ランニングにプロテインは有効なのか?知っておくべきタンパク質の関係性
身体を絞っていくイメージのあるランニングには、筋トレに不可欠な「プロテイン」は筋肉を大きくさせたい人が飲むイメージが強く、一見無用なものかと考えてしまいます。しかしプロテインは3大栄養素の「タンパク質」のこと。当然必要な栄養素です!
ランニング後にプロテインを飲むとよいとされるにはいくつかの理由があります。プロテインを飲むメリットを知れば、安心して飲むことができると思います。ランナーにとって手軽に摂れる必要な栄養素「プロテイン=タンパク質」を見直してみてはいかがですか。
- 1.ホエイプロテイン
- 2.カゼインプロテイン
- 3.ソイプロテイン 4, タンパク質不足が起こる理由
1, ランニングとプロテインの関係性について
2, プロテインってなに?
3, プロテインには種類があるの?
5, タンパク質摂取のメリット・不足のデメリット
6, プロテインの摂取タイミング「ゴールデンタイム」
7, 「プロテイン製品」のメリット・デメリット
8, まとめ
ランニングとプロテインの関係性について
ランナーにはタンパク質が不可欠
ランナーにとっても、食事はトレーニングと同じくらい大切です。規則正しく1日3度の食事で、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル、脂質などの栄養をバランス良く摂ることが、健康的にうまく走れる体を作ります。なかでも「タンパク質」は、ランニングを行ううえでも欠かせない栄養素と言われています。なぜランナーにとってタンパク質が必要なのでしょうか。
タンパク質は、ヘモグロビンを生成する
有酸素運動とは、低強度で酸素を取り入れながら長時間行う運動のこと。もちろんランニングも有酸素運動です。酸素は呼吸によって肺に取り込まれ、血液中のヘモグロビンという成分が、血管を通って体の隅々に酸素を運搬しています。そのヘモグロビンはタンパク質で生成されています。
実はランニングは、足を着地させる際の衝撃で、ヘモグロビンを含む赤血球が壊れやすく、いわゆる「スポーツ貧血」に陥りやすいと言われています。よってランニングには、ヘモグロビンを生成するために、鉄分とタンパク質が必要となるのです。
プロテインってなに?
プロテインとタンパク質は同じ意味です。Protein(プロテイン)を和訳するとずばり「タンパク質」です。プロテインというと筋トレのトレーニーが愛飲するイメージが強すぎるかもしれません。このイメージは日本ならではかもしれませんね。
食べ物で言うと、肉類・魚類・大豆類・卵類あたりに普段の食事から摂取できるタンパク質が含まれます。
タンパク質は筋肉だけではなく、皮膚・髪・爪などの様々な身体の一部を構成するのに必要な、とっても大事な栄養素です。
プロテインには種類があるの?
プロテインには大きく分けて3種類あります。
牛乳を原材料とするホエイプロテイン・カゼインプロテイン、大豆を原材料とするソイプロテインがあります。
消化吸収速度の違いや、運動の目的によって摂取するプロテインが変わってきます。それぞれの特徴について説明していきます。
1.ホエイプロテイン
ホエイプロテインの原料は牛乳で、動物性のタンパク質から製造されており、筋肉成分の多くを占めるアミノ酸が含まれているため、筋肉修復効果も期待されています。
タンパク質を構成しているアミノ酸組成や吸収スピードなどにおいてホエイが優れていることから、プロテインサプリメントとしてはホエイが圧倒的に優位に立っています。
味は淡白で飲みやすく、体内への吸収速度はスムーズで胃腸にもたれにくいというメリットがあります。
ホエイ(乳清)はヨーグルトの上澄みにできる液体のことをいい、ホエイにはミネラルや水溶性ビタミンが含まれています。ホエイプロテインは水に溶けやすい性質を持っているので、速やかに消化吸収してくれるのが特徴です。
このホエイに含まれるタンパク質がホエイプロテインです。ホエイには他にも、ミネラルや水溶性ビタミンも含まれています。
2.カゼインプロテイン
