【スポリート栄養お悩み相談室vol.6】ランニングの疲労が溜まりにくい身体づくりには「EPA・DHA」を─簡単レシピも

栄養 スポリート栄養お悩み相談室

スポリート栄養お悩み相談室は、ランナーが抱えるよくあるお悩みに対し、栄養素を軸に対策方法や心がけるべきポイントをご紹介する企画です。今回のテーマは「疲労が溜まりにくい身体づくり」。日頃からランニングをしていると、脚に慢性的な疲労が蓄積されることも。ハードなトレーニングをすると、筋肉に痛みが出ることもあります。そこでおすすめなのが、「EPA・DHA」を日頃から摂っておくことなのだとか。身近な食材で手軽にできる対策もたっぷりとご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

ランニングしても疲労が溜まりにくい身体をつくるには?

お悩みランナー: 最近は、目標タイムに向けてコツコツと練習をしています。さらなるタイム向上のためにも、疲労が溜まりにくい身体をつくりたいのですが、何か方法はありますか?

小笠原先生: 「EPA・DHA」を日頃から継続して摂るようにするのがおすすめです!

お悩みランナー: 「EPA・DHA」……? なんとなく聞いたことはあるけど……。

小笠原先生: EPA・DHAは脂肪の仲間で、青魚などに多く含まれます。サバ缶などの食品にも含まれていますよ。

お悩みランナー: ほうほう。でも、EPA・DHAは脂肪なんですよね。それをたくさん摂っても大丈夫なんでしょうか?

小笠原先生: 脂肪には大きく分けると「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」の2種類があります。「飽和脂肪酸」はとりすぎないほうがいいといわれますが、「不飽和脂肪酸」は身体にいいといわれる油の分類なのです。

お悩みランナー: ふむふむ。

小笠原先生: EPA・DHAは、この不飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸にもいろいろあって、最近よくいわれるのが「オメガ」と呼ばれるもの。EPA・DHAは、その中の「オメガ3」に含まれるものです。

お悩みランナー: オメガ3も聞いたことがあるような気がします。

小笠原先生: オメガ3は身体の脂肪になりにくく、動脈硬化を防いだり、お肌のバリア機能を向上させる働きもあるとされています。また、筋肉のリカバリーを促進してくれたり、持久力を上げる働きもあるといわれていて、ここ何年かでスポーツ界でも一気に注目を集めるようになってきているんですよ。

お悩みランナー: どうしてEPA・DHAが、疲労を溜めない身体づくりに役立つのでしょうか?

小笠原先生: まず、EPA・DHAは細胞膜に作用するとされています。人間の体は細胞が集まってできており、筋肉も細胞でできています。その細胞膜に作用することで、筋肉のリカバリーが促進されるのです。血液を構成する赤血球も細胞の一種で、その細胞膜に作用することで、弾力のある赤血球になります。すると、毛細血管を流れるときにも柔軟に形を変えながら流れていけるので、身体の末端までスムーズに血液が行き渡るようになります。このような作用も、疲れにくさや持久力アップに役立つといわれています。

毎日の食事でコツコツ継続! EPA・DHA摂取のポイント

お悩みランナー: EPA・DHAを日頃から摂るには、サバ缶を食べればいいですか?

小笠原先生: そうですね、青魚に多く含まれるので、サバ缶を活用すると普段の食事にも取り入れやすいかと思います。DHA・EPAは、だいたい一日に1000mgとれるといいといわれていて、サバ缶の種類によって量に差はありますが、1缶食べればクリアできるといって良いでしょう。ちなみにこちらのサバの水煮缶には、EPA・DHA合わせて6000mg以上入っていると記載があります。

お悩みランナー: これなら簡単に、たっぷりとEPA・DHAが摂取できますね。ちなみにEPA・DHAは、目標摂取量を超えて摂っても大丈夫なんでしょうか?

小笠原先生: 問題ないとされています。ただし、油であることには変わりないので、単純にたくさん摂れば摂るほどカロリーもアップすることになるので気をつけてくださいね。

お悩みランナー: わかりました!

