キープします。 今度は脚を前後に開きながら同じ動作を行います。片脚ずつ行うと、よりしっかりとハムストリングを伸ばすことができます。
肩甲骨と背部のストレッチ(キャット&ドッグ)
四つん這いになり、背中を丸めて上に高く上げます。息を吐きながら背中を丸め、背部の筋を伸ばします。 今度は反対に、肩甲骨を内側に寄せながら、お腹を付き出すようにして背中を反らしていきます。 お尻を後ろに引きながら、肩を地面に近づけます。息を吐きながら肩甲骨を寄せ、背部の筋を伸ばします。この動きを1セットとし、4回繰り返します。
⑤おすすめトレーニング:特におしりの横側を鍛えよう!
おしりの横側のトレーニング
横向きになり、床側のひざを軽く曲げます。天井側の脚を上方に持ち上げ、中臀筋に負荷を与えます(ヒップアブダクション)。 横向きになり、膝と腰を曲げます。補助者がひざを下に押して、それを上に向かって押し返すことで、中臀筋に負荷を与えます(クラムシェル)。補助者がいない場合はチューブで行います。
おしりと太もものトレーニング(スクワット)
両足を肩幅に開き、手は腰に添え、ゆっくりと真下に沈み込みます。足裏全体に体重をかけ、おしりとハムストリングへの負荷を意識しながら行います。 前後に開脚し行います(スプリットスクワット)。ひざが内側に入らないよう、ランニング時のフォームを意識しながら行います。
⑥まとめ:「やるべきことが明確になった!おしりだ!」
ヒアリングから測定、フィードバック、トレーニングの実践まで、所要90分。おつかれさまでした!「めっちゃハードやったわ〜」と安井さんもヘトヘトの様子。それでも、「自分が何をやるべきかが、ようやく明確になった!」と充実した表情。
短期的にどのくらいの効果があったか、Before・Afterを写真で比べてました。前屈を見比べると…確かに柔らかくなっています!特に、脚の付け根からちゃんと上半身を曲げられるようになっています。素晴らしい!
上がりきっていなかった腕も、まっすぐ上に上がります!
「でもこれはあくまで一時的な効果です。翌朝再び前屈をすると、元に戻っちゃっています(笑)」稲川さんは続けてこうおっしゃいます。「大事なのは、継続的に行うことです。」
走ることに関しては特に大きな問題はないので、ふだんのトレーニングはランニングをメインに。それ以外の日は今回のストレッチやトレーニングを行う。ひざの痛み対策としては、中臀筋のトレーニングを重点的に行う。これが、稲川さんからのアドバイスです。安井さん、ぜひ試してみてください!
ちなみに今回のフィジカルチェック。八王子スポーツ整形外科のメディカルフィットネスセンターにお越しいただければ、誰でも受けることができるそうです。自己流トレーニングから脱却したい方、自分に合ったトレーニングメニューを知りたい方、ぜひお試しください!
今回協力してくれたところ
取材協力
八王子スポーツ整形外科
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(スポーツクリニック)TEL : 042-626-0308
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