高尾山からトレランのマナーを発信 八王子市



自然公園を利用するすべての人が気持ちよく使えるようにルールを定めた「東京都自然公園利用ルール」この内容に準じて大会を開催するTOKYO八峰マウンテントレイル実行員会の事務局を務める八王子市スポーツ振興課に課の活動とルールへの取り組みについて伺ってきました。

東京都が策定した「東京都自然公園利用ルール」というものがあるのをご存知でしょうか。自然公園を利用するすべての人が気持ちよく使えるようにルールを定めたものですが、この内容に準じてランニングイベントを開催しているのがTOKYO八峰マウンテントレイル実行委員会です。そこでTOKYO八峰マウンテントレイル実行員会の事務局を務める八王子市スポーツ振興課へ行って、課の活動と自然公園の利用ルールへの取り組みについてお話を伺ってきました。

スポーツ振興課について

-- まずスポーツ振興課とはどんな活動をしているのか教えてください。

様々なスポーツイベントを企画し、外部団体と協力して運営をしています。幅広いスポーツ分野を扱っており、近年では「ネオテニス」などニュースポーツといわれるスポーツの普及や、障がい者スポーツなどにも力を入れています。リオで日本がメダルを取った「ボッチャ」という競技をご存知ですか?八王子市としても力を入れているスポーツでして、競技人口が増えていけば将来的には用具や大会などの環境も充実してくる。そういったことにも期待しています。

-- ランニングイベントはどんなものがあるのですか?

特に大きなイベントとしては毎年2月に行っている「全関東八王子夢街道駅伝競走大会」があります。今年度で68回を数え、サポート企業数も100社以上、チームエントリー数は500チーム以上と非常に大きな大会になっています。

また、まだ3回目と開催して日が浅いですが「TOKYO八峰マウンテントレイル」というトレイルランニングの大会も12月に行っています。コースは恩方の「夕やけ小やけふれあいの里」からスタートして、陣馬や景信など八つの峰を越えてから「落合公園」がゴールに設定されています。距離は公式で調べたところ33kmキロくらいでしたが、実際に走った方から40km以上あるという声も聞こえています。トレイルランニング大会の中では比較的短い方だと思いますが、終盤に難所もあるので完走はそれほど簡単ではない、中級者以上のレベル設定になっています。定員は900名となりますが、自然環境の中で行いますのでこのくらいの規模感が限界ではないかと考えています。

東京都自然公園利用ルールへの取り組みについて

-- トレイルランニングについては登山者への配慮も必要との声もありますが、ルールへの取り組みについて聞かせてください。

トレイルランニングについては登山者や地元住人から賛否含め色々な意見も頂戴しています。もちろんマナーが悪いランナーはごく一部だと考えていますが、高尾山域でやらないで欲しいという声もなかにはあります。しかしながら、ただ単にランナーを規制することはもちろんできませんし、また大会を行うからといって登山者の入山規制をすることもできませんよね。そうではなくてルールを知っていただく。大事なのは「みんなで自然と共存していくためにルールを守ろう」という意識の共有ではないかと考えています。そこにランナーや登山者の区別はありません。みんなが等しくルールを守るというのが大事です。

-- 自然と共存していくルールの発信が目的となるのでしょうか?

ルールの周知は大きな目的の一つです。平成27年に環境庁が「国立公園内におけるトレイルランニング大会等の取扱いについて」という発表を行いました。東京都も「東京都自然公園利用ルール」というものを策定しています。これは個人やイベント等で自然を利用するすべての人に向けたルールを呼びかけているものですが、TOKYO八峰マウンテントレイル実行員会もこの内容に準じて大会運営を行っています。いかに自然と共存しながら利用するかは、ランナーだけでなくハイカー含めて山を利用するすべての人に共通することだと考えています。ですので「自然はみんなのもの」として、民間含めてイベント運営者も個人の利用者も、ルールを知って、守って、正しく利用しましょうという意識を共有する。その意味でもTOKYO八峰マウンテントレイルがきっかけでルールが周知されていくことを期待しています。

-- 周知の進みはどうでしょうか?

