【サプリメント図鑑vol.8】世界のトップアスリートが愛用中の「モルテン」。ドリンクミックスに仲間入りしたGEL100の魅力とは?
長年愛飲されている定番から革新的な新製品まで─ランナーに愛飲されるサプリメントについてメーカー担当者から開発秘話をうかがう、スポリートの“サプリメント図鑑”。第8回のテーマは、MAURTEN社の「GEL100(ジェル100)」です!
ベルリンマラソン2018で、エリウド・キプチョゲ選手の世界記録更新をサポートしたことで話題となった「モルテン」。2016年の発売以来、世界のトップアスリートが愛用する革新的ドリンクとして注目されています。定番の「ドリンクミックス」に仲間入りした「ジェル100」の魅力や効果的な使用方法、また2019年9月23日に情報解禁された注目の新製品「GEL100 CAF100」について、MAURTEN JAPANの芝崎周憲さんに伺いました。
モルテン開発のきっかけ
──世界の名だたるアスリートが愛用するモルテンですが、日本上陸後は国内のトップアスリートも次々と取り入れているそうですね。スポーツ界に革命を起こしたモルテン開発のきっかけとは何だったのでしょう?
スウェーデンの研究者モルテン氏は、みずからトライアスロンに取り組むなかで、既存のスポーツドリンクではエネルギー補給が十分でないと感じていました。そこで、より効率的にエネルギー補給をするための研究を始めたのです。エネルギーのもととなる炭水化物を多く摂ればパフォーマンスが向上するという研究結果は出ていました。しかし、単純に炭水化物量を増やせば、パフォーマンスは上がるのかというと、身体には炭水化物を許容できる限界があるらしいとわかったんです。
──炭水化物を補給しても、すべてをエネルギーに変換できないのですね。
炭水化物を補給すると、通常は胃で消化されたあと、腸で分解されてエネルギーに変換されます。しかし、炭水化物濃度が上昇するほど胃に長くとどまり、ゆっくり消化されてから少しずつ腸に流れていきます。個人差はありますが、2時間から5時間といわれています。
──過剰摂取を抑えるための防衛反応ということでしょうか。
炭水化物の許容量を超えると、胃痛やむかつきなどの胃腸障害が起こってしまいます。運動中は胃腸の動きが鈍くなるため、なおさら消化が難しくなります。そのため、既存のスポーツドリンクでは500mlに対して炭水化物は25g程度でした。これが、人間の身体が受容できる限界だったのですが、アスリートが必要とするエネルギー量の1/3ほどなんです。
──パフォーマンスを最大限に引き出せるとはいえない量ですね。 そこで、モルテンは炭水化物が胃のなかにとどまる性質を、どうすれば攻略できるかに着目しました。それが独自のハイドロゲル技術です。モルテンが胃のなかに入ったときに胃酸と混じることによって、炭水化物がカプセル化され、ジェル状になります。
モルテンドリンクミックスを 胃酸と同程度のpHの液体と混ぜると・・・ ジェル状になります。
炭水化物と認識させず腸に届ける
──カプセル化することでどんなメリットがあるのでしょう?
炭水化物を包み込むことによって、胃のなかで炭水化物だという認識されないようにしたのです。普通の水を飲んだときと同じように胃を通過して腸に届くので、早い人だと15分から30分でのエネルギー変換が可能になりました。
──2~5時間かかっていたエネルギー変換が、15~30分に短縮されたとは画期的ですね。腸ではどれぐらいの炭水化物が吸収可能なのですか。
私たちの研究結果では、1時間あたり約80~90gの炭水化物をエネルギー変換できることがわかっています。それ以上は脂肪として蓄積されますので、1時間あたり80gの炭水化物を摂取できるスポーツドリンクの開発に至りました。モルテンドリンクミックス320は水500mlに対して80gですので、普通のスポーツドリンクの3倍にあたりますね。
──ジェル100はどうなのでしょう?