ホエイプロテインが水溶性で吸収が早いことに対し、カゼインプロテインは不溶性(水に溶けない)なので消化吸収が遅いです。
カゼインプロテインの原料は牛乳で、元々の原料の性質として水に溶けないため、胃の中では胃酸に反応をして一旦固まってしまいます。
ですがその性質を利用して、血液中に長い時間滞在することで、アミノ酸血中濃度を高めるという効果があるそうです。
※「カゼイン」とは、ラテン語で「乾いた乳」を意味する「カセウス(Caseus)」が語源
上記の特徴により、ホエイプロテインとは違った用途で期待されています。
カゼインプロテインは消化吸収に時間がかかり、身体にゆっくりと持続的に蓄えさせることができるので、就寝前に飲むのが推奨されています。
3.ソイプロテイン
ソイプロテインの原料は大豆で、大豆のタンパク質部分だけを抽出し粉末状にしたものになります。
カゼインプロテインと同じく消化吸収がゆっくりなプロテインのため、満腹感の持続が期待されています。
大豆に含まれるイソフラボンは、お肌の調子を整えたり、肌のハリ・ツヤををサポートしてくれる、女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きを持っている。
また、大豆に含まれる「βコングリシニン」は脂肪酸分解促進や遊離脂肪酸の低減などの効果が期待されます。
※ソイ(大豆)以外にも、えんどう豆・そら豆などの植物性プロテインなどの商品も販売されています。
タンパク質不足が起こる理由
現代人の食事による「タンパク質」摂取量は減少しているという調査があります(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」)。調査によると、ピーク時は1995年で1日あたり81.5gという摂取量だったそうです。一体なぜなのでしょうか。
原因1:食習慣(肉類の摂取量が増加し、魚類の摂取量が減少)
魚類に比べて、肉類はグラムあたりに比べて、脂肪量が多く、タンパク質量が少ないため、肉類の量を増やしても、なかなかタンパク質の摂取量は増えないのです。
原因2:減量・ダイエット(過度な食事量の減少)
ダイエット目的の過度な減量や、健康診断の結果などからメタボ予防などと考え、自ら意識的に食事量を減らす傾向があります。
以上が主な原因と考えられますが、どうやら「生活スタイルの変化」が大きな影響を与えているようです。思い当たる節がある方は、普段の食生活を見直してみるのも良いかもしれません。
タンパク質摂取のメリット・不足のデメリット
人の身体の60%は水分で出来ており、身体の15〜20%はタンパク質で構成されており、皮膚・髪・筋肉を形成し、ホルモンや免疫物質などの身体調整機能を作る材料にもなっています。
タンパク質を摂取した際のメリット
脳を働かせる材料になる
脳の機能や成長をつかさどる神経細胞はタンパク質でできており、そのためタンパク質は身体の中で脳を働かせる材料になっています。
代謝量の増加
タンパク質は、食事誘発性熱産生(Diet Induced Thermogenesis)が炭水化物と脂質に比べて2~3倍程あるので、食事をした後、安静にしていても代謝量が増大が見込めます。
筋肉もタンパク質でできており、しっかりとした筋肉を作るためには、タンパク質を摂取することがとても大事。そして、筋肉量があればあるほど基礎代謝があがり、痩せやすいカラダに繋がります。
疲労回復促進
運動後にタンパク質を補給することで、運動によって傷ついた筋肉の傷の修復が速やかに進むことで、疲労回復に早まります。
市販のプロテインなどで、「タンパク質」と「糖質」とを、効率よく摂取できるので、運動後に飲むことで疲労回復に役立ちます。
タンパク質が欠乏した際のデメリット
体の機能低下が起こる
その他に、身体を機能的に働かせるためのホルモンや酵素、体を守るためにも働く免疫体を作る材料にもなっています。
体内のタンパク質は、常に新しく作り替えられており、新陳代謝に重要な役割を持っています。
