誰に相談すればいい? 「スポーツと健康の相談窓口」アスレティックトレーナーとは

ランナーのみなさんは、コンディションを整えたいときや、ケガをしてしまったときに、誰に相談すればいいのか迷った経験はありませんか? 「鍼灸治療院はどんなときに訪ねればいいんだろう」「病院で診断してもらった後はどうすればいいんだろう」などなど…。そんなとき、身近な「相談窓口」になってくれるのが、アスレティックトレーナーさんです!
みなさんがランニングを始めたきっかは何ですか? 「運動不足解消のため」「友達に誘われたから」など、いろんなきっかけがあると思います。そして、多くの人にとっての“走り続ける理由”に共通しているのは、「健康で充実した生活を送りたい」という気持ちではないでしょうか。
だからこそ! せっかくランニングを始めたのに、ケガをしてしまってはもったいない! 痛みや不調を抱えながら走り続けていたら、「健康で充実した生活」とは程遠くなってしまいますよね。
今回は、そんなランナーのみなさんが健康的に走り続けるためのサポートをしてくれる、「アスレティックトレーナー」武内さんにお話を聞いてきました。
「トレーナー」と聞くと、「趣味で走っているだけの私には必要ない…」なんて身構えてしまう人もいるかもしれません。でも、みなさんが抱くイメージよりもずっと身近な存在なんです。
「せっかく走り始めたから、ケガなく続けたいな」「以前ケガをしてしまったから、再発を防ぎたいな」など、市民ランナーのみなさんの悩みにもよりそってくれますよ。
アスレティックトレーナーとは?

お話を聞かせてくださった、アスレティックトレーナーの武内薫さん(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー/八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネス部門 ディレクター)
──アスレティックトレーナーとは、どんなことをしてくれる人なんですか?
アスレティックトレーナーは、簡単にいうとスポーツをする人たちの身体面、技術、心理、あらゆる面からサポートする役割を担っています。
ひとつは、ケガの予防。運動を続けるうえでケガをしてしまわないように、基礎的なトレーニングの指導や、日頃の体調管理までサポートします。またケガをした選手がいれば、競技復帰までのリバビリやトレーニング指導も行います。
もうひとつは、専門家とのつなぎ役になること。たとえば、何らかの治療や施術によってコンディションを整えたいというときに、鍼灸師やマッサージ師など、適切な専門資格を有する人につないだり、やむを得ずケガをしてしまったときは医師や理学療法士などと連携をとって再びスポーツができるようにするためのサポートをするなど…スポーツをする人を“支える”各専門家とのハブになることも、大切な役割でのひとつです。 アスレティックトレーナーはスポーツチームや、学校の部活動などをサポートする人も多く、万が一のための応急処置のスキルも身に付けています。
アスレティックトレーナーは、このようにスポーツをする人たちの日頃の身体づくりから、いざというときのサポートや処置まで幅広く担っているんです。

──治療行為をしてくれる人とはまた別なのでしょうか?
そうですね、アスレティックトレーナーは、基本的には治療行為はできません。
ただ、アスレティックトレーナーの資格を持つ人のなかには、はり師やきゅう師マッサージ師の資格を持つ人もいます。そういった人たちは「アスレティックトレーナー」と「鍼灸マッサージ師」などの役割を兼任している場合もあります。
──「コーチ」と「トレーナー」のイメージが混同してしまうのですが、どんな違いがありますか?
専門的な技術指導をしてくれるのが「コーチ」とイメージしてもらえばわかりやすいと思います。たとえば、プロ野球のチームには「打撃コーチ」「投手コーチ」などがいますよね。一方で、選手のコンディションを整える役割として「トレーナー」が所属しているプロスポーツチームは多いです。とは言っても、トレーナー自身もそのスポーツの知識を持っていなければ、選手の身体の状態を正しくチェックすることができないので、技術的な知識も必要なんですよ。
ランニングの場合は、基本的な身体の動かし方を改善したり、日頃のコンディションを整えること自体がレベルアップに直結します。そのため、生活の一部としてランニングを楽しんでいる皆さんには、私たちアスレティックトレーナーにご相談いただければ走力アップのお手伝いをすることも可能だと思います。

身近な「相談窓口」として!
──決して「アスリート」としてではなく、あくまでも趣味としてランニングを楽しみたいのですが、そういう人がアスレティックトレーナーさんへ相談に行っても良いものなのでしょうか?
もちろん大歓迎です。私が所属する「八王子スポーツ整形外科」はクリニックですので、他の病院で診断を受けた人がそのまま私たちアスレティックトレーナーのもとへ相談に来てくださることもあります。
アスレティックトレーナーに相談して「ケガの予防」をしながらスポーツを楽しむ、というのは、歯医者さんできちんと定期検診を受けるのと似たようなものだと考えています。まだまだ「トレーナー」と聞くと「自分には必要ない」と考えてしまう人はいるかと思いますが、最近では高校や大学で、保健室の先生のようにアスレティックトレーナーが常駐しているところもあるんです。
競技者ではなくとも、日常的にスポーツを楽しむ人が増えてきているからこそ、これからさらにアスレティックトレーナーは身近な存在になっていくと考えています。たとえば今後、市民体育館などに気軽に相談できるアスレティックトレーナーがいればいいですよね。
今は、身近なところでいうと私たちのようにスポーツ医学に特化した医療施設や、スポーツジムなどに所属しているアスレティックトレーナーもいるので、ぜひ健康的にケガなくランニングを楽しむためにも、「健康の相談窓口」として、気軽に相談してもらえたらうれしいです。

取材協力
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