トレイルランってどうやって始めればいいの? vol.1 『マナー&準備編』

特集 トレランことはじめ

最近愛好家が増え、よく聞くようになってきた“トレイルラン”というフレーズ。正式にはトレイルランニング、略してトレラン。興味はあるものの、一体どんなものなのかわからない、というスポリートアンバサダーのよっし~さんが、トレイルランニングの専門店「Trippers(トリッパーズ)」を訪れ、店長の朝長さんにトレイルランの基本やそれに必要な道具について教えてもらいました!

トレイルランって一体どんなもの?

「未舗装の路面を走るのがトレイルランニング(以下、トレイルラン)。トレイルとは登山道や自然散策道のことで、そこを走ることを言います。例えば箱根駅伝は山登りですが、アスファルトなのでトレイルランではありません」。

走ると言っても、ずっと走り続けている訳ではないそうです。「基本的には上りは歩き、走るのは主に下りの道。登山同様に水や食料、防寒具などを携帯して走りますが、マラソンというよりは登山やハイキングをしながら、走れるところは走るという、自分のペースで楽しめるスポーツです」。レースだと10キロくらいの短距離から160キロ(100マイル)まであり、富士山を1周するようなハードなものもあるのだとか。

どんな山を走ってもいいけれど、やはり走りやすいのは登山道が整備された山。「関東近郊では高尾、奥多摩、鎌倉、飯能、丹沢等、ハイキングや登山でも人気の山にトレイルランでも人が集まります」。

トレイルランって休まずに走り続けているものだと思ってました!

いえいえ、トップ選手や上りが好きな人は別として、上りは歩く人の方が多いです。歩いたり止まったり休憩で食事をしたりしながら、走れるところだけ走る、というのでいいんです

登りは不得意だけど、そう聞いたら自分にもできそうな気がします

マナーを守って気持ちよく、また安全にも注意して走ろう

トレイルランは行く場所さえ正しくチョイスすれば、ハードルは高くありません。高尾山のような低山でルートが複数あり、山小屋やトイレが整備されているところは初心者向きです。しかし気をつけておきたいのはマナー。自然環境に配慮することはもちろん、登山者と同じ道を走るので周囲に気を配り、事故のないように心がける必要があります。

「マナーの問題で、ある自治体ではトレイルランの禁止が議題にのぼったこともあります。トレイルランナーの約8割はマラソン経験者等、ランベースの人たちと言われます。登山経験者なら当たり前のマナーも、ランから入ると知らなかったりして、ギャップを招いているんです。トレイルランをするなら禁止にならないよう山のマナーを知り、誰もが気持ちよく楽しめるように走りたいですね」。

日本トレイルランナーズ協会・日本トレイルランニング協会は「トレイルランニング安全マナーガイド」で10項目のマナーを呼びかけています。以下に示しますが、中でもトレイルランナー向けといえるのは4と5。登山者の背後から走って追い抜いて驚かせないよう、歩いて追い越し・すれ違う(4)、また何人かで走るときは混雑する時刻やコースを避け、周囲の人の迷惑にならないように配慮する(5)等、事故やトラブルが起こらないように特に注意しましょう。

トレイルランニングのマナー

  1. 自然に敬意を払って行動しましょう
  2. 安全第一。計画をしっかり立て、十分な準備を整えてから山に入りましょう。
  3. トレイルは譲り合いましょう
  4. すれ違い・追い越し時は必ず歩いて
  5. 集団で走るときは、周囲に気を配りましょう
  6. トレイルから外れないようにしましょう
  7. ゴミは全て持ち帰りましょう
  8. トイレは極力所定の場所ですませましょう。使った紙は持ち帰りましょう
  9. 動植物を大切にしましょう
  10. あいさつをしよう

初心者にありがちな失敗第1位は“水不足”

トレイルランは平地で同じ距離を走るより倍以上の時間がかかる事もあります。しかも山にはコンビニも自販機もないので、食料その他、それなりの持ち物が必要です。「食料は好きな物でいいのですが、スポーツ用の補給食は小さくて吸収もいいので、持っていると安心かもしれません」。また、初心者に多いのが途中で水がなくなることだそう。

「飲料は場所や距離によりますが、10キロ程度走るなら1リットル以上(気候や山小屋の有無等で変動)は持っていたいもの。経験者でも水不足で失敗する人は多いです。山での水切れは致命的なので多目に持って行きましょう。山小屋の位置など、どこで何が手に入るか、事前の情報収集もしっかりしておく必要がありますね」。

それに、初心者は特にですが、「トレイルランは誰かと一緒に行くのがおすすめ」なのだとか。水やスポーツドリンクがなくなったり捻挫したりといった、予期せぬアクシデントがあったときも、人がいれば助けてもらえるからです。「特に知らない山へ行く場合は、必ず誰かと一緒に行ってください。道に迷ったり、何かあったら危険ですので」。初心者だからこそ、注意には注意を重ねて行くことが重要のようです。

私は極力ものを持ちたくなくて、ランニングするときは時計とイヤホンぐらいなんですが、それじゃダメなんですね?

基本的には登山なので食料や防寒具、ファーストエイドキット等、それなりに持ち物が必要です。 山小屋があっても営業しているかどうかわからないこともありますし、飲料は多めに持っていくのがベストです。僕は先日3リットル持っていきました

そんなに!私、持てるかなあ…あと、山道はスマホの電波がないのが不安です

登山やトレイルラン用のGPSアプリが便利ですよ。電波がなくてもGPSは使えるので、いくつか入れておくといいと思います。 あとは迷ったら道がわかるところまで戻るというのが鉄則です。

トレイルランは何より“楽しむ”ことが第一

トレイルランの良さは走ったり、休んだり、歩いたりと自分の好きなペースでできること。食事や休憩も自由。「個人的にマラソンではレース中にあまり人としゃべったりしませんが、トレイルランはレース中でも選手同士でおしゃべりしたり、いい風景があれば立ち止まって写真を撮ったり、より楽しみながらできるのが大きく違いますね。マラソンはスポーツでトレイルランは遊びというイメージです」。登山なら1泊かかるところでも、1日で帰ってこられるような効率の良さも時間が限られる人にはいいでしょう。そして大自然の中を走る非日常体験は、やはり気分も最高です。

朝長さんいわく、タイムが気になるマラソン等と違い、「トレイルランは自然の中で楽しむ大人の山遊び」。そんな感覚で楽しんでやるのがベストのようです。

トレイルランってなんだか大変そうな印象だったけど、そうでもないって今日わかりました。上りは苦手だから歩いていいというのも気楽です

ハードルが高いと思われるけど、そんなことはないですよ。自分は子供の頃裏山を走って遊んでいたような感覚でやっていますね

私は誰よりも早く走りたいと思って陸上やマラソンをやってきたんですが、それとは違う楽しみもあるとわかって、すごく行ってみたくなりました!

最低限の体力・知識さえあれば大丈夫。ただし初めてトレラン行くとき、初めての山に行くときは出来るだけ一人ではなく経験者と一緒に行きましょう。道迷いやトラブルのリスクも減らせます。イベントに参加するのもおススメです。ぜひやってみてください。楽しいですよ!

次回は『トレイルラン・アイテム編』
トレイルランに必要な装備や使い方をご紹介いたします!

取材協力

Trippers(トリッパーズ)
東京都立川市柴崎町3-1-1昴ビル6F
最寄り駅:JR立川駅より徒歩3分
TEL:042-808-9500
https://trippers-wtrc.com/

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