タンパク質が不足すると、新しいタンパク質と古いタンパク質を作り替えることができず、筋力などが衰えるだけでなく、体の機能低下を引き起こし、体調を崩しやすくなる可能性が増すと考えられています。
むくみやすくなる
タンパク質の一つ、血漿タンパクであるアルブミンが、むくみを起こさないための役割を果たしています。このアルブミンは、血管内と血管外の水分量の調節に関わっており、血中のアルブミンが不足することで、血液の一部が血管から滲み出てしまったものがむくみの原因です。
タンパク質は、この滲み出た水分を血管内に戻す力があります。タンパク質が充分に体内にないと、水分が戻ることができずむくんだ状態が続いてしまいます。
貧血に繋がる
ランニングは足を着地させる際の衝撃で、赤血球が壊れやすくスポーツ貧血に陥りやすいと言われています。ヘモグロビンを生成するために、鉄分とタンパク質が必要となるのです。
プロテインの摂取タイミング「ゴールデンタイム」
ゴールデンタイムとは、筋肉がアミノ酸などのタンパク質を吸収しやすいタイミングのことです。運動直後から30分〜45分以内くらいがゴールデンタイムと言われています。
ではなぜ、運動後30分〜45分以内に飲むのがベストなのでしょうか。
まず、運動をすると筋肉を使うので、筋細胞などが傷ついた状態になります。細胞を回復させるためにはタンパク質などのアミノ酸が必要とされています。
そして運動をするエネルギーを生み出すため、体内で栄養素が使われて、身体は栄養的に飢餓状態になります。飢餓状態ですから、身体は急いで栄養を吸収しようとしますので、ゴールデンタイムと言われる運動直後から30分〜45分くらいまでは、アミノ酸が筋肉に送られる量が平常時の3倍ほどにアップすると言われています。
また、ゴールデンタイムでは成長ホルモンの分泌が盛んになります。筋肉の修復が始まる時間帯であり、タンパク質合成が高まるからです。成長ホルモンには、タンパク質を合成(アナボリック)して筋肉をつけたり、脂質代謝を促し、体脂肪の減少や、脂肪の蓄積を抑えてくれるような働きがあります。
運動直後は、特に筋肉を作る作用がピークを迎えています。
筋肉の修復時にアミノ酸が多くあれば、修復もより早くなります。タイミングよくタンパク質を摂取することで、効率的にアミノ酸を作ることができるでしょう。
「プロテイン製品」のメリット・デメリット
プロテイン製品のメリット
タンパク質を摂るという目的だけなら、食事からでも摂取できます。しかし運動後30分以内にタンパク質を食事から摂ろうとするとさすがに難しいと思います。
その代わり「プロテイン製品」の場合は、用意しておけばタンパク質を必要な分だけ、簡単に摂取することができます。また食事でタンパク質を摂ろうとすると肉や魚に含まれる脂質も摂取してしまいますが、プロテインであれば必要なタンパク質だけ効率的に摂取することができます。
最近だと、プロテインバーやプロテインクッキーなどと、タンパク質を豊富に含み、しかも美味しい商品が商品が増えてきたので、手軽にタンパク質補給をできるのも良いところです。
プロテイン製品のデメリット
牛乳や大豆などが様々な過程を経て製造されるので、プロテイン独特の癖や独特な風味があります。しかし最近では製品も進化をして、かなり美味しい商品も発売されてきてますので、このデメリットも薄くなっているかもしれませんね。
ただし、プロテイン製品に頼りすぎることで、栄養の偏りやカロリーオーバーになり、健康を害する可能性はありますので注意しましょう。あくまで食事の補助として考えるのが適正です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ランニングとプロテイン=タンパク質を組み合わせることで、日々のランニングの効果を高めることができると思います。
「必要なタイミングで、必要な栄養素を、食事から摂取すること」は、準備をしないと難しいことだと思いますので、「プロテイン製品」を食事や運動前後に取り入れてみるのも良いと思います。そうしたことで自分が目指す身体に一歩近づけると思います。
栄養に対する正しい知識を持つことで、日々のランニングや生活の質が向上すること間違いなし!