日本と台湾 ~ 襷がつなぐ絆の物語。ウルトラランナー井上真悟氏インタビュー

特集

2017年11月18日から2週間かけて台湾を一周する『台湾一周駅伝』に挑戦するウルトラランナーの井上真悟さん。井上さんにとって駅伝とは何か?駅伝生誕100周年にあたる今年、駅伝に込めた思いとは。

ライバルとの約束

2016年、駅伝生誕99周年の記念大会が99年前と同じ東海道で開催されました。

この大会は6日間で580kmを走る個人競技だったのですが、日本初の駅伝を行なった金栗四三らと同じことがしたかった私はこれまでの14年間のアスリート活動で競い合ってきたライバル達に声をかけ、大会主催者に許可をいただき、一般参加者とは別に12人を2つのチームに分けて6人ずつで襷を繋ぐ6日間の駅伝競争を行なわせていただきました。

日頃はライバルとして競い合ってきた私たちですが襷を繋ぎながら旅をしていくうちに仲良くなり、その襷を使ってまた一緒に駅伝をしようという約束を交わしました。

襷はアンカーを務めてくれた台湾の代表選手が大切に持ち帰って保管していてくれたのですが、スポンサーがついたことで今年の11月の『台湾一周駅伝』が実現することとなり、ついにあの約束か叶う事となったのです。

駅伝を通して伝えたいこと

2013年に台湾1周マラソンが開催されました。私はその大会で優勝したことがきっかけで台湾で知られることとなりさらにその2年後には台湾で本を出す事もできました。今回の台湾一周駅伝はその時に競い合ったライバル達とその時と同じコースで走れるという事にとても深い縁を感じています。

駅伝はただ襷を繋ぐだけのことだとは私は思いません。何らかの目的をみんなで共有してそれを一人ひとりが自分の役割を果たしながらひとつの目標に向かって進んで行く事が一番の本質であり私が日本人として海外で駅伝をする時には絶対に伝えないといけないことだと思っています。

私は幼少期に辛い体験をしたこともあり今回の台湾一周駅伝を通して児童養護施設の子供達に夢を贈ることに挑戦します。詳しくはまだお話できないのですがここから先は台湾ガーミンのfacebookを使って活動の経過を報告していきますので楽しみにしていて下さい。中国語なので写真でしか伝わらないと思いますが、私がこの挑戦を通して一番伝えたいことは、誰かに何かをしてあげたいという気持ちには国も言葉も関係ないということです。

挑戦は続きます

今の時代、目的や目標を共有出来ずに人間同士で喧嘩してしまうことも多いと思います。一緒に同じ目標に向かえばお互い協力し合えるはずなのに、対峙すると悪いところを探してしまいます。

私は14年間のアスリート活動を通してマラソンはすごくいいものだと感じています。人生の縮図として強く生きる事、ちゃんとプロセスを追って目標を目指す事で人間性も磨けます。ただ社会活動はマラソンではなくて駅伝だと思っています。

縁あって駅伝は今年で生誕100周年を迎えました。駅伝という競技は日本人以外にはあまり知られていないマイナーなスポーツですがその価値観はきっと他の国の人達にも伝わるはずですし台湾は日本に協力的な方が多いため駅伝がしやすい国でもあります。まず今回台湾の選手達と2回目の大きな駅伝をやってみてそれが今後さらにどう繋がっていくかこれからも挑戦していきたいと思っています。

井上真悟氏プロフィール

1980年生まれ 東京都八王子市出身(公式サイト)

略歴

父の他界をきっかけに挑んだ「サハラ砂漠マラソン」において、2年連続日本人1位となる(2006,2007)

その後、子供たちとの出逢いがきっかけでランニングコーチとなる。同時期に、アスリートとしても日本全国の児童養護施設へ走って訪れる講演活動を開始(2007-2008 計26施設 約1400人の児童と交流)

出逢えた全ての子供たちをいっぺんに喜ばせようと決め、当時20代のランナーが挑戦することの少なかったウルトラマラソン「24時間走」競技に焦点を絞った挑戦を開始。

29歳時、初出場した世界選手権においてロードでのアジア新記録を樹立し、最年少世界タイトル奪取記録を更新。

30歳の誕生日を機に個人事業「ランニングプロジェクトALIVE」を立ち上げ、地元 多摩地区にてランニングスクールを運営。

現在は、東海道五十七次ウルトラマラニック大会アンバサダー、雑誌「月刊ランナーズ」ウルトラマラソン企画コーチ、台湾スポーツサイト「動一動」連載なども担当。

アスリート実績

  • サハラ砂漠マラソン 日本人1位(2006,2007)
  • ギリシャスパルタスロン世界9位(2006)
  • 萩往還250km完走(2006)
  • 日本縦断522km川の道フットレース完走(2007)※大会最年少完走記録
  • 北海道縦断往復1088kmトランスエゾ完走(2007)
  • 東京ー鹿児島1500kmラン完走(2007)
  • 東京ー青森800kmラン完走(2008)
  • 台湾24時間走競技大会 準優勝(2008)
  • 神宮外苑24時間チャレンジ優勝(2009)
    ※大会新記録
  • 24時間走競技世界選手権 優勝(2010) ※同種目ロードアジア新記録樹立(273.708km)
    ※同種目 世界タイトル最年少記録 ※2010年 同種目世界ランキング1位
  • サロマ湖ウルトラマラソン8位入賞(2011)
  • 100km競技世界選手権出場(2011,2012)
    ※2011年 同種目世界ランキング19位(7時間2分5秒)
  • 台湾一周1100kmツールド台湾 第一回大会優勝(2013)
  • 台湾横断246kmランアクロス台湾 大会優勝(2016 ,2017)

自己ベスト記録

  • フルマラソン 2時間29分12秒(2013.勝田)
  • ハーフマラソン 1時間10分57秒(2010.赤羽)
  • 5km 15分37秒(2011.戸田)

プロフィール

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