小笠原先生: ちなみに、サバの水煮缶はそのまま食べてもおいしいですが、料理への使い勝手が結構いいんです。私がよくやるのは、ツナのような使い方。千切りしたキャベツと、サバの水煮をほぐして和えて、サラダにすると、簡単においしく食べられます。ほかにも、トマト缶と合わせてトマト煮にしたり、肉じゃがならぬ“サバじゃが”にしたり。いろいろなお料理に活用できますよ。

お悩みランナー: 同じ食べ方ばかりだと飽きてしまいそうなので、いろいろな料理に使えるのはいいですね! とはいえ、毎日サバ缶を食べられるかちょっと心配です。

小笠原先生: 手軽にEPA・DHAを摂れる方法として、「アマニ油」を取り入れる手もあります。

お悩みランナー: アマニ油?

小笠原先生: アマニ油にはαリノレン酸という脂肪酸が含まれていて、これをとると身体のなかでEPA・DHAに変わるのです。小さじ1杯ほどで十分な量がとれ、味もほぼ感じないので、毎日の食事に取り入れやすいですよ。

お悩みランナー: 小さじ1ほどでいいんですね。ちなみにどうやって摂るのがおすすめですか?

小笠原先生: お味噌汁やスープに入れたり、ドレッシングにしてサラダにかけたりするのが簡単でおすすめです。ただし、不飽和脂肪酸は酸化しやすく、酸化した状態で摂取するとあまり身体によくないとされています。そのため、開封後は冷蔵庫で保管し、なるべく早く使い切るようにしてくださいね。それと、加熱をすると酸化が進みやすくなるので、完成した料理に“ちょい足し”して使うようにしましょう。

お悩みランナー: なるほど。じゃあ、サバ缶も開けたらなるべくすぐに食べきったり、自分で青魚を調理しても作り置きはしすぎないほうがいいということですね。

小笠原先生: そうですね。酸化を防ぐというのは、EPA・DHAを摂るうえで気をつけてもらいたいポイントです。抗酸化作用のあるものと一緒に食べるのもおすすめしています。とくにビタミンEには抗酸化作用があるので、色の濃い野菜と一緒にとれるといいですね。

お悩みランナー: わかりました!

小笠原先生: EPA・DHAにはサプリメントもあるので、お魚、アマニ油、サプリメントなど自分の生活スタイルに合うものを取り入れてみてください。

お悩みランナー: なんとなくEPA・DHAをきちんと摂るのは大変そう、とイメージしていましたが、サバ缶1つで十分だったり、スプーン一杯のアマニ油をちょい足しすればよかったり、意外と手軽に取れるんですね!

疲労を溜めにくい身体をつくるための食事のポイントまとめ

EPA・DHAを毎日コツコツ摂る!

  • EPA・DHAは青魚に多く含まれる。サバ缶1缶で一日あたりの目標摂取量をクリア可能。
  • アマニ油やサプリメントを取り入れるのも簡単でおすすめ。アマニ油なら一日あたり小さじ1杯程度でOK。
  • EPA・DHAは酸化に注意。料理はできるだけすぐに食べきり、アマニ油も開封後はなるべく早く使い切る。(アマニ油は小さめのボトルで購入するのがおすすめ)
  • 抗酸化作用のある食材(緑黄色野菜やアーモンドなど)と一緒に摂るとさらに◎

疲労の溜まりにくい身体づくりにぴったりのお弁当レシピ!

内容

  • 鯖缶のトマトソースペンネ
  • かぼちゃとアーモンドのマリネ
  • チーズ海苔の卵焼き
  • ブロッコリー
  • トマト
  • ブロッコリー

< 栄養価 >
エネルギー量:683kcal たんぱく質:27.0g 脂質:34.6g 炭水化物:72.8g ビタミンC:11.8mg ビタミンC:120mg n-3系不飽和脂肪酸:1.24g

作り方は小笠原先生のブログでも紹介中。動画も公開されているので、ぜひ参考にしてみてください!
https://note.com/athletegarden/n/ndc1b48c479d4

レシピ(材料はすべて1人分)