実際には大会参加者にアンケートをとってルールを知っているかについて調査をしたり、スタート前に呼びかけたり、参加賞として配るファイルに記載したり、様々な形で発信しています。参加するまで知らなかったという人はまだまだいます。一定の手応えを感じてきてはいるので、今後もよりよい形で発信していきたいと考えています。

TOKYO八峰マウンテントレイルの魅力について

-- 参加者にとっては、高尾山周辺で走ることも楽しみなのではないでしょうか。

この大会はなんといっても八王子観光の目玉である「高尾山」が魅力の一つです。高尾山はミシュランのガイドブック三つ星を獲得しており、そのためか今年は海外からのエントリーもありました。非常に大きなポテンシャルを感じています。

ただ先程もお話したように、現在は定員900人程度の大会規模を想定していますので、単純に数を増やせばよいというものでもないのです。参加者を増やすということは、環境保全や安全面の確保など様々な問題も増えてきますので、容易に拡大はできません。それよりもまだ大会の情報や、ルール周知の面で足りていない部分もあると認識していますので、こういった認知度を上げることを当面の課題としています。また、安全面といえば今回から東京医科大学八王子医療センターのバックアップ体制をつくることができました。幸いにも今まで大きな事故は発生していませんが、それでもケガ人ゼロにはなかなかできないアクティブな競技です。今後も参加者が安心して参加できるように、より安全な大会にしていきます。このようにトレイルランニングのイベントはまだまだ開催するたびに課題が出てきては対策をねっているというのが現状です。そういった課題解決の先に、ランナーや観客を盛り上げて観光消費など、地元の活性に繋げられればと考えています。

-- ランニング大会などによる地元への波及効果はありますか?

行政が関わるということで地域の活性化の目的もあります。「TOKYO八峰マウンテントレイル」では高尾山口の温泉施設さんのクーポンを配っています。評判は良かったと聞いていますので、一定の手応えを感じています。今年は新たな試みとして大手居酒屋チェーンさんにお食事券を協賛していただいています。大会後の打ち上げに居酒屋で使っていただくという狙いです。また高尾山にはお土産屋さんも沢山あるのでこういった観光にお金を使ってくれるのでは、と期待もしています。ただ、宿泊のニーズはまだそれほどありませんね。高尾山は都内からのアクセスが良すぎてほとんどの方が当日移動の日帰りが可能です。前泊があっても楽しめるイベントなど、考え次第ではもっと掘り起こせるのではとも考えています。

-- どんな方が参加しているのですか?

エントリーの参加者を分析したところリピート率が非常に高いです。大会満足度の評価とも受け取れますが、まだまだ周知がされていないという現実もあるでしょう。キャパシティーの問題ももちろんありますが、周知を広めて新規エントリーをもっと増やしたいですね。先程もお話しましたが、様々な人に大会と自然利用のルールを知ってもらいたいというのは大きな目的の一つです。そうやって新しい人が来てくれることで、地元のスポンサー企業も増えていくだろうということも期待しています。

-- 著名なゲストランナーも招待されていますね。

大会を盛り上げるため、ゲストランナーではトレイルランニングの第一人者である鏑木毅(かぶらきつよし)選手を招待しています。鏑木選手には、TOKYO八峰マウンテントレイルのスペシャルアドバイザーも務めていただき、スタート前に自然公園利用ルールについて呼びかけてもらっています。またトレランはロード出身の方が多いせいか、平均年齢層が少し高めですが、鏑木選手は「若い人も練習でトレイル走ってみては」とも言ってくれています。そのためにも大会を通じて発信するルールへの周知はやはり大事と感じていますね。

今回も鏑木選手を招待させていただきましたが、八王子市出身のランナーはプロ・アマチュア問わず応援したいと考えています。

-- 最後にひとことお願いします。

お話したようにまだまだ出来る事はたくさんあるのですが、やはり行政の限界もあります。地元地域の活性化には八王子市がいくら旗を振っても、地元の商店さんや地域住民の皆さん方のご協力なしには実現できませんから。そういったことからも、スポーツ振興課の活動を知ってもらい、応援してほしいですね。

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