ランナー必見のカラダづくり:個別指導編(5)
個別指導編第5回目のランナーは、よっし〜。高校、大学では陸上部に所属し、専門は中距離。800メートルの自己ベストは、大学4年のときに記録した2分08秒!(かなり速いです。)社会人になった現在でもトラックに出てガンガン走っているとのこと。そんなランニング上級者のよっし〜ですが、どんな課題が見つかるのでしょうか?
①ヒアリング:30km過ぎの膝の痛みが気になる
稲川さんから陸上を始めたきっかけを聞かれると、よっし〜の答えはこうでした。「小中学まではバスケットをしていました。でも本当は陸上がやりたくて。高橋尚子選手に憧れていたんです。それで高校から陸上部に入りました。」とはいえ、当時の専門は中距離。フルマラソンを始めたのは社会人になってからとのこと。初マラソンを3時間40分で完走したよっし〜でしたが、一方で課題も感じたそうです。「30キロ過ぎから右膝の内側が痛くなってきたんです。結局、痛みが引くまでに半月くらいかかりました。」2019年東京マラソンに向けて、自身の課題をはっきりさせ、対策を講じることが今回の目標とのこと。
よっし〜のヒアリングメモ
- 大学4年のときに400メートルで57秒、800メートルで2分08秒と自己ベストを記録。
- 2018年東京マラソンで人生初のフルマラソンに挑戦。特別な練習をしていなかったものの、3時間40分で完走。そのとき、30キロ過ぎから右膝の内側が痛くなった。
- 朝ランは週3~5、夜ランは週3以上。トラックに出て練習することも多い。
- 2019年東京マラソンに向けて現在、長距離の練習を増やしつつある。
- ストライドが出ないことに課題を感じている。
②測定&フィードバック:固い足首、膝、反り腰!
よっし〜の課題は何かを知るため、様々な動作をしてもらい、そのフォームをチェック。そこから見えてきたのは3つの課題でした。稲川さんからの指摘は次の通り。
ランニングフォームを確認。「足首が固いからか、地面をうまく蹴れていないようです。ストライドが出ない原因になっているかもしれません。」
スクワットの姿勢について。「正面から見るときれいです。でも、横から見るとちょっと気になる点が。沈み込んだときも、そこから上がるときも腰が反っています。」
片脚スクワットをチェック。「膝が大きく内側に入っていますね。あと、沈み込んだとき、左右に身体がグラついています。おしりの筋肉が弱いのと、足首が固いからと考えられます。」
さらに、足首の関節の可動域をチェックするため、かかとを地面につけたまま座り込む動きを。「やっぱり足首がものすごく固いですね(笑)」という稲川さんからの指摘に、よっし〜も納得。「そうなんです。子どもの頃からずっと、この姿勢ができないんです!足首を回すとパキパキ言いますし(笑)」
③おすすめマッサージ&ストレッチ:足首とおしりを中心に
右膝の痛みやストライドが出ないという課題解決のポイントは「固い足首」、「内側に入る膝」、「反り腰」の3点が課題として浮き彫りになったところで、いよいよ具体的対策へ! 稲川さんおすすめのメニューを体験しました。
ふくらはぎのセルフマッサージ2種
ハンドフォームローラーをふくらはぎの筋肉に押し当てます。水平にしたり斜めに傾けたりして、さまざまな角度から筋肉をほぐすのがポイント。
U字型のマッサージ器具を使います。すねの骨とふくらはぎの筋肉の境目を両側から押します。器具で挟み込んだ状態で足首を曲げたり伸ばしたりするのも効果的です。
足首まわりのほぐしとストレッチ
足首の可動域を広げるためのメニュー。関節部分の骨を押し込みながら体重を前方にかけ、足首を曲げます。
股関節のストレッチ(前後開脚)
脚を前後に大きく開き、後ろ脚の膝を床につきます。前脚の膝を立て、腰が反らないよう腕を床につけながら、腸腰筋を伸ばします。
股関節のストレッチ(左右開脚)
両足を左右に大きく開き、両膝・両肘を床につけ膝とつま先を外へ向け、ゆっくり腰を落としていきます。
おしりのストレッチ2種
片脚を外に倒すように曲げます。もう一方の脚をクロスさせて膝を立て、おしりを伸ばします。
仰向けに寝た状態で、足首を太ももの上にのせます。片膝を立てている脚の太ももの裏側に両手を回し、上半身へ引き付けることで、おしりを伸ばします。
ハムストリングのストレッチ
片膝をつき、もう一方の脚を前方に伸ばします。上体を前方に倒しももの裏側を伸ばします。
太もも前面のストレッチ
脚を前後に開き、前脚の膝を立てます。後ろ脚の膝を床につき、足首もしくは足の甲を手で持ち、主に太ももの前面にある大腿四頭筋を伸ばします。
④おすすめトレーニング:膝と反り腰を改善しよう!
おしりの横側のトレーニング(クラムシェル)
横向きになり、膝と腰を軽く曲げます。チューブを巻き、両膝を開くことで中殿筋や梨状筋に負荷を与えます。
おしりの横側のトレーニング(ヒップアブダクション)
横向きになり、天井側の脚を上方に持ち上げ、中臀筋に負荷を与えます。負荷を軽くしたい場合は両膝にチューブを、反対に負荷を大きくしたい場合は両足首付近にチューブを巻きます。
おしりのトレーニング(バックキック)
四つん這いになり、両膝を90度に曲げて床につける。片脚を伸ばしながら上方へ持ち上げます。
スクワット
両足を肩幅に開き、手は腰に添え、ゆっくりと真下に沈み込みます。足裏全体に体重をかけ、おしりとハムストリングへの負荷を意識しながら行います。膝上にチューブを巻くことで、膝が内側に入らないフォームを身につけるのに役立ちます。
サイドウォーク
両膝上にチューブを巻いた状態で腰を落とし、横方向へ数メートル移動していきます。両脚を開いたり閉じたりする際に、おしりの筋肉を意識しながら行うのがポイント。
片脚スクワット
膝が内側に入らないよう正しいフォームを意識しながら、片脚でスクワットを行います。
フロントプランク
うつ伏せになって肘を立てた状態から、おしりを浮かせて肘で体を支えます。腹圧を高めてからおしりを持ち上げるのがポイント。その姿勢から片脚を持ち上げます。
サイドプランク
横向きになり、肘をついて体を支え、肩・腰・足が1直線になるよう腰を浮かせます。天井側の脚を上に持ち上げ、さらに脚を動かすと難易度が上がります。反り腰にならないよう注意しながら行います。
⑤まとめ
「固い足首」はふくらはぎをほぐすことや、ストレッチをすることで解消していきます。一方、「内側に入る膝」や「反り腰」については、様々なメニューを通して、正しいフォームを意識しながらクセ付けしていくことが重要です。
よっし〜に感想を聞いてみたところ、「特に片脚スクワットを重点的にやるようにしたい!」とのこと。ぜひ、今回のメニューを取り入れて、走力アップにつなげてみてください!
八王子スポーツ整形外科のメディカルフィットネスセンターにお越しいただければ、90分でフィジカルチェックを受けられます。ラン上級者にもおすすめですので、ぜひご利用ください。
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