【ミズノ】スポーツエントリー層向け義足板バネ「KATANAα」(カタナアルファ)
「歩く」から「走れる」へ、障がい者の夢を叶える 福祉機器メーカー株式会社今仙技術研究所(本社:岐阜県各務原市、 取締役社長:棚橋浩 以下、 今仙技術研究所)とミズノ株式会社(本社:大阪市、 代表取締役社長 水野明人 以下、 ミズノ)は、 共同開発したスポーツのエントリー層に向けたカーボン製板バネ「KATANAα」を完成させました。
これまで両社が手掛けてきた板バネは、 陸上競技場などで走るための競技専用の義足に取り付けるものでしたが、 競技用板バネ製作のノウハウを生かし、 初めて走る人を対象にした、 エントリーモデルとして軽量で扱い易い板バネを新たに開発しました。 この板バネは専用のソールを装着することで、 トップモデルと同様のコンセプトを持ったバネ特性が実現されています。 また、 日常用義足からの取り換えが容易で、 価格も従来の競技モデル比べ安価となっています。
このカーボン製板バネを2021年9月より今仙技術研究所から全国の義肢装具製作所を通じて販売を開始します。
下肢切断者は約6万人※1で、 公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターのアンケートによると、 当施設で義足を製作されたユーザーの約3割が「競技用の義足を試してみたい」と回答しています。 両社は「KATANAα」の発売により、 下肢切断者のスポーツライフを支え、 健康と福祉を推進していきます。
※1 平成18年厚生労働省「身体障害児・者実施調査」より
今仙技術研究所・ミズノ共同開発 「KATANAα」(カタナアルファ)
子供用(左)と大人用(右)
「KATANAα」の特長
1.日常用義足からの取り換えが容易
「KATANAα」は日常用の義足ソケット、 部品を利用して使用できるため、 使用者の金銭的負担も軽減されます。 また「KATANAα」は下腿義足、 大腿義足のいずれにも対応しています。
ソケットから下を取り換えるだけで接続可能(左は日常用義足)
2.専用ソールを装着することで、 トップモデルに近いバネ特性を実現
スポーツシューズの様な適度な厚みを持たせたミッドソールは適度な硬さと弾力性を持たせることが可能となります。 力が加わる接地時のたわみがトップモデルに近いバネ特性を発揮します。 また、 アウトソールにはシューズ作りのノウハウを生かし、 滑りにくい意匠を採用しています。
上が子供用、 下が大人用のミッドソール
様々な路面に対応できるアウトソール
3.アライメント研究により導き出された形状
「KATANAα」は、 株式会社ケイズデザインラボ(本社:千代田区 代表取締役 小浦芳生 以下、 ケイズデザインラボ)が開発した、 スポーツ・レクリエーション用義足板バネアライメント計測技術により、 日本の下肢切断者に適した板バネ形状が導き出されました。
義足でスポーツを行う上での難題であるアライメント調整を簡単に行うため、 ミズノと今仙技術研究所の協力でケイズデザインラボが、 下肢切断者の身体情報に基づいた競技特性と板バネ選択、 組付け情報のマッチングシステム「アライメントノート」を開発しました。 この活用により、 障がい者がスポーツ活動を実施する上での障壁の改善が期待できます。
「アライメントノート」コンセプト映像 https://www.ksdl.co.jp/dcd/alignmentnote/
ミズノと今仙技術研究所の義足開発について
両社は2014年8月からスポーツ用義足の板バネの開発に着手しました。 きっかけは今仙技術研究所で過去に実績があったスポーツ用義足の開発の精度をより高めて、 世界で活躍するアスリートへ供給したいという願いからミズノに協力要請があったことでした。 ミズノでは、 それ以前からスポーツで培った様々な技術を、 障がい者や高齢者をサポートするための商品やサービスに応用したいと考えていたことから、 両社の協力体制が出来上がりました。 (公財)鉄道弘済会義肢装具サポートセンター、 切断者スポーツクラブ「スタートラインTokyo」の協力の元、 2015年にはスポーツ用義足板バネ専用のスパイクソール、 フットカバーを開発、 2016年には量産型の「KATANAβ」を発表しました。 その後2020年には、 トップアスリート向けの板バネ「KATANAΣ」を完成させました。