ジェル100では、1時間あたり最大100gの炭水化物をエネルギーに変換する配合が実現しました。1本あたりに25gの炭水化物が含まれていますので、4本を飲んでいただければちょうど100gになります。
──ジェル100のほうがドリンクミックス320より効果的ということでしょうか。
研究ベースでいえば、エネルギー変換効率が高い結果が出ました。しかし、運動には水分も必要です。ジェルばかりを飲んでエネルギーに変換できても、気分が悪くなっては意味がないですよね。ドリンクミックスなら水分補給もできますので、それぞれのメリットを活かしてもらいたいと思います。また、エリートランナーはスペシャルドリンクを給水所におけますが、一般ランナーはそれがかないません。モルテンジェル100は1袋の重量が40gですから、持ち運びしやすいと思います。3、4本ほど持って走りながら、エネルギー補給をしていただく。そして、給水所で水分補給をしていただけければと思っています。
ジェル100とドリンクミックスの活用方法
──レース中以外にも使用できるのでしょうか?
カーボローディングにもおすすめです。レース前日や当日朝に、餅やうどん、バナナなどを食べる方も多いのですが、これは胃腸に大変な負担となり、パフォーマンスの低下につながることもあります。モルテンは胃から腸へとスムーズに流れるので、身体に負担をかけずにエネルギー補給を実現します。さらに、モルテンジェル100なら空腹感も解消できます。
──おすすめの飲用方法はありますか?
当日朝にドリンクミックス320を1袋飲んでいただき、レース中にジェル100を5、6kmから8kmに1本ぐらいのペースで摂っていただく方法です。炭水化物は使った筋肉のリカバリーにも効果がありますので、レース後にドリンクミックス160を1袋摂っていただくとさらによいと思います。可能であれば、前日にもドリンクミックス320を1袋取り入れていただくのもおすすめです。
──レース中にジェル100を飲めない場合には?
前日に1日かけてドリンクミックス320を1袋飲んでいただきます。そして当日、スタートする30分前までにもう1袋飲んでいただく方法もあります。スタートラインに立ったとき、身体にエネルギーを満たされた状態になりますので、これでも十分だと思います。
──さまざまな取り入れ方があるのですね。
9月のマラソン日本代表選考レースに出場した31選手中25人がモルテンを使ってくださっていますが、飲み方は人それぞれです。佐藤悠基選手は当日朝に固形物を口にしたり、レース中にジェルを摂るのも苦手ということで、ドリンクミックス320を朝に飲んだあと、各給水所で100~120mlぐらいを飲みながら走っています。世界記録を出したキプチョゲ選手はドリンクミックス160を好みます。それを小分けに補給しつつ、足りないエネルギーをジェル100で補っているそうです。
──必ずしも濃度の高いものが優先されるわけではないのですね。
水500mlに対して、ドリンクミックス320は80g、ドリンクミックス160は40gの炭水化物が含まれます。1時間あたり80gの補給を目安にする場合、500mlに溶かしたドリンクミックス160を1リットル飲んでいただければ水分は2倍摂れますから、夏場など水分が必要な場合には、このような方法もおすすめです。練習のうちから自分に合った飲み方を見つけていただきたいですね。
モルテンはすべて天然成分
──モルテンの魅力がよく理解できました。ドリンクミックスとジェル100を上手に組み合わせて利用したいですね。モルテンはすべて天然成分でつくられているというところも身体に負担をかけないという理由からなのでしょうか。
モルテンのモットーは「アスリートファースト」。香料や着色料は身体に必要のないものですよね。純粋にエネルギー効率だけを考えたものなので、アスリートに不要なものは一切入れない。そういう理由ですべて天然成分なのです。アスリートへの効果をお伝えしてきましたが、モルテンは脳でも力を発揮します。脳がエネルギーにできるのは糖質だけなので、純粋に糖質だけで作られたモルテンは即効性があるんです。スウェーデンではチェスの試合中に愛用されているプレーヤーもいますし、集中力を上げる際に効果があると気に入ってくださっている射撃の選手もいらっしゃいます。頭を使う受験勉強にもおすすめですよ。
さまざまな使用方法を説明してくださったMAURTEN JAPANの芝崎周憲さん
──モルテンはスポーツに限らず、日常のさまざまなシーンで活用できそうですね。
2019年9月23日、モルテンジェル100にカフェインを加えた新製品「GEL100 CAF100(カフ100)」が発表されました(日本での発売は10月末頃→11月上旬ごろを予定)。カフェインを摂取すると脳が覚醒することはよく知られています。モルテンジェル100をマラソンレースの後半に4本使っている場合、たとえば終盤の2本を新製品に換えることで、苦しい場面でタイムを伸ばすといった期待ができます。ぜひランナーの皆さんには、新製品の可能性も試していただければと思っています。