アンバサダーリポート「サブ50ランナーによるMaurtenリポート」
ランナー達の間で話題の補給ドリンク「Maurten(モルテン)」。今回はアンバサダーのTomさんがサブ50(フルマラソン2時間50分カット)ランナーの目線でリポートしてくれました!
マラソンアンバサダーのTomです。第三弾として、マラソンの補給で新スタンダードになる可能性を秘めていると言っても過言ではない、モルテンをご紹介させて頂きます。既に、サブ3.5を目指されている他のアンバサダーが渾身のレポを書かれているので、内容が重複しないよう、かつ僕はサブ50ランナーの目線でお伝えいたします。
MAURTENとは?
「革命的」やら「次世代」といった華々しい評価がなされている、スウェーデン発のスポーツドリンク。なんでも、近年の世界5大マラソン大会の覇者が皆飲んでいたらしい。何がそんなに凄いのか?
トップアスリートだろうと市民ランナーだろうと、走る上での重要なエネルギー源は炭水化物だ。炭水化物(糖質)を体内に蓄えるために、数日間かけてカーボローディングするランナーも多いだろうし、そこまで本格的ではないにしても、前日やレース当日朝にご飯やうどん、お餅を多めに食べてレースに臨むことは、もはや常識と言っていい。
ならば、炭水化物が含まれる食べ物をとにかく詰め込めばいいのかというと、そういう訳にもいかない。レース前に胃に過度の負担をかけることは避けるべきだし、そもそも論として体重が増えてしまっては本末転倒だからだ。特に、サブスリー以上の走力を持ったランナーであれば、体重管理が結果を左右する要素は決して小さくない。
また、体内で炭水化物をエネルギーに変換する能力には限界があるので、一般的なスポーツドリンクは炭水化物濃度が5%前後になっているらしい。ところが、モルテンは約16%と、3倍以上の濃度だ。それを可能にしたのが、「ハイドロゲル」という技術で、胃の中で水分・塩分・炭水化物を包み込み、胃の許容量を超えた燃料が素早く腸に供給され、効率的にエネルギーに変換されるという仕組みらしい。化学物質は一切使われておらず、天然成分100%というから驚きだ。
モルテンには2種類のミックスが用意されていて、水分補給優先なら160、エネルギー補給優先なら320で、下図のようにカロリーと炭水化物量が異なる。どちらも500mlの水に溶かして飲む。
1袋40gの栄養成分
モルテンを、ランナー御用達の代表的なカーボローディング用メニューと比較してみる。
例えば炭水化物を80g摂取したい場合、ご飯1杯+お餅1切れ、あんぱん+カステラ、うどん2杯といった組み合わせになるが、モルテン320だと1回分に相当する。
一説によれば、マラソンを完走するために最適な炭水化物量は体重1kgあたり9gとされていて(参考:The Right Way to Carb-Load Before a Race)、例えば僕の場合は57kg x 9g = 513gとなる。これを体内に蓄えるにはそれなりの工夫が求められる訳で、前述のように体重を適正レベルに仕上げるためにも、モルテンを取り入れることにより、カーボローディングがしやすくなると考えられる。
もっとも、モルテンの利点はカーボローディングに限定されず、水分補給は勿論のこと、効率的なエネルギー補給といった点で、利用価値は高い。
試飲・感想
白い粉が完全に溶けると、見た目は変わらず無色透明のまま。口に含むと、まろやかさが口に広がる。ミネラルウォーター特有の角がとれて、舌全体が柔らかく包み込まれる感触。味は薄い砂糖水か。と言ってもくどさは全くなく、懐かしさを覚えた。あ~あの味だ。小さい頃、カブトムシやクワガタに与えた砂糖水(笑)。
美味しいか不味いかは、個人の味覚によると感じた。個人的には可もなく不可もなく、といった感想を持った。
炭水化物を食べるのではなく飲んで摂取するという、モルテンのコンセプト。さぞかしドロッとして胃に負担がかかりそうだなという一抹の不安があったが、杞憂だった。
実際に走ってみての効果
1回目は、10kmレースを翌週に控えたポイント練習の時にMIX 160を試した。チビチビ飲みつつ、アップ後に飲み干した。
設定ペースは3’45/km、タイムで37’30。フルマラソンのレース1週間前にテーパリングとして走る時のペースでもある。なお、僕の自己ベストは36’51。
結果は散々で、38’10、ペース3’49/km。脚に疲労が溜まっていたというのが要因だが、モルテンの効果を感じることは正直できなかった。
自分には合わないのかと少々落胆したが、パッケージの注意書きやHPを改めて読み返すと、500ml (17oz)ぴったりの水で溶かすようにとあった。多くても少なくても、濃度が変わってしまうのでNGとのこと。
ふと気になって確認してみた。とある大会の参加賞でもらったボトルだが、あれれ、500mlは15ozぐらいになっていて、目盛が合わない。
念のため、水500mlをちゃんと量ってボトルに入れてみると、一杯になった。まさかの目盛ズレ。ということは、500mlの目盛に合わせたので、濃度が高かったことになり、モルテンの効果が正しく得られなかったのかもしれない。10kmと距離が短いから効果を感じにくかったのか、練習前に飲み干したのも良くなかったのかもしれない。
そこで2回目は、ロング走の練習で、MIX 320を走る前と走っている最中に飲んで試してみることにした。設定ペースはサブスリー相当の4’15/kmで30km。サブ50ランナーであれば、このペースは苦ではないものの、それなりに集中しないと綺麗に走り切れない。320は耐久力が要求されるシーン向けなので、30km走はお誂え向きだ。
場所はポイント練習をする際のマイコース、夢の島公園。1周1.35km。アップダウンがなく、道幅が広く、走りやすくて気に入っている。
前回の教訓を生かし、きっちり500mlの水で溶かした。向かう車内でチビチビ飲みながら、軽いアップ後にも3口ほど飲んでスタート。飲み口や味は160と変わらなかったように思う。
約5km毎に飲むようにした。
結果から申し上げると、2時間6分40秒、平均ペース4’13/kmでコンプリート。しかも、このラップタイムをご覧頂きたい。一定ペースで走るのは得意だと自負しているが、概ね4’12~4’14で美しすぎるペースメイク。
気温は18度で、500mlもの給水は必要ないのだが、さすがはモルテン。胃に負担がかからず、常にエネルギー満タンといった感じで走れた。走り慣れているコースとはいえ、ぐるぐると22周もすると、途中で集中力が切れやすいが、無理なく一定のペースを刻めているので、走っていて楽しかった。
果たして体内でエネルギーが効率的に変換されているのかは分からないが、少なくとも、こういう結果を出せたことは、ハイドロゲルのおかげと考えてもいいような気がしている。
気になるお値段はというと、10袋入りで160が¥6,000(税抜)、320が¥9,800(税抜)で、この手のサプリメントとしてはかなり高価なのがネックだが、ここ一番というレースで使ってみる価値は十分ある。
レースでは給水が充実しているので、マイボトルを持って走るランナーはあまりいないと思うが、カーボローディングの一環としてモルテンをメニューに加えてみるというのは面白いかもしれない。
関心を持った方は、是非お試し頂きたい。