【ジャストフィットのお手伝い】シューズを履き分けて、トレーニングが変わる!

シューズ シューズ選び

ランナーなら誰もが目指すタイム向上。シューズを履き分けることがパフォーマンスをよくするために大事だという話も聞きます。そこでスポリートアンバサダーのKANAさんが「履き分けのコツ」を教えてくれるというランニングのシューズアドバイザー藤原岳久さん主催のお買物ツアーに参加しました。

フルマラソンのベストタイムは4時間26分というKANAさん。目指すのはもちろんサブ4です。しかしシューズの機能や効率についてはこれまで深く考えたことがなく、フィーリングやデザインだけで選んでいたといいます。今回のツアーでシューズの基本知識を学ぶと同時にフォームを見直し、より自分に合ったランニングシューズを探ってみることになりました。

シューズのレクチャーからフォーム分析まで多角的なサポートを行うツアー

参加したのは「Running Shop DE お買いものツアーin Hiratsuka」。ツアーといってもショップに買いに行くのではありません。藤原さんの事務所に各メーカーのシューズを集め、外に出かけなくてもその場でさまざまなシューズを履いて試せるようにした催しです。

普段は通販でシューズを買っているというKANAさんには、履き比べて選ぶのは初体験。さらにトレッドミルで走って動画を撮影し、身体の癖を探ってランニングフォームの分析も行ってくれます。合計3時間をかけたレクチャーでわかったことがたくさんありました。

①個別計測・シューズ診断(30分)

分析の結果、フォームに課題ありシューズを使いこなし、癖を抑えることを目指す。

KANAさんの基本データ

  • フルマラソンのベストタイムは4時間26分
  • 普段履いているのはオン
  • サイズは24.5cm。通販のため、合っているかは不明
  • 一時中断していたものの再び走り始め、ここ4か月ほどは集中してランニング中
  • 週3〜4回ランニングをしている

最初に座った状態と立った状態で足のサイズを計測します。土踏まずや前足部など、足の状態については非常に健康との診断。足の健康は速く走るには第一条件です。女性は筋バランスが悪いこともありますが、それもなさそうです。ただ、足の状態から左側に癖がありそうと判断されました。

次に壁際に立ち、姿勢やバランス確認のための写真や動画を撮影します。静止した状態は安定感抜群。股関節などを動かしてみると、柔らかいけれども少しだけ左の可動域が制限されているという診断でした。

普段使っているシューズを履いてトレッドミルを走り、これも撮影します。フォームは横からだときれいですが、後ろから見ると左足は地面をこすっている状態でうまく蹴ることができていないことがわかりました。このあと、撮影したデータをプロジェクターで投影し、自分でも見ながら課題の説明を受けます。中心線を引くなどしてみると、左右のバランスの違いがはっきり。

横のバランスはグッド。後ろからだとバランスが悪く、左足は外に払うように滑っていて、うまく使えていない。

藤原さんの診断

  • 右に重心がかかる癖がある
  • 左足を払ってしまうため、地面に力を伝えられていない
  • 横から見ると股関節・足首・膝のバランスは良く、クッションがあって前傾動作も良い
  • 怪我はしにくい足

・フルマラソンでサブ4を達成するにはシューズを使いこなして癖を抑え、左側もしっかり使って地面を捉えることが必要
・これまで履いていたものはレーシングシューズで、通販で購入したのもあり少しサイズが大きめ。今回はトレーニングシューズで現状の立ち方、走り方にあったシューズを試して感触を探ってみたい。

②シューズ選び方講座(30分)

シューズは3タイプを履き分けるのがおすすめ

計測と診断が終わると、次はレジュメも活用しながらシューズに対する基本を学びます。ずばりこれを履くと速くなる、というシューズはなく、「正解はない」のが現実。シューズの機能で何かが決まる訳ではなく、シューズをうまく使って身体をコントロールしていこうというのが世界の大きな潮流で、身体をうまく使うことが効率のよいランニングフォームにつながり、その相乗効果となってタイムもよくなるという訳です。そのため、足に合ったシューズを選んで使いこなす必要があり、身体をうまく使うためにさまざまなタイプを履き分けることも大切といいます。

藤原さんは3種類のシューズを効率よく履き分ることを推奨しています。まずソールが厚く傾斜があって、足を前に誘導してくれるトレーニングシューズ。身体を倒すと自然に前に進む、サポート力が高いシューズです。次に、軽くてソールの高低差があまりないレーシングシューズ。これはソールの傾斜があまりないので、前に進むために身体が頑張る必要があります。そして、ソールがフラットでクッションもないベアフットシューズは、足がダイレクトに地面を捉えますが、シューズのサポートがないので身体のみで前に進むことを訓練できます。この中でトレーニングシューズは初心者用と思われがちですが、どのシューズもバランスよく使いこなすことが理想で、レースにはレーシングシューズを履かなければならない、というものでもないそうです。