■鯖缶のトマトソースペンネ

・ペンネ(乾燥)…50g
・オリーブオイル…5g
・サバ缶味噌味…30g(汁も一緒にいれちゃいましょう!)
・刻みにんにく…小匙1/2
・カットトマト缶…30g
・玉ねぎ…30g
・塩コショウ…少々

  1. 深めの鍋にたっぷりのお湯を沸かします。湧いたら、塩を小匙1程度入れます。ペンネを加え、時間通りにゆでます。茹で上がったら水を切り、オリーブオイルを回しかけてくっつかないようにします。
  2. 茹でている間に、鯖缶のミートソースを作ります。玉ねぎをみじん切りにします。
  3. 浅めのフライパンにオリーブオイルと刻みにんにくを入れ、弱火で香りがするまで火にかけます。②の玉ねぎを加え、弱火で3分程度炒めます。鯖缶とトマト缶を加え、鯖缶をつぶしながら炒めていきます。5分ほど炒めたら、塩コショウを入れ味を調えます。
  4. ①のペンネの上に③のソースをかけて完成です!お好みで粉チーズなどをかけて食べても美味しいですよ!

ソースは電子レンジでも簡単に作れます!

  1. 深めの耐熱容器にみじん切りにした玉ねぎ、鯖缶、カットトマト缶、オリーブオイル、塩コショウを加えてからよく混ぜます。
  2. 蓋をせずに電子レンジ600Wで5分加熱、一度取り出し、かき混ぜてから3分ほど加熱したら完成です!

■かぼちゃとアーモンドのマリネ

・かぼちゃ…150g
・素焼きアーモンド…30g
・オリーブオイル…適量
★穀物酢…大匙2
★はちみつ…大匙1
★水…大匙2
★塩…小匙1/2
★コショウ…少々

  1. かぼちゃをスライスします(スライスしてあるものを買うと楽ちん)。スライスかぼちゃを半分に切ります(大きいほうが好みの人はそのままでもOK)。
  2. アーモンドを包丁で細かくカットします。
  3. フライパンにオリーブオイルを適量入れ、①のカボチャをフライパンに並べます。弱火で火が通るまでじっくり加熱します。
  4. その間に、保存容器に★の調味料を入れ混ぜ合わせます。
  5. 火が通ったかぼちゃを④に入れ、②のナッツを入れます。全体に調味液が浸かるように、ラップをかぼちゃと調味液にくっつけるようにかぶせると、全体に調味液が浸かります。
  6. そのまま冷蔵庫に入れ、1時間くらい置いておくと味が染みて食べ頃です。

■チーズ海苔の卵焼き

・卵…1個
・牛乳…大匙1
・塩胡椒…少々
・米油…小匙1
・スライスチーズ…1枚
・海苔…1/2枚
※甘い卵焼きが好きな人は、砂糖を加えてください~

  1. 器に卵を割り入れ、菜箸でよく溶きほぐします。塩コショウを入れます。
  2. 卵焼き用のフライパンに油を入れ、中火で温めます。フライパンが温まったら、卵液を1/3を入れ、固まる前に海苔とスライスチーズをのせます。端からくるくる巻いていきます。また1/3の卵液をフライパンに入れ、端から巻いていきます。残りの1/3の卵液全て入れ、端から巻いていきます。
  3. 粗熱がとれてから、包丁でお好みの大きさに切ります。

プロフィール

  • 教えてくれる人
    小笠原 真智さん(アスリート専門管理栄養士)

    1993年に愛知県で生まれる。 小学生から高校まで陸上競技に9年間取り組み、高校では2種目でインターハイ出場。大学では管理栄養学科を専攻。卒業後給食委託会社に就職し、献立作成や調理、栄養価策定など実践的スキルを学び、フリーランスとして独立。現在はアスリート専門栄養士として、「食事が変わればあなたが変わる」をコンセプトに陸上(日本選手権入賞レベル)やトライアスロンの個人選手やラグビーの社会人チームを中心に"身体と気持ち"に寄り添うサポートを行う。 選手のみならず、選手のパートナーでも「それならできる!」と思える栄養サポートを心がけている。

  • スポリート編集部

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