【パタゴニア】東日本大震災から10年を迎えて
2011年3月11日の東日本大震災、および東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年を迎え、改めてこの震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
10年過ぎたいまなお、苦しまれている多くの皆様のことを思うと心が痛みます。そうした皆様が一日も早く心穏やかに日常を過ごすことができるようにと、切に願います。
私たちは、自社のビジネスで使用する電気のすべてを、望ましい再生可能エネルギー源に由来する電気へ切り替えることを進めるのと同時に、震災を受けて立ち上がったつながり・ぬくもりプロジェクトや一般社団法人全国ご当地エネルギー協会を通じて、地域が主体となって被災者の皆様に再生可能エネルギーの電気や熱を届ける組織や人びとを支援してきました。また震災から3年が経った2014年3月、それまでから一歩踏み出し、「Patagonia Says No Nukes Go Renewable」のメッセージとともに、原発から再生可能エネルギーへの転換が必要であることを明確に訴え、グリーン電力証書の購入や太陽光パネル設置の取り組みをより積極的に開始しました。
現在は、土地が限られている日本において、森林伐採など新しい場所を開発する必要のない営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の千葉県匝瑳市と兵庫県豊岡市のプロジェクトに投資を行い、耕作放棄地の活用や有機農業との広がり、また新たな雇用や地元企業の発展といった経済の活性につなげていきます。さらに今後は、加速する地球温暖化において、パネルの下の農地を健康な土壌を構築するリジェネラティブ・オーガニック(RO)農法に切り替え、炭素を隔離する力を向上させ、生態系を修復し、安全かつ健康な食料を供給して、農業という解決策を追求します。
そして10年目を迎える今年は、被災をされた皆様にとっては節目などないことは理解したうえで、この先の日本のエネルギーの未来を決める重要な分岐点であると私たちは考えています。
日本政府は昨年10月、気候危機に対して二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を示しました。現在エネルギー基本計画の改訂、2030年の電源構成「エネルギーミックス」の議論が進められており、原発や石炭火力を維持するのか、あるいは再生可能エネルギーをどこまで拡大できるのかが決まります。解決策をともに見出していくための完全な透明性と地域社会、市民の参加をともなった議論と対話が重要な中、今秋にはこの国のリーダーを選ぶことになる衆議院議員総選挙も行われる予定です。
再生可能なエネルギー源はすでに存在しており、その使用を拡大する取り組みに対する障害は、技術的な課題というよりは、むしろ制度など政治的な課題といえます。10年前の震災を経験したパタゴニア日本支社は、ミッション・ステートメントに掲げた「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」企業として、これからも日本とその地域社会のために、行動しつづけます。
2021年3月12日
パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社長
マーティ・ポンフレー
パタゴニア Spring 2021 カタログ内「緑の復興」 ~二度の災い転じて地域の福となすために~ より
「私たちは3・11によって、大切な気づきを得ました。私たちは真の『市民が主役の民主主義』を通して、自然、生態系、地域社会の真の豊かさを尊重した生き方や、経済や地域社会のあり方にまで踏み込んで、問い直しつづける必要があります。大きく変わりつつある未来の一部として、私たち自身が当事者として関わり、再生可能エネルギーを地域づくりに活かすことで、エネルギーと未来を私たちと地域の手に取り戻す道筋が見えてくるのではないでしょうか。」
(こちらのカタログは2021年4月2日に配布を開始します。また、パタゴニアの公式ブログ クリーネストライン 「緑の復興」 https://www.patagonia.jp/blog/2021/03/green-reconstruction/ もあわせてご覧ください。)
各取り組みの詳細は下記URLから御覧いただけます。
- つながり・ぬくもりプロジェクト
https://www.patagonia.jp/blog/2011/07/tsunagari-nukumori-project/ - Go Renewable
https://www.patagonia.jp/go-renewable.html - リジェネラティブ・オーガニック
https://www.patagonia.jp/regenerative-organic/ - 千葉県匝瑳市 ソーラーシェアリング
https://www.patagonia.jp/blog/2020/01/2025-or-bust/ - 兵庫県豊岡市 ソーラーシェアリング
https://www.patagonia.jp/blog/2021/02/stork-friendly-farming-methods/