トレーニング・レーシング・ベアフットの3タイプが男女別にディスプレイ。似たように見えて、実際に履くと傾斜や厚みがまったく異なる。

③シューズ選び(90分)&④ランニングフォーム分析

履き比べながらフォームの修正も行う

基本の説明のあと、実際にシューズを履いていきます。KANAさんが履いていたシューズはソールが固く高低差のあまりないベアフットタイプ。靴のサポートをあまり受けずに走らなければならないものでした。フルマラソンだと少し負担の大きいシューズです。使うのであれば、短い時間のトレーニングの方がよいとうのが藤原さんのアドバイス。そこで、経験浅めの人がフルマラソンを走るにおすすめという、軽めのトレーニングシューズを履いてみることに。このタイプはかかとが厚く、跳ね上げもあるため、走るときに身体が自然に前にいくように作られています。

シューズは数種類を履き比べ、同時にトレッドミルで走って、その靴でどう走れているのかフォーム分析も行います。履いては走るを繰り返して感触の違いを確かめながら、シューズと身体の使い方を習得しつつ、最終的にパフォーマンス向上が見込めるものを選ぶのが目的です。また、終了後はお買物ツアーカルテが発行され、その後も主催のランイベント等で履き分け習慣をつけるフォローをしてくれます。

この日試したのは4種類。トレーニングタイプはソールが厚く傾斜があるブルックスの「グリセリン」とミズノの「ウェーブインスパイア」、ソールに高低差が少ないブルックスのベアフット「フロー」、ホカ オネオネのレーシングシューズ「カブー」です。

グリセリンはかかとにも厚みがあり、しっかりホールドしてくれる。

ウェーブインスパイアはやや固さもあるトレーニングシューズ。

トレーニングシューズにあたる最初の2足を履いてみての感想は「フィット感がこれまでのものと全然違う」というもの。ただ、トレッドミルの動画ではどうしても足を払う癖が出てしまっていました。

KANAさんにはフォームの課題もあるので、シューズ以外の解決策としてストレッチなどを行います。ウェーブストレッチリングを使用し、指先をほぐして刺激し、足裏の感触を高めたところでベアフットシューズを履きます。さらに、フォームをきれいにするためのウォーキングのエクササイズも行います。膝をコンパクトに折りたたみ、もも上げに近い感じで地面を押し、力をしっかり伝えることを意識してリズム良くその場で足踏み。さらに、その感覚を意識しつつ、トレッドミルで走ることを何度か繰り返しました。最初は苦戦していましたが、何度かアドバイスされながら走るうちに、次第にフォームが自然に。

最初の画像と比べてみると、だいぶ地面に力を伝えるフォームになり、左足の流れも減りました。

ベアフットでもシューズによってはゆるやかな傾斜がある。ブルックスのフローは「傾斜はあるけど、先の2つとは高さが違う」という感触。

ホカ オネオネのレーシングシューズ「カブー」。レーシングシューズでの足の接地感を感じるために履いてみた。

こうして4足を試したKANAさん。最終的には自分の感触で選んで良いのですが、自分では「まだ判断できず迷ってしまう」とのこと。そんな場合は藤原さんが総合的に判断し、よりよいパフォーマンスを生むものをアドバイスしてくれます。現在はオンのベアフット系モデルを履いているKANAさんにはミズノのトレーニング系モデルを追加し、短時間のトレーニングにはオン、レースにはミズノという履き分けをすすめました。大事なのはレースやトレーニングで機能の異なるシューズを履き分けることと、フォームや身体の動かし方を向上させ、相乗効果でタイムアップをはかっていくことです。今回意識したフォームを身体がしっかり覚えれば必ずタイムは上がる、と藤原さんに励まされました。

専門的な話も多く、「内容が濃くてお腹いっぱいでした」というKANAさんですが、シューズの基礎や身体の癖を知ることができ、きれいなフォームでの走り方も教わりました。サブ4達成に向け、意欲が高まった3時間になりました。

今回試したシューズ。左からホカ オネオネ「アラヒ」、ブルックス「フロー」、ミズノ「ウェーブインスパイア」、ブルックス「グリセリン」。

KANAさんの履き分けまとめ

  • シューズは実際に確かめて買うことが大切
  • シューズを使いこなす=身体をうまく使うことを身につけ、正しく地面に力を伝えられるフォームを目指す
  • トレーニングシューズとベアフットシューズとレーシングシューズとを履き分けることでコンディションを整えてタイムを上げていく

お買物ツアー情報

F・Shokai 藤原商会
https://www.f-shokai.com/home/home/
お買いものツアーは、経験と知識豊富なシューズアドバイザー藤原岳久さんの主催する藤原照会が主催する、ランニングショップスタイルのシューズ選びサービス。開催は不定期で、ホームページやfacebookなどで告知しています。

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