ランナー必見のカラダづくり:個別指導編(6)

ケア・ラントレ ランナー必見のカラダづくり

個別指導編第6回目のランナーは、荒木さん。中学では野球部でしたが、肩を壊したことがきっかけで陸上へ転向。専門は3000メートル障害で、高校のときの最高成績は関東大会6位!完全にランニング上級者です。

①ヒアリング:背中が痛くなるのをどうにかしたい

ランニング歴や現在の練習状況について、稲川さんがヒアリングしていきます。荒木さんがフルマラソンを始めたのは大学時代。20歳になる前日に走ったときは2時間53分で、ベストは2019年3月の2時間28分05秒。

現在の練習状況はというと、ほぼ毎日走っているそう。月間走行距離はなんと500〜600キロ!もはやアスリートレベルです。フルマラソンの課題は、後半25キロ付近から失速すること。腕の振りが窮屈に感じ、肩甲骨の下あたりの背筋も痛くなってくるとのこと。だから今回知りたいのは、背中のケアについて。「脚はケアしやすい部位だけど、背中は手が届かないからケアが難しいんです。」

荒木さんのヒアリングメモ

  • 陸上のスポーツ推薦で高校へ進学し、専門種目は3000メートル障害。最高成績は関東大会6位。
  • 大学時代に初めて走ったフルマラソンは2時間53分。自己ベストは社会人になってからで、2019年3月に記録した2時間28分05秒。
  • 現在の月間走行距離は500〜600キロ。ほぼ毎日走っている。
  • フルマラソンの後半に、背中が張ってくるのが悩み。

②測定&フィードバック:上半身がガチガチに固い

陸上上級者の荒木さんですが、さてどんな課題があるのでしょうか?走行時やランニング時のフォームチェックや、身体の柔軟性や左右のバランスを確認していきます。その結果、稲川さんからいくつかの指摘をいただきました。

ウォーキングの姿勢をチェック。「上半身が少し固いですね。両肩の揺れが少なすぎるのが気になります。これが背中の張りにつながっているかもしれませんね。」

ランニング時のフォームも動画で確認。「スピードに乗ったとき、背中が反る傾向があります。これも背中への負担になっていると思います。

上半身の回旋運動については、「左右で回転角度が異なります。左方向には回っていますが、右方向にはあまり回っていません。背中の筋肉が固いことが原因かと思います。」

オーバーヘッドスクワットのフォームにも気がかりな点が。「肩がかなり固いですね。腕が上がっていません。それをカバーしようとして腰が反ってしまっています。背中から肩にかけて、もっと柔軟性を高めれば、ランニング時にもっと腕が振れるようになるはずです。」

③おすすめマッサージ&ストレッチ:背中の柔軟性を高める!

荒木さんの課題は、背中が固く、うまく動かせていないこと。そこで、肩甲骨まわりの筋肉をほぐすことに加えて、そこと連動する胸の筋肉のストレッチも行うことになりました。今回は主にストレッチポールを使用します。

脇腹の筋肉のほぐし

ストレッチポールを脇腹の下に置き、刺激を与える部位を少しずつずらしながら、たっぷり5分ほど筋肉をほぐします。

胸のストレッチ3種

ストレッチポールを縦にして背骨の下に置き、息を吸いながら腕をゆっくりと回し、バンザイの姿勢になります。腕を戻すときは息を吐きながら行います。主に小胸筋を伸ばします。

ストレッチポールを横向きにして肩甲骨の下に置きます。息を吸いながら胸郭を大きく開き、息を吐きながら胸郭を閉じるという動作を10回ほど繰り返します。

両膝をつき、上半身を倒します。両肘付近をストレッチポールに押し当て、胸を伸ばします。背中が丸まらないように注意しながら行います。この動作を5回ほど繰り返します。

肩甲骨と背部のストレッチ(キャット&ドッグ)

四つん這いになり、背中を丸めて上に高く上げます。息を吐きながら背中を丸め、背部の筋を伸ばします。今度は反対に、肩甲骨を内側に寄せながら、お腹を付き出すようにして背中を反らしていきます。

肩甲骨まわりのほぐし

うつ伏せになり、両肘をつきます。肩甲骨を寄せながらお腹を床に押し当てます。

胸部のストレッチ

横向きに寝て、天井側の脚を曲げる。両手を合わせ、前方に伸ばす。天井側の腕を背中側に大きく回転させる。回転させる腕側の胸部を伸ばす。

おしりのマッサージ

ストレッチポールの上に座り、片方の脚(右脚)を曲げ、足首をもう一方の膝上に乗せます。片方のおしり(右のおしり)に体重を預け、刺激を与えほぐします。

④おすすめトレーニング:肩甲骨まわりを鍛える!

肩甲骨まわりの筋肉を鍛えるメニュー3つを紹介いただきました。下半身を固定し、肩甲骨を寄せるのがポイントです。

フロントプランクローテーション

うつ伏せになって肘を立てた状態から、おしりを浮かせて肘で体を支えます。腰を起こしてからおしりを持ち上げるのがポイント。さらに片方の腕に体重を預け、上半身を回旋させます。肩甲骨を寄せながら、もう一方の腕を上方に持ち上げます。

バックキック→ヒップローテーション

四つん這いになり、両膝を90度に曲げて床につける。片脚を伸ばしながら上方へ持ち上げます。さらに持ち上げた脚と同じ側の腕も上に上げ、肩甲骨を寄せながら横向きの姿勢になります。

肩甲骨・体幹まわりのコンディショニング

片膝(右膝)・片肘(右肘)をつき、腰を固定した状態をつくりながら、反対の腕を回旋させます。肩甲骨を寄せることを意識しながら行います。

⑤まとめ

トレーニング終了後、腕を伸ばしたところ、最初よりもずっとスムーズに上がりました。これには荒木さんもびっくり。「めちゃくちゃ腕が上がりやすいです!今後、練習メニューに取り入れてみます!」と嬉しそうな表情。

「今日ご紹介したメニューの全てをやる必要はありません。ただ、肩甲骨まわりや胸部は普段から意識的に伸ばすようにしてください。それだけでもだいぶ違うはずです」と稲川さん。

八王子スポーツ整形外科のメディカルフィットネスセンターにお越しいただければ、90分でフィジカルチェックを受けられます。ラン上級者にもおすすめですので、ぜひご利用ください。

今回協力してくれたところ

取材協力

八王子スポーツ整形外科 
〒192-0085 東京都八王子市中町5-1 八王子中町ビル4F
(スポーツクリニック)TEL : 042-626-0308
(メディカルフィットネス) TEL : 042-625-5733
最寄駅 :
JR中央本線・横浜線「八王子」駅より徒歩3分
京王電鉄京王線「京王八王子」駅より徒歩6分
https://sports-medical.net/index.php

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